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異世界ちっちゃなパン職人、焼けば魔獣が寄ってくる!? 〜みんな私のパンにメロメロです!!〜  作者: ありぽん


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第25話 楽しい森歩きと、様子のおかしいジェイコブさんたち

 みんなに行ってきますをして、森を歩き始めた私たち。だけど、洞窟のてっぺんから見ていた通り、やっぱり森は広くてね。しかも小さな私がいるってことで、ゆっくり歩いてくれたから、まさかの森の中で1泊することに。


 しかも、森を出るまで護衛をしてくれるってことで、結構な数の魔獣たちがついてきてくれてね。行ってきますって挨拶したのに、なんか変な気分だったよ。


 ただ、移動自体はとても楽しくて、すぐに飽きるってことはなかったかな。ほら、他の人たちはいつも見る同じ風景で、何も思わないかもしれないけど、私は初めて見るものばかりだったからへ。


 それはモルーも同じでね。喜びすぎて、野営地に着くまで、あっちへそっちへ飛び回っちゃって、途中でグルルに咥えられていたよ。

 まぁ、でも、野営地に着いてからは、私もモルーも少しは、いつも通りの感じに戻ったかな。


 ただ、ジェイコブさんたちの様子が、ちょっとおかしかったんだ。


 まず、野営地に着くまでに、グルルが気になるものを何個か見つけてくれて。それは、大きな岩の中にある物とか、木の割れ目に挟まっている物で。


 私がそれを取っても良いか聞くと、その度にジェイコブさんたちは、私が初めて洞窟の外に出たってことを知っていたから、嫌な顔ひとつせずに止まってくれたの。それで、


『ヒトミ、どんどん掘るんだじょ!!』


「あとできれいにしてもらうから、もるーもやる?」


『良いんだじょ?』


「うん。それに、かわりのスプーン、いっぱいもらったからだいじょぶ。そうだ! いっぽんはもるーのね!」


『ありがとなんだじょ!! いっぱい掘るんだじょ!!』


 と、こんな感じで、2人で掘り出してね。そして掘り出したのは、2つの岩の中からは、宝石みたいに綺麗な石と化石みたいな物。木の割れ目からは、琥珀みたいな物と、珍しい花だったよ。木の中に花って、凄いよね。


 でも、掘り終わった後、ジェイコブさんたちを見ると、みんなかなり驚いた顔をしていたんだ。それに、呆気に取られているっていうか。そして、


「あれは何だ? 今、ヒトミたちが使っていた物は?」


 って、グルルに質問をしてジェイコブさん。


 だからグルルは、リッスたちにもらったスプーンだって、普通に答えたんだ。スプーンにも使えるけど、何でも掘ることができるスコップでもある、リッスたちのスプーン。私の必需品だってね。するとなぜか、


「そ、そうなのか。リッスたちが……」

 

 と、何とも言えない答え方をしたジェイコブさん。何? とは思ったけど、ただ、この時はそれ以上聞かれずに、私たちは再び進み始めたんだ。


 次に、ジェイコブさんたちがまた驚いたような、呆れたような顔をしたのは、ムッサーが私たちを攻撃しようとしてきた時。


 ムッサーは、数は少ないけれど洞窟にもいた、ネズッツーと同じで、みんなに害をなす、ムササビに似ている魔獣だよ。飛んで襲ってくるの。

 噛まれると、完璧にってわけじゃないけど、1時間くらいは体が動きづらくなっちゃうんだって。あとは、変な病気をもらうこともあるし。だから、みんなに嫌われてるんだ。


 そのムッサーが攻撃してきた時、もちろん、護衛してくれていた魔獣たちや、ジェイコブさんたちが、すぐに対応してくれたんだけど。

 ただ、ムッサーは集団で襲ってくるんだけど、洞窟と違って、森の方のムッサーは数が多くてね。時々、私とモルーの方にも、ムッサーが飛んできちゃって。


 だから私は、鍋の蓋でムッサーの攻撃を防いだ後、そのまま鍋の蓋で打ち返すようにムッサーを飛ばし。その後はモルーが攻撃して、数匹倒したんだ。


 ネズッツーはよく倒していたけど、ムッサーをこんなに倒したのは初めてだったから、私とモルーは嬉しくてね。


 だけど……。騒ぎが収まってから、ジェイコブさんたちを見れば、ここでまた、あの驚いたような、呆れた顔をしていたの、そして、


「あれは何だ?」


『あれとは?』


「ヒトミが持っている、あれだ」


『ああ、あれは鍋の蓋だ。お前たちも持っているだろう? キッコリンが作ってくれたんだ』


 食べ物が生だと、私が食べられる物が少ないし、焼きばかりでも飽きるだろうって話になってね。その時、少しだけ人の過ごし方を知っていたグルルたちが、鍋のことを思い出して、キッコリンっていう魔獣に鍋を頼んでくれたんだ。


 このキッコリン、岩の魔法って言うのかな、それが大得意で。岩を使って、いろいろな形のものを作ることができるんだ。この前は私の銅像を作ってたっけ。私がいないと寂しいからって。


 だから、鍋の形を伝えて、鍋と鍋の蓋を作ってもらったの。しかも、耐久性が抜群だから、敵の攻撃にも耐えられるし、反撃もできるってことで、3セットも作ってくれたんだ。


 と、そのことをジェイコブさんに話したグルル。そうしたら、


「そ、そうなのか。キッコリンたちが……」


 そう、また何とも言えない答え方をしたジェイコブさん。ただ、これも詳しく何かを聞かれることはなくて、森を進み続けた私たち。そして、今だよ。


 野営地に着いて少し経った時に、ネズッツーが私たちの野営地を狙って、攻撃してきたんだ。


『ヒトミ、来たなんだじょ!!』


「ふんっ!!」


 シュバッ!! 


 よしよし、バッチリ決まった。もう少し!


 魔獣たちやジェイコブさんたちが倒してくれたからね。30匹くらいいたネズッツーたちは、数分もしないうちにすぐに倒されたんだけど。


 魔獣たちは、私とモルーのことをわかっていたから、1匹、訓練のために残してくれていて。いつも通り、モルーと一緒にネズッツーに向かった私。


『とぉっ、なんだじょ!!』


「ふんっ!!」


 シュバッ!! 


 1匹だったから、バッチリ倒すことができた私たち。ただ、その後ろでは……。


「……あれは何だ?」


『何だとは?』


「ヒトミが持っている物は何だ?」


『あれは、クーマーがヒトミにくれた、何でも棒だ。ヒトミは、不思議ボクトウ? とか言っているぞ』


「さすがに、これは問題だろう。いや、問題というか、何というかだな。はぁ」


『何なんだ、まったく』


 何故かこの後もずっと、ジェイコブさんたちのため息は尽きなかったよ。オリヴィアさんとルーシャンさんは、後半苦笑いだったけど。

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