第24話 旅立ちの日。みんな行ってきます!!
「じゅんび、おわりまちた!!」
『終わったじょ!!』
「忘れ物はないか、ちゃんと確かめたか?」
『大丈夫よ。私が確かめたもの。それに、もし忘れても、またここに来るんだから問題ないでしょう』
「まぁ、それはそうだが。すぐに使いたい物を忘れると困るからな」
『ちゃんと棒は持っているし、食事する時に必要な物や、掘るのに必要な物は、最初にしまったわ。あと、すぐに必要になるものと言ったら、寝るための毛かしらね。でもそれも今朝しまったし、予備の毛は前にしまってあるもの』
『お水は大丈夫かい?』
「うん!! いっぱいいれちゃ!!」
『ここのお水は美味しいからね。それに他にも使えるみたいだし、お水は大切だよ』
「うん!!」
「あなた、そろそろ行かないと」
「ああ、そうだな。よし、それじゃあ、まずは洞窟の出口まで移動しよう」
私たちは今日、この洞窟を出発する。グルルたちとジェイコブさんたちの話し合いが終わってからは、何もかもが早かったよ。
とりあえず、最後の準備があるだろうからって、ジェイコブさんたちも洞窟に1泊して。私とグルルとモルーは、最後の準備を進めて。ジェイコブさんたちが洞窟へ来てから2日で、私たちは洞窟から出発することになったの。
私たちが洞窟を出ると知って、すでにお別れの挨拶を終えていた魔獣たちが、もう1度、挨拶をしに来てくれてね。ほとんど準備は終わっていたから、さよならの挨拶を、ゆっくりすることができたよ。
あ、そうそう。グルルとモルーのことだけど。ほら一緒に行くってやつ。何で弟子を取らないって言っていたのに、街に入れるか分からないって言っていたのに、今更一緒に行くって言ったのか。
それはね、やっぱり連絡係は必要だってことで。魔獣たちを代表して、誰かが私について行った方が良いだろうって。それから、何かあった時に私を守れるようにって、みんなが考えてくれたから。
それで、いつも一緒にいてくれたグルルが選ばれたんだ。それに私たちはかぞくだからね。シエラはさすがに街はまずいだろうってことで、残ることに。ちょっと寂しかったけど、また洞窟にくるから、それまでの我慢。
モルーは……。代表とかそういう理由じゃなくて。 私の1番の友達だから、絶対について行くって。夜も寝ずに、グルルとシエラとアース、たくさんの魔獣たちに直談判して。それで根負けしたみんなが、私と一緒にいて良いって認めてくれたの。
ただ、私たちの方で勝手に決めるのは良いけれど、街に入れるかっていうのは、別問題でしょう?
だからそのことを、来てくれた人に頼みまくろうと思っていたの。それでもしダメなら、街の近くに居座るつもりでいたし。
でも、私がジェイコブさんの家族になることが決まったから、グルルたちのこともササっと解決しちゃったんだ。ジェイコブさんが、グルルたちと契約していることにしてくれたの。
それで後から、私がどんな魔法を使えるか調べて。もしも魔獣と契約する力があれば、後からその魔法を使い、私と契約し直せば良いって。
契約魔法っていう魔法があって、魔獣と契約することで、家族や相棒になれるんだって。別に契約しなくても、家族や相棒って認められれば問題はないみたいだけど、契約できるなら、その方がいいみたいだよ。その辺りは、街へ行ったら教えてもらうんだ。
と、こんな感じで、ジェイコブさんと契約していることにすれば、街に入ることは問題ないということで、グルルとモルーは一緒に行けることになったんだ。
それから、パンのことについてだけど、これもグルルが話をしてくれていて。ジェイコブさんの家には広い厨房があるらしく、忙しい時はさすがにダメだけど。
料理人さんたちが休憩している時や、厨房が落ち着いている時で、料理人さんの誰かと一緒だったら、パン作りをしてもいいって言ってもらえたんだ。
まさか、こんなに簡単に、パンを作れるようになるかもしれないなんて。というか、広い厨房があるジェイコブさんの家って、どんな家なんだろう?
『ヒトミ、外たのしみなんだじょ!!』
「うん!」
『おいら、外でもいつでも飛べるから、それも大丈夫で良かったじょ!!』
そう、モルーはコウモリみたいな魔獣だけど、昼も夜も関係なく外に出られるし、目もよく利くから。太陽が昇っている時でも、問題なく外で過ごせるんだ。
『いっぱい遊ぶんだじょ!!』
「うん!!」
モルーじゃないけど、私もこの世界の街は初めてだから、とっても楽しみ!
『よくもまぁ、こんなに話が止まらないな』
『それだけ楽しみってことよ』
『背中に乗せている俺の気にもなってほしいもんだ。うるさくて敵わん』
『きっと街へ行ったら、もっと大騒ぎになるでしょうね』
『はぁ』
そうして、見送りに来てくれた魔獣たちに挨拶をしながら、ゆっくり進むこと約3時間。ついに……。
『それじゃヒトミ、元気でな』
『おねえちゃ! かえってきたら、またあしょぼね!!』
『おやくそくだよ!!』
『具合が悪くなったら、すぐにグルルに治してもらうんだぞ!』
『意地悪してくる人間がいたら、すぐにグルルに言って、やってもらうんだぞ!』
『お腹を出して寝ないようにね』
『ヒトミ、今までパンをありがとう』
『元気で行ってらっしゃい! それと、ここはあなたのもう1つの家なんだから、いつでも帰ってきなさい!』
「うん!!」
私はシエラとマーゴお婆ちゃん、それからアースに抱きついたあと、またグルルの背中に乗ったよ。そして……。
「いってきましゅ!!」
『行ってくるんだじょ!!』
『『『行ってらっしゃい!!』』』
私たちはみんなに見送られながら、洞窟を後にしたんだ。




