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異世界ちっちゃなパン職人、焼けば魔獣が寄ってくる!? 〜みんな私のパンにメロメロです!!〜  作者: ありぽん


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第16話 マーゴお婆ちゃんの教えとみんなの気持ち

『それはできるようになったんだから、体力だって、というか他のことだってさ。俺たちと動いてるうちに、かなり動けるようになるんじゃないか? 俺たちほどとは言わないけどさ』


『手だけじゃない?』


『走ってる時は、時々転けてるよ?』


『たまたまかも?』


『でも、そっちの方は、2週間くらいでできるようになっただろう?』


『う~ん、どうなのかな?』


 みんなが私を見てくる。確かにこれは、まぁ、ねぇ。どうしてもやらないといけないと思ってやっていたら、できるようになったというか。


『だからさぁ、頑張ってオレたちと動いて体力つけて、それでオレたちも修行すれば良いじゃん』


『はぁ、もう。もし体力がついたとしても、ダメなものはダメよ。手の動きだって、できるようになったとはいえ、みんなと比べてまだまだ遅いでしょう? 少し遅いんじゃなくて。ー違う?』


『うん、遅い』


『僕たちの方が、とっても早い』


『でしょう? それならやっぱり、みんながヒトミに弟子入りしたら、ヒトミの負担が大きくて、ヒトミは倒れてしまうわ。ここはヒトミに、ちゃんと合わせてあげないとダメよ』


『そうですよ。パンの方だってね、ヒトミが作れるにしても作れないにしても、まずはヒトミに合わせてあげなきゃいけない。あなたたちが手伝いたいとか、弟子入りしたいとか、気持ちは分かるけどねぇ。自分たちの気持ちより、まずはヒトミのことを1番に考えてあげるんだよ。ばあちゃんはいつも何て言ってる?』


『相手のことを考えましょう!』


『相手に優しく接しましょう!』


『みんなで仲良く暮らしましょう!』


『相手の嫌がることはしてはいけません!』


『でも、相手がやりにきたら、思う存分にやってしまいなさい。1匹でダメそうなら集団でやってしまいなさい!!』


 最後のがなんとも……。まぁ、強い魔獣たちばかり集まっている、自然界の森と洞窟に住んでいる魔獣たちだもんね。最後のが1番大切なことか。


『ちゃんと覚えているね。なら今回はおとなしく待っておきなさい。ヒトミだって、もうパンを作らんと言うてるわけじゃない。作れたら作って持ってきてくれると言っているだろう。のぉ、ヒトミ』


「うん、ちゅくれたら、もっちぇくる」


 いやね、もし街で暮らせることになったら、そしてパンが作れたら。必ずみんなにパンを持ってこようと思ってたんだよ。だって私を受け入れてくれたみんなだよ? そのままさようならするなんて、あるわけないでしょう?


『そういう事だ。分かったかの』


『そっかぁ』


『僕たち待つ』


『ちょっと残念』


『でも、ヒトミのことを考えないとダメ』


『くそぉ、パンとヒトミのためだ。ここは待つか!』


『ヒトミ、パン待ってるね』


『それでそのあとは、修行してね』


 とってもしょんぼりなみんな。あまりのしょんぼり具合に、みんなで分けて食べるようにって言って、いくつかパンを渡すと。みんなしょんぼりしながらも、ちゃんと分けて、それから帰って行ったよ。


 そうしてすぐに、溜め息を吐いたグルル。


『はぁ、いつ人間が来るか分からないから、仕方ないってのもあるが。それにしてもだ。ずっとこの調子じゃヒトミも大変だし、俺たちもゆっくりできん。ここはもう1度、全員に今の話を伝えるか』


『『むっ、確かにそれはそうだな』なんて言ってたのは誰かしら?』


『何のことだか?』


『ヒトミ、私たちの仲間が困らせて悪いねぇ。でも皆、ヒトミのことを思ってるのは確かだから、嫌わないでやっておくれ』


「きらうなんてない!! みんなたいしぇちゅなかじょく!!」


 というか私の方がここに住まわせもらって、お世話にまでなっているんだから。本当だったらすぐに、みんなのお願いを叶えてあげたいくらいだよ。だけどこればかりはどうしてもね。


『そうかい』


 ニコッと笑うマーゴお婆ちゃん。


「はぁ、それにしても人間は遅いねぇ。何をやっているんだか。これは本当に人間の方で何かあったかね」


『どうだろうな。まだもう少しだけ様子を見るつもりだが』


『来なかった時のことも、考えないといけないわね』


 どんな人たちが、定期的に来ているのか分からないけど、みんなが警戒せず関わっているくらいだから、問題のあるような人たちじゃないと思うけど。いつ来るのか分からないと、やっぱりちょっとドキドキするよね。


『まぁ、皆それぞれ見張っているからな、何か感じればすぐに……』


『ヒトミ! 出たんだじょ!!』


 みんなが話している時だった。パンをちょうど食べ終えて、毛繕いを始めようとしていたモルーが、壁の方を見て叫んだよ。


 私はそのモルーの叫びに、腰につけている物をすぐに手に取る。そう、さっき魔獣が指していた物をね。

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