第15話 未来の洞窟パン工房設立計画!? いつの間に?
作り方を聞いた後、それがどんな感じなのか自分たちなりに考えて、みんな持ってくるようになったの。
泥や葉っぱ、自然界にあるもので、生地らしき物を作ってきたり、私のパンに似ている形を作ってきたり。ほら、しっかりと材料をかき混ぜられます!! って、私の前で実践する魔獣もいるし。
あとは、パンの作り方を全部頭に入れてきて、私の前で発表することも。凄いんだよ、どこぞの会社のプレゼンみたいに、真剣に発表してくるの。思わず拍手しちゃうほどにね。
と、こんな風に、みんな私に弟子入りしようと頑張ってくるんだ。
ただ、そこまで頑張ってくれるんだから、普通だったら弟子入りを考えてあげるんだろうけど。やっぱり魔獣だとね……。もし教えてあげられたとしても、結局は作れないと思うの。
大体だよ? もし弟子入りを許可したとして、全員で街に行くのかって話よね。この世界の街のことを、人のことをまだ分かっていないけど、絶対大騒動になるはず。
だから私はちゃんと断らないとって、みんなにはっきりと、弟子は取らないって言っているんだ。
『お前たち、ヒトミの話や、俺たちの話しを聞いているはずだろう。弟子は取らないと、しっかり伝えてあるはずだが?』
『分かってる。でも、諦められない』
『そう、だからきちんとお願い』
『このまま黙ってるなんてできないぜ』
『それにヒトミが子供だからダメっていうなら、ヒトミが大人になってから、ここでパンを作って貰えるかも。その時にお手伝いできるでしょう? そのためにも弟子入り!!』
ん? どういうこと? 初耳なんだけど。ここでパンを作る? 何その未来計画。
いつもは弟子入りの話ししかしない魔獣たち。だけど今日は、それ以外の話をしてきた。これ、初めてじゃないかな? グルルたちもみんなの言葉に、ん? って顔をしたよ。
『お前たち、何の話しだ?』
『あのね、どうして弟子入りがダメなのかのお話と、この前のお話し合いのこと。それをみんなでまた、お話し合いし直したの。それでね、ヒトミはまだ小さくて……』
みんなの話はこうだったよ。私がパンを作れないかもしれない理由はいっぱいある。それはちゃんと理解してるし、できないのは仕方ない。
ただ、それ以外にも問題がある。私はまだ小さい人間。時々ここへくる人間は、子供はいつも遊んでいて、大人がいろいろしてるって話をしていた。それは魔獣たちも同じ。なら、私は小さいってことで、そもそもパンが作れない可能性がある。
でも、もし私が大人になったら? そうなれば、全部の問題なくなって、パンが作れるはず。だって大人だもん。きっと今みたいに美味しいパンを、いっぱい作れる。
だから私が大人になるまでに、この洞窟にパン作りのための道具や材料を揃えておいて。弟子たちもパン作りの修行を続け、いつでも私のお手伝いができるように準備しておく。そうして、私が大人になったら時々ここへ来てもらって、私にパンを作ってもらう。
そうすれば、たくさんパンが作れて、誰も争わずに美味しく食べられるから、みんなニコニコ。
となると、やっぱりここはまず、私がパンを作れるか確認する必要がある。だから、街には絶対に行かないといけない。
その上で、街で修行できるならそのまま街で修行。できない場合は、必要なことだけ確認して、洞窟へ戻って修行。洞窟で修行の時は、今言った通り必要なものを準備して、私が大人になるのを待つ。
これでどっちにしても、みんなでいっぱいパンが食べられるようになってニコニコ、だって。
うん、みんなちょっと、いろいろしっかりと考え過ぎじゃないかな? え? 魔獣ってこんな生き物だっけ? いや、確かにライトノベルとかだと、言葉が話せる魔獣は、知能が高い設定だったりするけど。ここの魔獣はみんなそうなの?
『むっ、確かにそれはそうだな』
頷くグルル。
『それはそうだな、じゃないわよ!』
シエラがしっぽで、バシッ! とグルルの頭を叩く。
グルルとこの子たちって、いったいどれくらい歳が離れてるのよ。今この子達が話してくれたことはさ、普通グルルの方が先に思いつくもんじゃないの? できるかどうかは別としてさ。それに、グルルは止める側でしょうよ。
『あなたたち、弟子の話はダメって言ったはずよ。ということは、弟子関係の話もダメよ』
『でも』
『パンは大事』
『それに、いつヒトミが行っちゃうか分からないし』
『だから今のうちにお話し』
『大体、人の多い場所に私たちが大勢で行くことはできないでしょ。それに、ヒトミはまだ小さいのよ。みんなに教えていたら、疲れて倒れちゃうかもしれないわ。小さい子は体力がそんなにないんだから。特にヒトミは、私たちより体力の劣る人間なのよ? そこまで考えたのかしら?』
『あー、そうかぁ』
『ヒトミが小さいって、僕たちちゃんと分かってたはずなのに』
『それは、オレたちみたいの動いたら、体力つくんじゃないか?』
『だから、私たちと人間を一緒に考えたらいけないって、今言ったばかりでしょう』
『でも、あれはできるようになったんだろ?』
弟子入り志願の魔獣の1人が、私の腰に付いている物を手で指してきたよ。




