飛び方
拾われてから2日目。
口や舌の形状が違うのか、穀物…ひいては最初は拒絶反応を示していたワームも食べられるようになった。最初はというか…今でもかなりきついが。食べてみるとこれが意外に美味しい。啄むとプリッと弾け、濃厚な味が口の中に広がる。所謂、クリーミーってやつだ。あまりここまで前世の話はしてこなかったが、前世のような乾燥技術はないらしく、生きて渡されることもなきにしもあらずだった。その時はゆっくり啄むことで一旦息の根を止めることとしている。流石にまだ生きたまま喉に入れられるのは無理だ。嗚咽が走る。味は多分美味いんだろうが。
今日からパロンネキのご指導が始まる。
時間はあまりに少ない。ゾータが体が鈍らないようにと鍛錬を始め、それをリズが眺めるたった数時間。1…長くて2時間程度だろう。よくもまぁ、飽きないものだ。
「ほら、口より手を動かす。」
パロンネキから厳しい声が発せられる。
ただ一言、問題があった。この従獣、感覚派だったのだ。要は教え方がド下手。
今はただ1回跳んでバタバタと翼を動かす。不格好だが、これ以外やることがない。現実の鳥はなんか翼を動かすと風切羽がプロペラみたいに…とかなんとか。てか、このぐらい最初から出来るようにしておけよ。
『人間が始めから泳げないように学ぶことが必要かと考えました。ただ時間を有しますが、着々と浮くようになってくるかと。』
うるせえよ。
当たり前だけど、人間と感覚が違うんだよ。浮遊と飛行は違う。浮いて進まなきゃいけない。自分の身体なんて鏡で見なきゃわからないからどんな形状かもわからんし…手っ取り早い方法ないかしら。
「そうねえ。努力あるのみだけど人間は風魔法の応用で飛んだりするらしいわね。鳥モンスターや羽を持つモンスターは大陸風を皮膜に受けて飛んだりするわ。バタバタはそのあとね。」
先に言え。
しかし、やっぱり魔法ってのもあるんだな。
…パロンネキの魔法も知らないのぉ…という顔が地味にむかつくが、実際知らないので仕方ない。
『この世界…シーロンでは6属性の魔法が観測されてます。火属性、水属性、風属性、地属性と光属性、闇属性。それぞれが突出した特性を持っておりますが、それを掛け合わせることでモンスターも人間たちも生活をしています。もちろん、それぞれを顕現する他に
・火属性…温度と火力を操る力
・水属性…湿度を操る力
・風属性…浮力と速度を操る力
・地属性…想像する力
・闇属性…殺害や侵食する力
・光属性…浄化や聖を操る力
を持っています。そして、それらは魔力のパラメーターを参考に放つことができます。モンスターにも物質にも人間にもシーロンに生まれ落ちた瞬間、扱うことができるものです。』
…詳しい説明をどうも。
要は家や家具は地属性の魔法で、暖炉の火は火属性の魔法で…と生活にも組み込んでるわけか。それはモンスターも例外でないと。で?魔力ってのはどうやって調べるんだ?
『ステータスを見ればわかるかと思います。』
なにそれ。
ゲームのステータス画面みたいに出るのか?うーむ。
ラノベとかならこう…ステータスオープンっ!!って言えば出て…わーお。
『個体名:キンちゃん』
体力:250
魔力:300
攻撃力:200
防御:150
素早さ:580
取得スキル:なし
…………なんか青白い板みたいなのが出てきて数値やらなにやら目の前に現れたんですが。これがステータス画面?
…うーむ。高いのか低いのかわからない。さらに種族名はないのか。結局自分がなんなのかわからないな。
「あんまり高くはないわね。むしろ低い方。まぁ、その歳なら当たり前よ。ここからどうだって伸びるわ。」
…と、パロンネキからねぎらいの言葉が…。なんだか、こめかみに汗玉が出てるのが見えるんですが…。魔法もおいそれと使えるものじゃないでしょうに。パラセールみたいに風を受けて空、飛べると思ってたんだけどなぁ。まぁ、こっからか。頑張るぞ。




