8話 この世界<トラス視点>
トラス視点です。別視点で書くのも何もかも初めてなのでだいぶ散らかっています。
「があああああああああああああああああああああああああ」
神階をバライムの絶叫が走り抜ける。
「トラス、、てめ、、なにを、、、、」
バライムがうずくまりながらこちらを睨む。
その眼には怯えと困惑、怒りがにじんでいた。
しかし私は何もしてあげられない。
『バライム!大丈夫。大丈夫だから、受け入れて。』
そういって手を握ることしかできない自分が腹立たしい。
しかしバライムは、その言葉を聞くと安心したように、微笑みながら力尽きた。
バライムが気絶すると同時に、酷い倦怠感が身体を襲う。
倦怠感が出たということは、バライムは無事に神性を取り込み始めたのだろう。
問題はなさそうだ。
さて、うかうかはしていられない。
神性がバライムにすべて流れる前に、急いでバライムと私の間に回廊を構築しなければ。
私が存在するために必要な最低限の神性を分離し、流れ出る神性に自身のマナを上乗せする。
バライムのマナを少し拝借して、回廊の構築を開始する。
回廊の構築が終わると同時に、神性がほぼすべてバライムに流れ切った。
『よかった...間に合った...』
安堵の言葉をつぶやき、バライムの顔をのぞき込む。
随分心地よさそうに寝るものだ。
バライムの寝顔を見ながら、今日までのことを思い出す。
ーーー
最後のチャンスだった。
ラグスに軟禁される直前、私は私の神性の一部を世界へと散らばせた。
ラグスの思惑を阻止するため。
私の神性を受け止め、協力してくれる人を探すため。
神性のほとんどは、マナとして世界に吸収された。
最後の最後、消える直前に彼、汐藤葵を見つけた。
彷徨っていた彼の魂に干渉し、この世界へと導いた。
そして彼の魔法をトリガーに、私は彼と初めてではない初対面を果たしたのだ。
彼に最後の希望を預けるため。
彼しか頼れる人はいない。
『ねぇバライム、あなたは私に協力してくれる?』
ここで協力してもらえなければ、世界は滅び、私も死ぬことになる。
しかしこんな話を人にしたところで、簡単に信じてはくれまい。
どうするか。
もちろんいろいろ考えた。
しかし、いざ彼と対面した途端、考えてきたことはすべて吹き飛んでしまった。
何を話すんだったか。
どうするつもりだったか。
頭が真っ白になり、思いついたことをとりあえず羅列する。
会話として成り立っているのが奇跡のようだ。
「最後の賭け?なんだそれ」
『いったでしょ、世界は今、確実に終焉に向かっている』
「なんでそう言い切れる?」
『それはね...』
そして私は、私が見たままの事実を語った。
今はもう歪み捻じれてしまった神話の時代の話を。
彼の反応は、なんとも微妙なところだ。
少なくとも、完全に信じてはいないだろう。
どうしても昔の話をするのは落ち着かない。
話しながら、無意識で右に左に歩き回る。
このそわそわするような感覚を振り落としたくて。
話し終わると、彼のもとへと戻る。
『どう?信じてくれた?』
そう問いながら笑いかけてみる。
今のはいい感じじゃないだろうか。
私が見たままの事実を話した。
少なくとも、彼の私を見る目からは疑いの色が薄くなっていたように思う。
しかし、彼から帰ってきた返答は期待通りのものではなかった。
今のでもダメか...
確かに、私は私が信じるに足る理由を自分の口以外で説明できない。
ならばあれを見せるしかないだろうか。
本当は見せたくない。
こんな醜く歪な世界は見るだけ損だ。
それでも、彼を納得させるためには見せるしかないだろう。
彼の心なら、この程度なんともないと信じて。
パチンッ
そして視点が切り替わる。
床が透け、眼下に私たちの星を見下ろす。
なんと痛々しく、歪んだ姿だろう。
こんなになってしまうまで、私は見ていることしかできなかった。
そして、彼が協力してくれなければ、私はこの星が滅びゆくのをただ眺めるしかできないのだ。
これ以外に、私は私を信じてもらう方法を持たない。
これがダメなら、私は諦めるしかないだろう。
『私は見ているだけで何もできない...だから協力して。ね?』
一縷の希望を胸に、彼に問いかける。
しかし、彼の反応はやはり渋いものだった。
彼は黙り込んでうつむく。
あぁ、ダメなのか。
私はこの世界が滅ぶのをただ眺めることしかできないのか。
絶望に視界が埋め尽くされる。
どうして、どうして誰も私を助けてくれない。
お願いだから。
どうかわたしを...
『お願い、世界を助けて!私を、助けてよ!』
その声は意図して出たものではない、私の心の底からの叫びだった。
すると、彼が何か悟ったかのようにこちらを見た。
「わかった。わかったよ。だから泣かないでくれ。」
彼の言葉は、私の絶望に染まった視界を晴らしてくれた。
なぜ協力してくれる気になったのかはわからない。
けれど、彼は私を突き放さなかった。
それだけで十分すぎるほど嬉しかった。
私は抗える。
終わりゆく様をただ眺めるだけで終わらない。
終わらせない。
そう思った。
彼が心配しないように、強がって平気なふりをした。
直前に泣いていたけれど、知らないふりで押し通した。
彼に私の気持ちはバレていないだろうか。
あの絶望は、この胸の高鳴りは、私だけ知っていればいい。
もっといい書き方があったと思います。今の自分ではこの辺が限界でした。