7話 契約
足元に白い床が広がっているのを見て、俺は心の中でそっと胸をなでおろした。
戻ったか。
目の前の景色が突然ガラッと変わるのは、何べんやっても慣れることはなさそうだ…
『お疲れ様。あれを見て発狂しないとは、君はなかなか精神が頑丈だね。さすが私が見込んだだけのことはある』
「発狂!?トラスてめぇ、何てもの見せてんだ!」
『最初からきみは大丈夫だと思っていたよ。転生に耐えるほどの魂の強さなら、あの程度どうってことないって』
「あのなぁ...」
かわいい笑顔で恐ろしいことしやがる...
下手したら俺はこいつに殺されるんじゃなかろうか。
『まあまあ、大丈夫だったんだからいいじゃない。ほら、そこ座って』
そういって、トラスはいつの間にか出現していた椅子に座るよう促すと、自分は反対側の椅子に腰かけた。
俺が座ったのを確認すると、トラスがしゃべり始める。
『それじゃあ、今後の話をしようか。』
「あぁ。協力するとは言ったが、俺は今4歳だ。できることも限られる。」
『大丈夫、君なら問題ない。』
「どりゃどういう...」
『ちょっとこっち来てくれる?そこでひざまずいて欲しい』
「あ、ああ...」
言われるがままにトラスの前に行き、ひざまずく。
すると、トラスが俺の胸に手を当てた。
何をする気だ?
疑問に思った刹那、静かだった空間にトラスの声が響き渡った。
『我は白神トラス!創造神が側近にして、この世界の守護者である!我が力の一端を、汐藤渚=バライム・ソケリアに!』
トラスの詠唱が終わると同時に、トラスと俺を白いオーラが包みこむ。
そして、
「があああああああああああああああああああああああああああ!?!?」
身体が内側から引き裂かれるかと思うような痛みが俺を襲った。
「トラス....てめ......なにを......」
騙された?死ぬのか?ここで?なんで?いやだ!死にたくない!!!
様々な言葉が頭をめぐる。
身体の芯から湧き出てくる激痛に悶えていると、トラスの声が聞こえた。
『バライム!大丈夫。大丈夫だから、受け入れて。』
あぁ、トラスが言うなら大丈夫だ。
なぜか無条件にそう思えた。
そして、その声を最後に、俺の意識は沈んでいった。
どこで話を切るかってむずいっすね。