4話 初の魔法
昼飯を早々に済ませ、急ぎ足で屋敷の庭へ向かう。
少しでも早く魔法を使いたいものだ。
少ししてから母様がやってきた。
「おまたせ、バラ。ヤウラも。とりあえず、あちらに座りましょうか。」
「はい、母様。」
ついに母様から魔法を教えて貰える。
魔法使いに、俺はなる!!…はもういいか。
母様に習って、椅子に腰かける。
「失礼致します」
どこから現れたのか、母様お付のメイドが紅茶を差し出す。
「ありがとう、トグリ」
「ありがとう」
母様お付のメイドさんは、トグリと言うらしい。
トグリが出してくれたお茶を飲みながら、母様が話し始めた。
「それじゃあバラ、光魔法を教えるわね。」
「よろしくお願いします、母様」
「まずは見た方が早いわね。」
そう言って母様は手を前に出す。
何かと思うと、
「フラッシュ」
母様の声とともに、視界が白い光に埋め尽くされる。
あまりの眩しさに、俺は思わず目を瞑った。
「バラ…?バラ、大丈夫?」
目を開けると、母様が心配そうな顔でこちらを覗き込んでいる。
驚いた。何秒くらい固まっていただろうか。
「う、うん。大丈夫、ちょっとびっくりしただけ。」
「そう、良かった。」
ほっとした顔で母様は座り直した。
「今のが光初級魔法よ。」
「凄かった!目の前が急にパァーって光って、凄く綺麗だった!どうやるの?」
「手を出してちょうだい。」
母様の言葉に従い、手を差し出す。
母様が俺の手を優しく握った。
なんだ?胸の下辺りがぽわぽわして、身体全体が温まるのを感じる。
「なにか感じた?」
「うん。胸の下辺りが変な感じになって、体があったかくなった。」
「そこに貴方の器があるの。器からマナを取り出して、体を巡らせ、形をイメージすることで、魔法は形になるのよ。」
つまり体が暖かくなったあの感覚は、魔力が体を巡ったということだろう。
あの感覚の中でイメージすれば、魔法が発動するのか。
「やってみる!」
腹部を中心に、身体を巡る温もりを感じる。
そして、母様が先ほど見せてくれた魔法をイメージしながら魔法を発動する。
「フラッシュ!」
俺の声と共に、世界が光に包まれた。