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3話 勉強...

 

 生まれてから、4年が過ぎた。


 4歳になると、文字の読み書きを教えられた。

 会話は日本語だったので大丈夫だと思っていたが、文字は少し違っていた。

 前世でいうと、ハングルが近い形だ。

 発音は日本語と変わらいので、前世で勉強嫌いだった俺でも多少はとっつきやすいかもしれない。


「それでは始めましょうか」


 ヤウラがそういって本を広げる。

 本には、文字一覧のようなものがずらっと並んでいた。


 ヤウラは、俺の世話係のメイドさんだ。

 緑のショートボブと高めの身長が特徴的だ。


 今回、俺が懐いているということで、教師役として白羽の矢が立ったそうだ。


「これが、あ。これは、いです」


 ヤウラは一文字ずつ発音を確認しながら教えてくれる。

 この世界の文字は見た目こそハングルのようだが、使い方としてはひらがなとあまり変わらないようで、俺はすぐにすべての文字をマスターすることができた。


 文字を覚えると、次は算術と魔術の授業が始まった。

 簡単な四則演算なので、算術は問題なく進んだ。


 問題は、魔術だ。


 基礎的な座学ならばヤウラが教えることもできるが、実践となるとヤウラでは教えられない。


 彼女の適正属性は木で、俺の適正属性は光だ。

 いくら万能メイドとはいえ、さすがに適性のない属性魔術は不可能らしい。


 とりあえずは共通する基礎的な座学を学び、教師を探すこととなった


「魔法は、火、水、木、光、闇の5属性に分類できます。

 火は水に弱く、気に強い。水は木に弱く、火に強い。木は火に弱く、木に強い。というふうに、三すくみになっています」


 ヤウラは本の属性について書かれている部分を指さした。


 パ〇ドラみたいだ。


「光と闇はどうなってるの?」


 パズ〇ラならば互いに弱点属性だったが...


「光と闇はお互いに弱く、他の属性に対しては強いです。

 そして、人には適正属性があります。私が木、バラ様なら金髪ですから光といったぐあいに、髪色で適正属性が分かります。

 適正に合った魔法は習得しやすく、適正属性の苦手な属性の魔法は習得が難しくなるのです。光と闇は基本3属性に対して有利なので、習得できるものが限られています。この2属性が特別といわれているのはこのためです」


 本当に〇ズドラのようだ。

 しかし、光は特別か。

 これがうわさに聞く転生特典というものだろうか。

 俺がそんなことを考えていると、ヤウラがページをめくる。


「魔法には、初級、中級、上級、聖級の4段位と呼ばれる階級があります。聖級ともなると、魔法師一人で千の兵と同等の脅威といわれるほど強力なものになります。バラ様のお父様は火聖級魔法師なんですよ」


 それはすごい。

 一騎当千が本当にある世界か。

 戦争にでもなったら一般兵はひとたまりもないだろうな。


「父様はすごいね」


 俺が父様のことをほめると、ヤウラは少し自慢げな顔をした。


「そうです。ご当主様はあの王国騎士軍の魔法団団長なんですよ」


 王国騎士団?

 またファンタジーな言葉が出てきた。

 思えば、父様は基本的にいつも家にいないし、母様も父様の仕事について話してくれることはない。

 俺は家族について、ほとんど何も知らないのだった。


「おうこくきしだん?」

「この国唯一の軍事組織です。男性の方はだれしも一度は憧れるそうですよ」


 あの脳筋なお父様がそんなに偉い人だったとは驚きだ。

 格式高い家だとは思っていたが、国家の要人だったとは。


「私が教えられる魔術はこのくらいでしょうか。あとは魔法の教師が見つかるのを待つしかありませんね」


 そういって、ヤウラは魔術の本を閉じると、算術の本を手に取った。


 まずい。

 算術でやることは簡単な四則演算なので、難しいということはない。

 しかし勉強嫌いな性格は前世から変わっていないようで、長時間無意味に座っているというのは苦痛だった。


 これがゲームならば何十時間だろうと続けられるのだが...


「母様!母様に教えてもらうのはどう?」


 とっさに身近な光魔法を使える人はいないか考えた結果、母様がいることに気が付いた。

 母様ならば光に適性があるし、教えてくれるのではないだろうか。

 そうおもいながらヤウラのほうを見ると、渋い顔をしながらうなずいた。


「......そうですね。一応、お聞きしてみましょうか」


 メイド的には主人を教師代わりに、というのはご法度らしい。

 しかし、俺の提案をわざわざ蹴る理由もないのでしょうがなく...といったところだろう。

 すまんね、わがままを言って。


 そうして、俺たちは母様の執務室へ向かった。



 ーーーーー



「母様、少しいい?」


 執務室に入ると、母様は書類の束をまとめていた。

 どうやら、ちょうど仕事がひと段落したようだ。


「えぇ、いいわよ。何かあったの?」

「母様に魔法を教えてほしいと思って...だめ?」


 執務も大変だろうし、断られるかもな。

 だが、何もせず算術というのも嫌だ。

 ダメもとだが、聞くだけ聞いてみるのはいいだろう。


「申し訳ありません奥様。わたくし共では、光魔法は教えられないもので...バラ様には、光魔法の教師が見つかるまで算術や史学を教えようと思っていたのですが...」


 ヤウラが申し訳なさそうに言った。

 しかし、母様はあっけらかんとした声で、


「いいわよ。バライムのためですもの」


 と言って、俺の頭を撫でた。


「バラ、お昼がすんだらお庭にいらっしゃい。魔法を教えてあげるわ」

「わかった。ありがとう!」


 こうして、俺は母様との約束を取り付けることに成功した。



魔法についての学問を全部ひっくるめたものが魔術です。

この世界に学校の授業があるとしたら、語学、史学、算術、魔術、が基本の4教科になりそう。

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