11話 野良猫?
『イム...バライム...起きて...』
誰かに呼ばれた気がして目が覚める。
ふと窓のほうに目をやると、一匹の猫がしきりに窓を引っ掻いていた。
「どうした~寒いのか~?」
寝ぼけながら窓を開ける。
すると猫は、わきをすり抜け、部屋へと飛び込んだ。
「あ、おい」
振り返ると猫はおらず、かわりに少女が一人たっていた。
少女が俺に笑いかける。
「こんばんは、バライム。久しぶり」
「トラ...ス...だよな...?」
「そうだよ。それ以外の何に見えたのかにゃ?」
にゃ?
「いや、だって今猫が...」
「あ~、それ私」
「は?それはどういう...」
「その辺は明日全部説明するから。悪いけど私疲れたから、少し眠らせて...」
そういうとトラスは俺の布団に潜り込み、スヤスヤと心地よさそうに眠ってしまった。
「なんなんだ...」
無理に起こす気にもなれず、俺は仕方なく毛布を1枚はぎとり椅子の上で眠りについた。
翌朝。
俺はトラスと向かい合っていた。
「それじゃあ、いろいろ説明するね」
「ああ。頼む」
「といっても、何から話せばいいものか...」
「とりあえず、昨日の猫について聞いてもいいか?」
猫が飛び込んだと思ったらトラスが現れた。
あの不思議現象はなんなんだ?
「わかった。…先に聞きたいんだけど、猫は好き?」
「猫?まあ好きだが」
「そう。ならよかった」
そういうとトラスが姿を消した。
「ふぁ...?」
『何間抜けた声出してるのさ。下だよ下』
声に促され下を向く。
そこには、昨夜の猫が座っていた。