表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/18

会社設立前にやるべき事

「あれ?視界が途切れた」《「おぉう、途切れたッスよ」》


俺と機械の俺が同時に声を上げる。

竜巻がゲートと呼ばれる物木の棒で作り俺がゲートを潜ると其れは起こった。


「何がやねん?」


「鴨の道との接続が」《「花の道との接続が切れたっすよ」》


「はぁ?」


「ほほぅ、興味深いですね。

花の道さんがゲートを潜った途端ですか?」

シャッキンさんの声が心なしか嬉しそうだ。


荻田さん、竜巻、俺の順で扉を潜った。


「ゲートを潜った途端、鴨の道の視界が無いのに戻った」


《「声が聞こえるのに接続が切れたって事は世界の壁ッスか?」》


「そう考えるのが妥当ですね、鴨の道さんもゲートを通ってみて下さい」


鴨の道が扉を潜ろうとすると体半分くらいで止まった。


「どうされました?」

声色だけで分かる嬉しそうだ。


《「これ以上進めないッす」》


「ふむ、過去の事例通りですね。

無機物での憑依では世界の壁を越えられない。

これは事例通りで安心しました」


「鴨の道はこちらの世界には帰ってこれずか、仕方が無いな。

シャッキン、科学省と連携して世界の壁を超える案を模索してくれ、ワイ等はその間に会社設立しとくわ」

そう言うと荻田さんが歩きだす。

壁からグジャっと音がすると壁が変化して通路が現れた。


「了解しました」

シャッキンさんの言葉を後ろに荻田さんを追いかける。


パチッと音がすると後ろからの光が消えた。

振り返ると竜巻がゲートだったであろう木の棒を操作しているように見えた。


「なにしてんの~いくよ~」


俺の視線に気付いたのか、そう言いながら竜巻も通路に消えた。


「消えた?」


消えた通路を見るが通路側の景色が微妙に歪んでいる。

先に入ったはずの竜巻も荻田さんも見えない。

不思議に思っていると通路から竜巻の手が出て服を掴み引きずり込まれた。


「これはマジックミラーのみたいな~物なのさ~なんでこんな物設置しているのか分からないけどね~」


引きずり込まれたのはなんの変哲もない打ちっ放しのコンクリート製の通路だった。


「侵入防止や、見てみ、もう出入り口がもう分からんようになっとるやろ」


後ろを振り向くと先ほど潜った扉?壁?は無くなっていた。


「腐ってもサージェリーの施設や、最低限の対策や」


感心していると壁の反対側の窓からの景色が目に入ってきた。


月面最大のクレーター、南極エイトケン盆地に作られた都市が一望出来た。


「いつ来ても凄い都市やな、1年足らずでここまで作れるとは地球人侮りがたしやな」


確かに凄いと思う。

頭上から伸びる外界とを隔てるガラス製の板の下には何百、何千もの高層ビル群が見える。

ゲーム開始直後から作り始めた都市で成長が止まらず未だに拡張している都市だ。

太陽系最大の都市とかで呼ばれる事が多い。


基本的には月の都市はクレーターの中で作るのでクレーターの名前が都市の名前になってる。


(あれ?ここ南極エイトケンだよな?静の海に行くって言ってなかったか?)


「ここ南極エイトケンですよね?静の海に行くんじゃ?」

歩き出した荻田さんに疑問を聞いてみる。


「いや、まずな、会社設立の金を稼がなあかんのや」


「は?」

予想外の言葉に変な声が出る。


「え?いや、国の事業ですよね?お金なんて国が出すんじゃ?」


「至極全うな意見や、けどな、さっきも言うたけどな、作戦チームも来てない状態で予算も下りてきてるわけないやん。

やけど、今回のは速く行動しとった方がええと思うねん」


「なんでッスか?」


「花の道も言うたやん、人気の無いシステムやって。

多分、今、新たに会社設立して登録する奴なんて居らんやろ?

そんな状況で会社の登録してみ、もの凄く目立たんか?」


「目立つッスね」


「やろ?そんなん怪しまれるだけやん、やからな今からワイ等以外に登録してもらうんや」


「どうやって?」


「まぁ、着いてき」


「はぁ」


そう言いながら歩みをどんどんと進めていく。


街の外周部から中心部に向かっているのだが、問題は深さだ。

地表から13キロもの深さがあり深ければ深いほど最初期からの無計画な建築が乱立していまい迷宮の様になってしまった事だ。


そうなれば司法の及ばない地域が出始め、マフィアやお尋ね者、半政府軍等の巣窟になりはてた。

そうなると一気に治安は悪化した。


「荻田さん、ここいら辺ってヤバくないですか?」


「なんのや?」


「ガラが悪くないっすか?」


「まぁ、たしかにな」


「さっきからすれ違う人達から凄い睨まれるんすけど」


「そうか?一般人が紛れ込んだからやろ」


「それだけじゃないような?」


「お前みたいな可愛い子が珍しいんとちゃうか?」


「可愛いッスか?」

荻田さんの言葉に顔が熱くなるのが分かった。


「何照れてんねん、お前は男ちゃうんか?」


(あ、そういえばそうだ。

なんで嬉しかったんだろう?)

物思いに耽っていると荻田さんの言葉で現実に戻された。


「なんやお前ら?」


見ると荻田さんが前方を竜巻が後方をみていた。

前方に6人、後方も6人、姿は地球人とはかけ離れた見た目の者に取り囲まれた。

一番近いのは両生類、ヤモリを大きくして無理矢理日本足で立たせたかのような感じだ。


決して狭くはない道だ、大通りとまではいかないが人通りも有る、そんな所で取り囲むなんて、いかに治安が悪いか実感させられた。


「もう一回聞くで、なんやお前ら?」


「ジビエと亜人女には用は無い、ちっこいのに用はがある」


「は?なん・・・の・・・・・用や・・・・・・・・」

一瞬にて荻田さんの声が遠ざかる。

声どころか姿も見えなくなった。

浮遊感を感じることにより落ちた事がわかった。

一瞬にて床が割れ落ちたみたいだ。


瞬時に鼻につく悪臭、ぬめっとした液体の上に落ちた。

いや、抱きかかえられた。

ガッチリと腕に抱きかかえられている感覚だ、暗くてよく見えないが。


「ヌビィリダィィア」


大きな奇声が挙がると肌に風を感じる様になった、移動している。

ジャバジャバと水の音もする。

水の中を進んでいるようだ、周りからも音がするから複数体居るのかも。


(もしかして俺、拉致られてる?)


慌ててもがいて手足をバタつかせる。


「ベドルドド!」


理解できないが明らかに言葉だ。

嫌がっているのもなんとなく分かる。


もがいていると抱っこから担がれた。


「ヒャルドルジャビア!」


「ビャジャ!」


担がれているのに更に上から腰を押さえ付けられた。

スカートをめくりあげお尻の穴に何か当てられた。

一気に中に入れられた。


「痛った!!」


更にもう一つ。


痛みで手足をバタつかせていたが次第に力が入らなくなった。


(麻酔薬かなんかか?)


手足が完全に動かなくなるまで左程時間も掛からなかった。


(花の道、生きとるかー?)


荻田さんの声が頭に響く。


「へ?なふて?」


呂律が回らない。


(いかん、呂律が回ってないわ)


(お、生きとるな)

声だけでも凄い安心する。


(頭の中に声が響く、何これ?)


(お前ら風に言えばテレパシーやな)


(・・・・・・マジ?)


(マジやで)

言葉に出さずとも思うだけで会話が出来る。


(エセ関西人にそんな能力が)

会話していると少し安心感が増す。


(余裕そうやな、助けはいらんな)


(すいません、スイマセン、助けて下さい。

体が動かないっす)


段々と周りが明るくなってきた。


(体が動かんのかいな、下水に流されたんかいな?それとも拉致か?)


(拉致っす)


(さっきの両生類か?)


(分かんないです、暗くてみえないです)


(何されたんや?詳しく言うてみ)


(お尻に何か入れられました)


(麻酔薬かなにかか?)


バシュと音がすると周りが見えるほどには明るくなり俺を担いでる奴以外が見えるようになった。


担いでいる奴の両隣にクリーチャーな生き物がいた、一言で言えば蛸。

1.5メートル程の大きなタコだ。

色が全体的に紫だが所々黒や灰色が雑じってる。


(あ、タコだ)


(トロイドル星人か、厄介やな)


(ヤバいんですか?)


(ヤバいな、天の川銀河トップ3に入る知的生物や。

バウンティハンターをしている奴が居るとは思わんかったわ)


(え?賞金稼ぎ?)


(花の道、お前な懸賞金掛かってるらしいわ)


(はい?)


(さっきの両生類が吐いたわ。

誰が掛けたんか分からんけどな、大体想像つくわ。

お、竜巻のペットが花の道確認したみたいや。驚くなよ)


ゴンと音がした。

俺を担いでいた奴がビクッとすると急いで俺を放り出した。

放り出され地面に激突し体中が痛い。みで悲鳴を上げる。


俺を担いでいた奴もタコだ。

2匹のタコが腕を上げ周りを警戒する。


ゴンっともう1回音がするとけたたましい音が鳴り出した。


バシュと先ほど通った扉が開き2メートルは有る巨大な鶏が入ってきた。


いや、鶏とは言いがたい。

尾の部分から蛇が生えていた。


「バジリスク」


伝承とか神話とかに出てくる、あれだ。

タコ星人も驚いてるのか皮膚の色が紫から色んな色に変わっている。


のし、のしと平然と近づいてくる。

なんの警戒心も持ってないように近づいてくる。

タコ星人もそれに合わせて後ずさりをしている。


バジリスクが俺の隣に来ると蛇が俺に巻き付き、背中に乗せる。

タコ星人と目を離さず今度はバジリスクが後ずさりし出した。


(そうかこれが竜巻のペットか)


ある程度下がると一気に振り向き走り出した。


タコ星人は追ってこない。

安堵感が広がりバジリスクの背中で脱力してしまう。


2、3分程で先程の場所にバジリスクが到着した。


「よう、遅かったな」


「生きた心地がしませんでしたよ」


「やな、何時襲われるか分からんからな、先を急ごう」


安心したのか、バジリスクの歩みなのか睡魔に襲われあがらう事はできず闇の中に落ちてしまった。



〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓


こんな駄文を読んでくださり、ありがとうございます。

誤字、脱字、文書が変等ご指摘が御座いましたらご遠慮なくコメントにお願いします。

5/15 別のエピソードに変更しています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ