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ダンジョン突入

更新が不定期です、誠に申し訳ありません。

「たまやー」


頭上を2本の雲が軌道を描き飛んでいく。


ドォーーーーーーン、ドォーーーーーーンと遠くで爆発音が響く。

うぅすらと土煙が見える。


軌道を追いかけるように2機の戦闘機が俺達を追い抜いていく。


戦闘機が頭上を飛び回ってる光景を見ると危険な区域と指定された場所は本当に危険なのだと実感する。



最後のコンビニから国道を徒歩で南下すると10分程で警戒区域と危険区域を隔てるフェンスが見えてくる。

このフェンスは警戒区域と危険区域を分けるだけでなく危険区域からのモンスターの流出も防止している、気休めだけど無いよかマシな程度だが、本当の目的は別にある。


フェンスに近づくと出入り口を固めている自衛官がアバターを眺めていた。

アバターは素通りだ。

だが、俺ら覚醒者は違う。

彼等が警戒しているのは危険区域からのモンスターと警戒区域からの一般人だ、許可なく入る一般人は密漁者とも呼ぶが。


危険区域には国が許可を出していない密漁者が蔓延っている。

奴等の狙いはモンスターが体内で生成している石だ。


ダンジョンから銃火器を使えなくするガスを発生し蔓延させているのだが、なぜかモンスターはそのガスを体内に取り込み圧縮して石にしているのだが、その石に100気圧程の圧力を掛ける徐々に溶けだし始め再びガスとなる。

このガスは燃焼温度は高い割に燃焼効率が良くガソリン等に替わる新エネルギーに為ることが分かってきた。


燃料になるだけじゃ密漁者なんて出無い。


この石の最も有用な使い道は能力向上と特技取得だ。

石を摂取する事により身体能力が向上したり知能が上がったりする事が分かると高値で取り引きされる様になる。

モンスターが地球の危機の為の討伐より石の採取の為に狩られる様になってきた。


だけどやっぱり基本スペックはモンスターが上なのだから銃火器の使えない人類なんぞモンスターから見れば烏合の衆、多くの者がモンスターの餌食になってしまった。


多くの国は正式にモンスターに対抗出来るアバターと覚醒者以外は危険区域の立ち入りを禁止する、しかし一攫千金を夢見る人達は後を絶たない。


「お疲れー」

「はいっ」

「ごくろうさま」

仲間達は覚醒者マークを見せてフェンスをくぐり抜けていくが俺のマークは下腹部だ、半透明のカッパをまくしあげ自衛官に見せる。

自衛官が下腹部に顔を近づけるとわざとらしい姿勢をとる。


「おっと手が滑った!」

下卑た笑みを浮かべながらショーツの中に手を滑り込ませる。


どうやったら手が滑るんだよ?


「これ、何かな?」

股下の突起に付けられた装飾品を弄りながら顔を上げ耳元で囁く。


「汚い手で勝手に触ってんじゃねーよ、糞が」

反対に魔力を込め耳元で囁き返す。

自衛官は体をビクッと震わせる。


「俺達がフェンスを潜り危険区域に入ると5分ぐらい後に危険区域にお前好みの絶世の美女が現れる、誰もが狙っているぞ、速い者勝ちだ、速く捕まえに行かないと取られちまうぞ」

耳元から顔を離すと汗だくの自衛官が同じ姿勢のまま固まっていた。


「通っていい?」

腕を引き抜き慢心の笑みで問いかける。


「あ・・あぁ・・・は・・はい」

呆けた感じになって返事をしているが周りの自衛官は気にした様子が無い。


フェンスを潜り危険区域に入ると竜巻が渋い顔で待っていた。


「言霊を~そんな風に使わない~」

美人は良い怒った顔もカワイイのだから。


「囚人兵、しかも彼奴は無期懲役だから塀の中で死ぬかここで死ぬかの違いだよ」


囚人兵、この非常事態に自衛官は足りなくなる急遽取られた対策が刑期減刑による自衛官の募集だ。

奴も刑期減刑吊られたみたいだが無期懲役に何を引いても無期なんだが。


「そうなの?有名な奴?」


「連続強姦殺人の犯人とデーターベースにあります」

俺の代わりに後ろでカメラの準備をしていた白雪が答える。


白雪、サージェリー製のアバターに俺達がタイタンで取ってきた魂を入れた人口生命体だ。

白い肌に艶のある黒い髪、ペルシャ系の整った顔立ち、豊満な胸と腰、見事に括れた腹、見事に誰もが羨む女性像だ。


その白雪に対をなすのが黒百合。

同じ体型に同じ顔、違うのは肌と髪の色だけ、黒百合は褐色の肌に白寄りの銀髪だ。


「塀の中で長く詰まらない時間を過ごすか、堀の外で欲望のままに短く生きるかだけの違いだよ。

それに俺の言霊だって万能じゃない、言霊で美人の幻覚を見るかもしれないがそれを追いかけるかどうかは本人次第、理性が勝てばそんなことにはならな・・・」


「うぉおぉぉおぉぉぉぉぉ」

先程の自衛官があり得ないスピードで横を駆け抜けていった。


「・・・・理性は勝てなかったみたいですね」


「だね」


「まぁ~いいや~終わったことは仕方ないね~それよりも花の道、カメラ設置しないと~今日は僕のお披露目なんだろ?」


「あぁーハイそうだった」

手を何も無い空間に入れ野球ボール大のカメラを取り出し空に放り投げる。

何も無いところに物を収めれる空間拡張という技術らしい。


以前、借金さんに仕組みを教えて貰ったが素粒子分割やら電子全剥奪やら聞き慣れない言葉ばかりで3分と持たなかった。

その様子を見た借金さんは最後にこう括り説明を終えた、あなた専用の空間で物が出し入れ出来ると言うことだけ覚えておいて下さいだった。


カメラが頭の上30センチ程で止まる。

動力源も無いのにどうやって浮いているんだろう?

これも借金さんに聞いてみたが反重力装置を組み込んだだけですねとあっさりとした答えが返ってきた。


「なぁこのカメラって覚醒者の安全を担保するためとか言ってるけど、絶対賭博の口実だよねー」


「そうですね、ラストフロンティアの延長であるアバターは当然としても私達覚醒者にもカメラを付けるのはそうとしか言えないですね」

俺のぼやきに白雪が真面目に答えてくる。


そうこのカメラによって俺らの行動は安全という名目で賭博の対象にされている。

賭博項目は様々だ、どの危険区域に入っているかから始まりメンバー構成、危険区域の何処まで潜るのか、モンスターを何匹相手にするのかまで賭けの対象になっている。


その掛け金の一部が俺達にも入って来るから無下にも出来ない。


「今日の俺らのオッズはどれぐらい?」


「モンスターを10匹倒すの30倍が最低ですね」

白雪がタブレット端末を空間ボックスから取り出し答える。


30倍、普通の人達はこの倍率は出せない何故なら俺達は覚醒者だけのパーティーだから。

死と隣り合わせだから迫真のエンターテイメントとして人気が高い。

それに比べアバターには死の恐怖が薄い、まったく無いわけじゃないが薄い、絶対なる安全が最低限確保されているから結構無茶をする。


「ならモンスター10匹が最低ラインだね」

掛けている対象をクリアする事により俺達にも配当が入ってくる、俺達の行動は賭けにより左右されてるとも言えるが。


「撮影開始」

その言葉に反応するようにカメラのレンズ横に有るランプが数度赤く点滅し青く点灯するサーバに繋がった証拠だ。


「ハーイ、世界のみんなおはようございます、今晩はー、チーム『葱背負う鴨』のリーダー桜井花の道だよー」

先程のテンションからは微塵も想像出来ないハイテンションで挨拶をする。


「うわっ?なに~テンションが違うんだけど~」


「何時もの花の道さんですよ、カメラの前だと人格が変わるみたいですね」


「キモっ」

竜巻が驚き白雪が真面目に答え黒百合が素直に感想を吐く。

体内に仕込んだナノマシンが眼球の片隅に俺の監視ウェブサイトを表示する。

リスナーからのコメントは賞賛1割、普通2割、嫌悪感とか否定的なコメントは7割だ。


そんな奴等横目にを気にせず続ける。


「日本現地時間9時28分、塩之ダンジョンからお届けしているよー

今日は前回の告知通り新メンバーの登場でーす、竜巻ちゃんだー」

大袈裟な手振りで竜巻を紹介すると竜巻も片手を軽く上げて挨拶をする。


「そして何時ものメンバーの白雪と黒百合だー

白雪は恭しく頭を下げ黒百合は軽く手を上げる。

突然、頭の上に何かが飛び乗る。


「あ、ゴメン忘れてた、マスコットキャラクターのコカちゃんだー」

バスケットボールサイズに育ったコカトリスのコカちゃんが羽を広げ挨拶をしているように見える。


「さて、メンバーの紹介も終わったしダンジョンの探索だー」

拳を振り上げ激励を飛ばしながら歩きだす。


「寒っ」

「・・・・」

「キモっ」

竜巻と黒百合は引き気味素直な感想を漏らし白雪は困った笑みを浮かべている。

リスナーからのコメントも、早く行けとかのコメントが多い。




危険区域の奥に歩みを進めると半壊、倒壊した建物が目立つ様になってきた。

俺らが目指す場所からモンスターが溢れ出てきて警察官では相手にできず自衛隊が相手にした名残だ。

危険区域の為復帰されること無く手つかずのままだ、けれども住人が居ない訳じゃ無い。


俺達が近づいてきたのが分かったのだろうカサカサと音を立てながら現在の住人がわらわらと出て来た。

体長1メートル程の蜘蛛、大きさに驚くがもっと驚くのが顔だ。

恐らく5、6歳ほどの人間の顔が付いている。


「女郎蜘蛛」

誰が呟いた。


『女郎蜘蛛』古来より妖怪と呼ばれる物がダンジョンが出来て現れ出した、ダンジョンを守るモンスターとして。

研究機関の話しでは捕食した人間の潜在意識の中にあった物が具現化したのでないかと仮説を立てたが本当かどうかは知らん。

ちなみに女郎蜘蛛は塩乃ダンジョン固有種である。


「大きさと顔つきからすると幼体だね」


「マズったなグーレイの手先が湧きそう」


その証拠に座標を特定しようとするもので掲示板は大賑わいだ。

入り口近くだから特定も糞も無いのだが。


「グーレイ~もダンジョンを放置している理由がこれか?~」


「でしょうね、この幼体が大きくなるのを待っているのでしょうね」


「グーレイの狙いが進化するモンスターを作ることだとはね」


サージェリーが不時着したあの日から異星人の存在が明らかになった。

サージェリーだけではなく何十ヵ国もの国々が太陽系に訪れており何の目的に地球に来たのか分からなかった。


そんな地球の国々が見守る中でサージェリーやメルソレアは国交を結ぶという形で友好をアピールしたり公式に声明を発表で友好をアピールしたが、唯一、グーレイは人類の進化と恭順を示した。


グーレイの発言は明らかに人類に対して宣戦布告であり侵略を示す発言だった、だが、それだけであれば友好を示した異星人の国々と手を取り合いグーレイに対抗出来たがとある大国が恭順を発表すると事態は急変する。


先日まで遺憾や不快感を露わにしていた国々が手のひらを返す様にグーレイに恭順を示した。

現在では地球上の3分の1の国家はグーレイの支配下になった。


メルソレアが主導する領有権ゲーム、ラストフロンティアでもバベルが主導領有権ゲームでも有利に進めている。


ちなみにグーレイがダンジョンが発生した前後で彷徨いていたのが地球人により目撃されたり動画が残ってた。

だからダンジョンが発生したのはグーレイの仕業であると公然の秘密である。


何故、公然の秘密かって?それはダンジョンをいくつも潰している英雄様がグーレイの仕業ではないと公言しているからだ。

いけ好かない奴だが目撃例など吹き飛ばす程の発言力が奴にはある。



「人と思われる生体反応が複数近づいてきてます」


「共闘じゃ~無いよね~略奪かな~?」


「だろうね、みんな戦闘準備!、目標、死なない怪我しない無理しない」


「「「了解!」」」


掛け声が合図になったかのように女郎蜘蛛が一斉に飛び掛かってきた。


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最後までお読み頂きありがとうございます。


誤字、脱字、意味不明等御座いましたらコメントにてお願い致します。

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