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尋問

性的な描写があります、苦手な御方は読み飛ばしてください。

「グッグッグッ」

人のうめき声の様なくぐもった声が聞こえる。


あれ?何の音?

ゆっくりと目を開け周りを確認する。


最初に眼に入ったのは自分の股間とそのお国柄猿ぐつわを嵌められ裸の縛られた女と男だった。

リズミカルに肌と肌が叩きつける音も聞こえだした。

非現実的な光景に絶句する。



目を背けようと体を動かそうとするが手足を壁に固定されてるのか動かない。

背中は床に付いているため首が90°に固定されている形になっている。


見ると手首より先、足首より先に20センチ鉄の塊が付いてた。

右足首を右手首掴み左足首を左手首を掴む形で鉄の塊を付けられている。

本来の女性であればあまりにも屈辱的な姿勢だが魂が男だからか羞恥心より呆れが勝った。


だが、躰の芯に残った熱量は明らかに燻っている。

その証拠に無理な姿勢を長時間続けていたせいで首と足首のインゴットの付け根から痛みが快感に変わり始めているし股間をさらけ出している姿勢も燃料を投下している。


「旦那、気がついたみたいですぜ」

身じろぎに気づいたのだろうドスの利いた声が横からろから聞こえたが足が邪魔で見えない。


「ちょっと待て、もう少しだ」


リズミカルな音は少しテンポが速くなり連動するかのように女のうめきの様な声も速くなる。

男のうめき声が終わりの合図になる。


「くそ、あいつの娘だけじゃ気がすまねぇ」

怒りを隠さずに吐き捨てた。


事が終わり椅子を引きずりながらペタッペタッと男が近づいてくる。

横にいた男が乱暴に髪を掴み、円を描くようにように振り回す。


「イタタタタッ!」

乱暴な扱いに思わず悲鳴が出る。


「やはり知性があるな」

椅子に座りながら確認するように呟く。


「7号、今からお前に幾つか質問する、お前は馬鹿みたいに答えるだけでいい、答えなければ分かるな?」

ペチペチと頬を叩きながら脅迫じみた言葉を吐く。


あ!こいつ、さっき居たイケメン、ジェームスとかって奴だ。


「7号、お前、クソ鳥から呼ばれてた名前あるだろ、名前は?」

引きずってきた椅子に座り尋問を始めだした。


「クソ鳥?」


「サージェリーの事だ、地球の分類では奴等は鳥類だからな。

で、名前は?」

え?荻田さんって分類は鳥なの?次に会ったときに聞いたろ・・・・・会えるのか?この状況で・・・まずは生き残る事が大切だよな、相手を怒らさない事が大切かね?


「桜井花の道」

あっさりと答える。

抵抗してもなんの利益にもならない、喋れる事は喋って、喋れない事は怒らない様に宥めながら誤魔化す。


「・・・あっさりと答えるんだな」

意外だった様だ。


「こんな状況だから抵抗しても無駄に痛い思いするだけっすよね?」


「確かにな、そうしてくれれば俺の拳も痛まなくてすむ」

納得したようだ。


「次の質問、なんで人口生命体のお前に知性があるんだ?」

なに言ってんだこのおっさん?


「人口生命体に情報をインストールすれば知性でしょ?ラストフロンティアでも普通にアバターに情報を入れて会話も出来てますよね」


「さっきと言ってる事が違うな、わずわらしい事は省きたいのだが」

声に苛立ちが混じったのが分かる。


「いやいや、正直に答えてますって。

ラストフロンティアだけじゃ無くAIに言葉をインストールすれば会話できますよね?」

ごく当たり前の事を言っているんだが?


「それが出来たら苦労はしない。

お前が言っているのはラストフロンティアに使われている人口生命体ならばの話だ。

だが、お前達バベルの子供達は違う」


「バベルの子供達?」

うん?知らない単語が出て来たぞ。


「やはりまともに話す気は無いか。

お前達バベルの子供達はバベルと言う単語にやたらと反応するんだが。

惚けてるだけか、クソ鳥の技術が我らを上回っているのか判断がつかないな。

仕方ない、おい!あれを持って来い!」


言葉に大男達が慌てて動き出す。


持ってきたのはドぎついピンク色の先端が丸くなった円柱の棒だった。


「この棒の中にグーレイが開発したナノマシンが入ってる。

これを体内に入れると我らの思うままに動かすことが出来る様になる。

善良なる者を暗殺者に、善政を引く政治家を圧政を行う悪徳政治家に変えることが出来る。


しかも地球の医療技術では発見は不可能、とてもとても素晴らしい物だが欠点が無いわけではない。


体内に侵入する際にナノマシンを増やすナノマシンプラントを作るのだが・・・それが疼くらしい。

普通なら空気中に散布して吸引させるのだが、鼻からはいると鼻炎みたい症状がでるになる、たが、尻か股間から入れば?楽しい事になるんだよ」


下卑た笑みを浮かべ棒を尻にあてがう。


「ちょっ!、ちょっと待って!」

制止の言葉虚しく躊躇無く体内に入っていく。


「イギィィィィィ」

小さい呻き声を立て痛みに耐える。


深く埋めると先端が開いたのが分かった、中から異常に熱い何かが体内に入ってくるのが分かる。


「1本だけでは寂しいだろ?もう1本行っとくか?」

いつの間にかもう1本を秘部にあてがう。


「や、止め」

涙目にか弱い声で呟く。


「旦那!」


灰色の肌の大男が部屋に駆け込んできた。


「なんだ?、うるせぇぞ」

邪魔されたのが癇に障ったのかすこぶる不機嫌な声だ。


「旦那、大変なんです」


「これから面白く成るときに!それになんで直接報告してくる?、その足りない頭にくっそ高いインプラント埋め込んでんだろ」


「すいません、いや、それどころちがうんです。

システムが乗っ取られました」

大きな体をビクつかせながら説明をする。


「は?なんのシステムが?」


「セキュリティシステムから通信システムまで全部です」


「乗っ取られた?冗談言ってんじゃねーよ腐っても国のシステムだ、そんな・・・・」「おやっ!これはこれはこれは、お楽しみ最中でしたか」

驚き声を張り上げるジェームスを特徴のあるダミ声が遮る。


この特徴のあるダミ声は俺が知っている限りではあいつらしかいない。

痛みに耐えながら腕と足の隙間から覗き見ると1,5メートル程の昆虫を無理矢理に四足歩行に立たせた感じの人影が見えた。

ラストフロンティアの運営、メルソレア星人。

通称、運ころがし虫。


「おっと、これはラストフロンティア月面治安維持部隊長のジェームス・フー殿ではありませんか。

何故あなたの様な役職の方がグーレイの関連施設に?」

いつ部屋に入って来たのだろうか?。


「だ、誰だ?いつの間に入って来きた?」

ジェームス・フーの狼狽ぶりが見て取れる。


「あなたがその棒の説明をしだした当たりですかね」


気づかなかった、てか、この人俺に棒を入れられるのを止めなかったのか?。


「ジェームス・フー殿、この娘を捕らえてるのはなんの罪状で?」


「お前が誰か知らないが答える必要があるか?、それにここは関係者以外は立ち入り禁止だ、メルソレア星人といえども控えていただこう」


痛みが徐々に和らいできた、メルソレア星人とジェームス・フーの遣り取りが聞ける程には余裕が出てきた。

それにしてもジェームス・フーって凄い失礼じゃね、メルソレア星人って運営だろ?


「答える必要は確かに無いな、だがな、関係がない訳ではないぞ、某の目的は信書をグーレイの大使にお届けする事、それとその娘を引き取りに来たのですよ」


「ほう、引き取りにですか。

ですがメルソレア星人とて法をねじ曲げる様な横暴は困りますな。

この娘は罪人、その背後関係を捜査するのは我々月面治安維持部隊に権利があります。

この娘は捜査の重要人物、おいそれとお渡しは出来ませんな」

不適な笑みを浮かべメルソレア星人に反論しているが、不味い、お尻の物が傷みから快感に変わり出した。


「確かに君たちに捜査権がある、だがね、この子の罪状『不許可拝謁罪法』なんてスィーティには無いのよ」


「は?」


「現在太陽系はスィーティの管理下だ、よってスィーティ自由民主共和国の法が適用される、スィーティにねそんな法律は無いのよ」


秘部より粘液性の液体が留めなく溢れ出した。


「君ちゃんと罪状を確認して逮捕した?この法律はグーレイのだよね?いつからグーレイの法が適用される事になったの?ちゃんと理解出来てる?不当逮捕だよこれ?確認できてたらこんな事になっていないよね?それにこの子のサージェリーの国籍持ってるの知ってる?月面治安維持部隊ってスィーティの管理部門だよね?君その自覚有る?サージェリーと戦争する気?立派な開戦理由だよね?」

メルソレア星人がジェームスを怒濤如く責め立てる。


「黙れ!太陽系の管理者たるメルソレア星人といえども我慢の限界が有るぞ。

今回の逮捕は月面治安維持部隊として職務を全うしたにすぎぬ!」

呼吸が浅く速い、明らかに興奮状態だ。


「前提が間違っているのですよ、指名手配にしたのも賞金首にしたのもあなた方、月面治安維持部隊ですよね?、組織の私物化を疑われてもしたかたないですね」


「私物化など無礼な!、名告れ!正式に外交省に抗議する!」

唾を飛ばしながら怒鳴り散らす。


「おぉ、これは失礼、某はスィーティ自由民主共和国大使館付駐在武官アダルト・ベビィと申す者、以後、お見知り置きを」

片手を胸に反対の手を広げ片膝を折り恭しく礼をする。

あれがメルソレア星人の礼の仕方なのだろうか地球人の俺から見ると小馬鹿にしてるように見える。


「え?あ?、アダルト・ベビィ大佐?」


同様っぷりが面白い、どれだけ上の人か知らないがジェームスの狼狽ぶりが笑える。


「な、なぜ、貴方のような方が」


「いやね、信書を渡しに来たついでにこの子を引き取りに来たんだけどお楽しみの最中だったからね、なかなか言い出せなかった、すまないね」

嘘だ、絶対に俺が何かされるのを待ってたはずだ。


「い、いえ、楽しんでたわけでは・・・」

しどろもどろだな、ザマァ。

そう思えるほどお尻がヤバイ。


「無いと?・・・・まぁいい、とりあえずその子の拘束を解け」


「・・・了解した」

納得いかないのか苦虫をかみつぶしたような顔で顎をしゃくり合図をする。


合図に動かされ大男が金属製の拘束具に手を掛ける。

やたらと息が荒い、目も相当に血走っている。


何を思ったのか拘束具から手を離し正面に座り直す、その手にはいつの間にか出した体格に見合った男の象徴が握られている。


「ヒッ!」「え・・・何を?」「お前!!」「・・・・」


男の象徴を俺の秘部に押し当てなんの躊躇も無く押し込む。


プチプチと小気味良い音を立てると腹の上に大男の首が落ちてきた。

頭側からも胴体側からも溢れんばかりの白い血が全身に降り注ぎ、俺を白く染める。

本能なのか首を飛ばされた衝撃なのか分からないが俺奥深くに埋め込まれた物から勢いよく何が吐き出されたのが感覚で分かった。


一気に色んな事が起こると言葉を失うってマジだな。

言葉が出ないと言うより考えられない、考えたくない。

面倒くさい。


「意趣返しか、やってくれるな」


「い、いえ!、違います!、部下が!7号の能力に負け勝手にやった事です!。

決して私が命じた事ではありません!」


「能力?7号?まさか貴様等、ラストフロンティア以外で人口生命体を作っているわけではあるまいな?

スィーティの法では特例の工場以外では製造は厳しく禁じているんだぞ。

しかも能力ってなんだ?人口生命体に新たな能力を持たせたのか!まさか地球で人体実験をしているのではあるまいな?」


「い、いや、これは、その」

絶望した顔で狼狽えてやがる。


「本格的に調査の必要性が出てきたな。

ジェームス・フー月面治安維持部隊長、明朝10時にスィーティ大使館に出頭せよ。

誤認逮捕及び人口生命体違法製造の聴取を行う、洗いざらい話してもらうぞ。

それよりもこの子の拘束を解け」

やっと思い出してくれたか。


「分かりました、空気の入れ換えをしないと」


ゴォォォと音を立て空気が流れ出した。

ジェームスが金属製のインゴットに触ると金属の塊が砂の様に砕け落ちる。


やっと拘束から解放され足を放り出して大の字になる。

大きく呼吸をして立ち上がろうとするがアダルト・ベビィが手で止める。


「動かないで」

体と羽の隙間から3センチ程の正方形の箱を取り出し俺のお腹の上に置く。


淡く青く点滅している。


「洗浄機だ、体の汚れを落とすスライム状の物が出る、体全体を覆うから苦しいかもしれないが我慢して欲しい。


それと言いにくいのだがスライムを体内に入れる許可が欲しい、君を襲ったウォーク族は哺乳類系の種族であればどのような種族であろうと妊娠させることが出来る。

君の体が本来なら妊娠出来ない未成熟な体でもウォークは妊娠させることが出来る。

グーレイに作られた悲しい侵略専用の歩兵だからね。


それと体内に入れられたナノマシンを出来るだけ取り除きたい。

グーレイ製のナノマシンは人体の影響を考慮していない物が多いからね」


「分・・・かり・・・ま・・・した」

か細い声しか出なかった。

その声に自分でも驚いてしまった、想像異常にダメージを負っていたみたいだ。


無言で頷き腹の上の洗浄機を上から押すと淡い青の点滅から激しい赤の点滅に変わり箱が弾けた。

信じられない程の大量の赤黒いスライムが飛び出し俺の体を覆う。


目を閉じ息を止めて衝撃に備えたがほんの一瞬で洗浄は終わった、表面は。


「すまない、座ってくれないか?お尻の物を抜かないとスライムが入って行けない」


お尻の物を引き抜くと替わりに生暖かい物が侵入してきた。

もぞもぞとお腹を動きまわるが痛みなどは無い。

体から離れたスライムが乳白色の塊になるとアダルト・ベビィがその塊に触覚を沈める。

先端に白い物が着いてる、ウォークの血液?先端が元の太さの何十倍にもなってる。


もしかしてアダルト・ベビィさんの触覚がウォークの首を落としたのか?

眺めている内に洗浄が終わったのか先程の動きまわる感触が無くなった。


「では、失礼する。」

俺を軽々と持ち上げ肩に座らせる。


「あぁ、そうそうジェームス・フー隊長、必死に来ていることを隠している第3王子殿下にも宜しく伝えてくれるか?

スィーティの統治下で舐め腐った真似しやがって責任は必ず取って貰うぞ、とね」


殺し文句を残して部屋を出る。


黄金色の通路をしばらく歩いているが足音が明らかに多い。

複数人の足音だ。

後ろを振り向くが誰もいない。


「あまりキョロキョロしないでくれ、誰が見ているか分からない、見えないだけで護衛が前と後ろに居る」


「あ、ハイ」


「敵地に1人で乗り込んできたわけでは無い」


「え?グーレイは敵なんですか?」


「敵と明確になったことは無いが、昔からグーレイはメルソレア星人を虫ケラの如く扱ってきた歴史があるからね」


虫ケラの如くって、あんた虫やんって思ったが言葉にすると怒らせそうる事になりそうなんで止めた。

・・・あれ?さっきの暗い気持ちが何処かに行ってしまっている。

先程のことが遠い昔のように感じるなんで?




目の痛い黄金色の通路をしばらく進むと船の停留所に出た。

グーレイ特有の流線型の宇宙船が立ち並ぶ中に一際に異才を放つ物が見え始めた、近づくにつれ場違い感が半端ない、船の停留所に若々しい葉っぱを付けた木が生えていた。

生えていたは表現がおかしい、根っこが見えてるから置かれているが正しい。

しかも巨木だ、俺が10人ぐらい手をつないでも囲みきれないだろう。


無数の根を避け巨木の中心辺りに来ると頭上から先端に輪っかが付いたロープらしき物が降りてきた。

アダルト・ベビィは輪っかに足を掛けロープを掴むと巨木に引き上げられた。


巨木の中に入ると質素だが白を基調とした清潔な部屋に放り込まれた。


「すまないが我々が君にどういう部屋を用意すればいいのか理解しあぐねてる、君がどういう生態なのか分からなかったからね。

だが、その顔を見る限り間違いではなかったようだ」

遅れて入ってきたアダルト・ベビィが安堵の声を漏らす。


「すまないがベッドに寝てくれないか、見た目はベッドだがベッドに似せた医療器具だ。

グーレイに入れられたナノマシンを完全に取り除きたい」

言葉通りに寝そべると体がマットが沈み込み頭だけを残してベッドに飲み込まれてしまった。

粘度の有る液体らしく先程のスライムと同じかもしれない。


「へ治療途中で申し訳ないが改めて名告らして貰おう、某スィーティ自由民主共和国で大佐を拝命しているアダルト・ベビィと申す者、貴女は某が責任を持ってサージェリーに帰す、安心されよ」

また片手を胸に片手を広げ片足を曲げ恭しく頭を下げる。

これは煽りじゃなくメルソレア星人の挨拶の仕方なんだな。


「あ、はい、宜しくお願いします」


「だが、帰すのに2日程不自由を押し付けなければいけないのだ、不本意だがね」


「不自由を押し付ける?」

日本語が変だ、いや、そもそも日本語を話してることさえ怪しいが。


「貴女を無傷で返還させるのに条件を出しやがってね」


「条件ですか」


「あぁ、明後日のラストフロンティアの定例会議に貴女を出席させろと言ってきたのだ」


ラストフロンティアの会合になんで?ラストフロンティアに関係ある事と言えば会社を買ったことくらいか?もうそんなことがばれてる?糾弾されるのか?


「えーと、なんでです?」


「意図は分からん、だがろくな事ではあるまい、ある程度は予想が付くがな。

ま、奴等が無傷での条件を反故にしやがったもんで某が守る必要は無いのだがね。

しかし、こちら側が守らんと奴等と同じになってしまう、奴等の揚げ足を取るにはこちら側は条件を履行しないとな」

あ、この人以外と性格悪いかも。


「大体の予想とは?」


「地球人を弄くった人口生命体のお披露目だろな、リヴァイアサンの遺伝子を手に入れたって騒いでいたからな。

ひた隠しにしていたみたいだがな、あれだけ地球人を攫ってたら何かあると調べるだろうに」


「リヴァイアサン」

古代文明ヤルハ・ウェイドの作り出した生物兵器だっけ?


「なんだアホ鳥共から教わっていないのか?」

思い出していたのを知らないと取られたようだ。

それに悪口を面と向かって言われてしまった、

俺もサージェリーなんだが?


「部下の教育ぐらいはして欲しいものだ、宇宙大航海時代には覚えておかなければいけない存在だぞ」


「あ、いや、知ってい・・・」

答える前に話し始めてしまった。


「宇宙害獣リヴァイアサン、古代文明ヤルハ・ウェイドが創ったとされる生物の事だ。

現在確認されているのは7種。

太陽光を電気エネルギーに変える返還生物から惑星のテラフォーミング用まで用途は様々だが、総じて攻撃的で船とみれば襲ってくる。

7種全てが危険生物と見なしていい。


大きさも厄介で標準的な惑星の半分程に成長する奴もいれば我らと同じくらいの奴もいる。

大きい奴は我らの兵器レベルでは傷を付ける事さえ叶わん。

反対に小さい奴は我らの兵器でも通用するが数が多くレーダーにも映りにくい、気がつけば船内に侵入されていたなんてよくある話だ。


問題なのはこの生物達を我々が理解出来てない点だ。

初遭遇から何千年と経つが習性も生態も解明されていない。

手懐けようとして襲われ、捕縛できても自爆してしまう。

遺伝子レベルの自爆らしく解明も複製も出来ないから対策のしようが無い。


クリエイトコントロールシステム、通称『バベル』それだけが作り制御出来るらしいのだが未だに発見されていない。


だが、昔からの都市伝説に今もバベルは宇宙の片隅で原始知的生命体を使って新たなリヴァイアサンを創っていると言われてるな」

人の話を聞いて欲しいなこのおっちゃん。


バベルって単語、さっき俺を拷問してくれた男、ジェームもその単語を出してたな。


「バベル」

この体がリヴァイアサンと地球人を掛け合わせた存在って言ってたな。


「恐らくだが地球にバベルがあるのだろう、そしてバベルは新たなリヴァイアサンを作り出した。

グーレイが太陽系の領有権を主張する理由が要約分かったわ」


ん!ん?ん!?


「じゃぁ、地球人はバベルが作り出した新たなリヴァイアサンであると?」

それじゃ地球人は・・・意図して作られた生物?


「グーレイのはしゃぎっぷりを見ると、その可能性は十分に有るな」


「時系列的におかしくないっすか?人類の歴史って最低でも2000年ぐらいっすよ、1億年前のヤルハ・ウェイドは地球人の進化時期とは関係無くないっすか?」


「ヤルハ・ウェイドは約1億年前から5000年前に栄えた文明だから時系列的にもおかしくは無いな。

それにバベルだけ動いているのかもしれん」


「じゃ俺達、地球人はそのバベルってのに作られたって事っすか!?」

思わず声を荒げてしまう。


「ん?俺達?作られた?お前はサージェリーの国民じゃないのか?」


あ、しまった。

いや、リヴァイアサンと地球人のブレンドだから間違いではないのだが。


「・・・」


「・・・ハァ、何やらアホ鳥共もやらかしているみたいだな」

深いため息と諦めたかの様な声がこぼれ落ちる。


「いや、あの・・・」

言葉に詰まらせれてるとアダルト・ベビィの羽と体の隙間から淡い光が漏れ出した。

光る球体を取り出し確認すると。


「ちょうどいい、荻田からの連絡だ」


その言葉に反応するように医療ベッドが頭もベッドに飲み込まみ始めた。


体を動かし足掻くが体に纏わり付いてるスライムの粘度の高く満足に動かせない。


呼吸が出来るのか不安だったがそんなことは無くちゃんと呼吸が出来る。

中からは外は見えない。

さっきまでアダルト・ベビィと話していて気がつかなかったが医療器具らしく体の至る所を触っている感触が有る。


1番動いているのがお腹の中だグリグリと動いているのが分かるのだが神経が鈍っているのか痛みは無い。

何処から入って来ているのかは恐いので深く考えないことにした。

しばらくお腹を見ていたが段々と心地の良い感覚が頭を支配し始めたので抗う事無くその感覚に身を委ねると一気に夢の中に引きずり込まれた。


〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓

〓〓〓〓〓〓〓〓〓

〓〓〓〓〓〓〓

〓〓〓〓〓

〓〓〓


「あれ?ここ何処?」


意識がハッキリとしない。

周りを見渡すと清潔感の有る白を基調とした何の変哲も無い部屋だ。



木製らしいドアが開き昆虫を無理矢理に四足歩行にした生物が入ってきた。


あれ?何処かで見たことあるような?


顎牙をカチカチと鳴らしているが音が聞き取れない。


ひょいと体を持ち上げられ肩に座らされる。

顎牙をカチカチと鳴らして何か喋っているのだが聞き取れない、考えが纏まらない。


大きな木の中心から降りると無数に枝分かれした根を避けながら歩くと暗闇の中に1台の大きな車が止めてあった。

その車に入るとベンチらしき物に座らされ昆虫が顎牙を動かすと車が動き始めた。


ベンチに座りながら流れゆく街灯を幾つも通り過ぎるのを眺めなていると、暗闇の中に煌々と光る何かの前に車を止め、また俺を肩に座らせ灯りの中に入っていく。

カラカラと音を立て扉を開けると様々な匂いが体を通り抜ける。

焼けた匂い、少し腐った匂い、アルコールの匂いが少しだけ頭を刺激する。


「・・・ら・・・しゃい」

完全では無いが音が聞き取れるようになってきた。


扉の向こうには様々な形の生物が大声で話したり何かを飲んだり食べたりしている。


そんな生物達を横切り誰も座っていない木製の椅子に座らされる。

昆虫もテーブルを挟んで木製の椅子に座る。


「おっ・・・ん、生・・・つ」


「あ・・・よー」


座わられた時に少しだけ衝撃が強かったのか、衝撃が快感に変わり体を走り抜けると下腹部が凄い勢いで熱を帯び始めた。


快感を押さえようと手で押さえ付けるがそれも新たな快感になってしまった。

指が股間の中心に触れ更に強い快感を生み指が止まらなくなってしまった。


「ハイ、生2つお待ち!」

透明感のジョッキに麦色の液体と白い泡が浮いている。


「はい、ありがとう」


「ですがねスィーティの旦那、あんたのペットか何か知らないが、こういう事は他でやってくれないかね」


「すまないね、医療ポットから出て意識が混濁してるんだと思う」


「アッ・・・アッ・・・アッ・・・」


「なら、せめて服くらいは着せてあげようや」


「事情があってな、着せれないんだ」


「さよか、他に注文は?」


「メルソレアが好きそうなつまみを2、3種類頼む」


「あいよ、そちらの嬢ちゃんは?」


「うーん、地球人が好みそうなのを頼む」


「ァッ・・ン・ンーーー」

一際強い快感が体を駆け抜け全身に倦怠感が支配する。


「終わったか?」

目の前のメルソレア星人が優しく問いかけてきた。


「ハァ・・・ハァ・・・え?、えーと?ハイッ?え?マジ?」

自分のしでかしたことに血の気が引き瞬時に顔が真っ赤になる。

恥ずかしさから顔から火を吹きそうだ。


「まぁ飲め、アルコールがその特異体質の機能を弱める」


「特異・・体質?いや、あの、その前に俺・・・裸・・・なんですけど・・・」


「慣例でな、邦人返還は引き渡しは引き上げた時のままでってという謎の慣例があるんだよ」


「・・・マジですか、じゃ引き渡しされるまで裸のままで待っていないといけない?」

恥ずかしさで死にそうだ。


「あぁ、裸は気にしなくていい、殆どの種族は服など着ないから」

いや、そんな問題じゃねーよ、地球人の文化知らんのかい。


「いや、そんな問題じゃなくてね。

・・・なんで個室じゃないんですか?ここ日本の居酒屋ですよね」


「正真正銘の日本国内だな。

何故ならば先程話したラストフロンティアの会合の場所がこの店の目と鼻の先だからだな。

また、発情されても困る」

なんでこの人はこな困った体質の押さえ方を知ってんだ?


「そ、そうなんですね」


目の前に置かれた麦色の飲み物に口を付ける、

見た目通りビールだった。



「なんやなんや、盛り上がって無いなー」

荻田さんの声が後ろから聞こえてきた。


「遅い!」

アダルト・ベビィのだみ声が店内に響き渡る。


「なんや花の道、愉快な格好しとるやんけ」

顔の表情は判別出来ないが何となくニヤついてるのが分かる。


「なら服買ってき下さい」

何も無いとこから服が出て来る。

未だにあのアイテムボックスの原理がわからない。


「すいません、少し遅れましたね」

遅れて水色の肌のサージェリーが姿を現す。

水色の肌だからヒジュ少将かな?


「親父ー生2つ」

注文しながら椅子に座る。


「あいよー」


「すまんなベビィ、手間掛けたわ」


「気にすんな、こちらの条件も飲んだんだ」


「此度は我が国の国民を迅速に救出して頂きありがとうございます」


「これはヒジュ少将、ご丁寧に、お気に召されるな。

我こそ責務を全うしたに過ぎません」

荻田さんとヒジュ少将の態度が違いすぎる。

荻田さんはキャラネーム呼びなんだな。


「で、荻田よ、いつ頃地球軌道に?」


「いつ頃や?」

荻田さんがヒジュ少将に首を向ける。


「明日の昼には大気圏突入します」


「地表面まで降りてきてくれるのか?」


「はい、地球軌道だと地球を覆っている球体ディスプレイが邪魔をして我らの船を見えなくしてしまうかもしれませんから」


「そうだったな、地球人にラストフロンティアで起きている事を隠すために成層圏と中間圏の間に球体ディスプレイをばら撒いたな」


「はい、我らの船が大気圏突入する事によってラストフロンティアに真実味が増すでしょうね」


「ありがとう、そしてすまぬ、本当にすまぬ、先に謝っておく」


「ん?どないしたんや?」

荻田さんとヒジュ少将が顔を見合わせる。


アダルト・ベビィ大佐が体と羽の隙間から一冊の本を取り出し机の上に置いた。


「先ずはこれを見てくれ、つい先程これが届いた」


荻田さんとヒジュ少将が本の上に手を置いた。


「うわ、これ、ヤバイ奴やん」

「惑星内戦力殲滅兵器オルガネスト?」


本に手を置いただけで読み取れたみたいだ。


「で、これが?」


「2カ月ほど前にサージェリー立ち会いの下、我等が仇敵アポロゼウスとの休戦協定がなされた。

その時にアポロゼウスが手土産に持ってきたのがそれだ」


「で、ワイ等にこんなん見せる意味は?」


「スィーティ・スィージュの議会にこれを地球に使用する案が出された」


「なんや議会に出されただけかいな、うちの方から外交圧力掛けたらええんか?」


「スィーティ・スィージュの議会がある惑星から地球まで何万光年掛かると思っているんだ、もう可決されてる。

それにな恥ずかしい話しだがスィーティ・スィージュに加盟している国の政治家は腐敗が凄まじくてな、議会に議案が出た時点で否決されることはまず無い」


「ほう、となると、どないせぇゆうねん」


「某も決めあぐねている。

ただ、情報を至る所に流してがどう動くかで某も動きを決める」


「えらく他力本願やん、・・・分かった、とりあえず本国に情報を流すわ」


「頼む、それとこれも持って行け」

また背中から本を出してきた。


「オルガネストの実験報告書と某の国からスィーティ・スィージュ議会に出した議案書だ」


「分かった、ほな行ってくるわ、1時間か2時間ぐらいで戻って来るさかいに待っといてや」


「は?何言っているんだ?サージェリーの母星が何処にあるか知らんが1時間は無いだろう」


「いやいや、大丈夫やで。

そや、帰って来る証拠に花の道置いていくわ」

は?何言ってるんだこのおっさん?


「ヒジュ、大至急でお願いするわ」

「了解」

ヒジュ少将が報告書と議案書を持って店を出て行く。


「ほな、ワイも根回ししてくるわ、ほなな」

そそくさと荻田さんも店を出て行ってしまった。


「いや、待てって言っても某もそれなりに忙しいのだが・・・仕方ない、桜井君、飲もうか」


「あ、はい」


こうして俺は2人で飲むことになった。


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「なんやなんや、盛り上がって無いなー」

荻田さんの声が後ろから聞こえてきた。


「遅い!」

アダルト・ベビィのだみ声が店内に響き渡る。


「悪い悪い、色々とやることあったねん」

椅子に座り込みながら謝るも悪びれた様子は無い。


「で、お前の所の報告書読んだわ、ぶっちゃけマジで言ってる?」


「大真面目だ」


「いつからメルソレア星人は他種族の命を軽んじる政策に変えたんや?

今までの政策と180°転換しとるやん」


「某もそう思っている、我々スィーティは原始知的生命体を保護する立場だったはずだ。

しかし、今回の決定は明らかに地球人の虐殺に繋がる」


「分かっとるやん、じゃあなんで承認した?」


「本国が決めたことに某が拒否など出来る訳が無い。

当初から某に拒否権など持っていないのだから」


「そうか、お前では止めれんか」


「某も今回の決定には反対だ、だが、表だって妨害するわけにもいかん、何か手は無いのか?」


「いや、簡単やで、地球人が自分達で戦えるようにしたらええねん」


「簡単に言うがな武器の提供なんぞしてみろスィーティ・スィージュとヒュードラとの代理戦争になるぞ」


「大丈夫や、ワイ等が提供するんはアバターの生成装置とデータクリスタルだけや。

アバター生成はクローン技術ちゅう名前で地球人は出来てる。

データクリスタルは地球人の技術ではリバースエンジニアリングは出来へん。

つか、ヒュードラ以外作れへんやろ」


「アバター生成装置?データクリスタル?まさか、ラストフロンティアを地球人に提供するのか?」


「ラストフロンティアのデバイスはもう提供してるんや問題あるか?」


「問題しか無いと思うが?それに荻田お前の一存で決めれないだろ」


「それも大丈夫や、ちゃんと枢機卿の許可貰ろうて来たで」


「どうやって?報告書渡したの2時間前だぞ、最寄り恒星系まで最低10日掛かるんだぞ」


「そこはヒュードラマジックと思うてくれや。

それよりもダンジョン生成装置『オルガネスト』か。

そんなん使われる地球人は不幸やな」



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駄文をここまで読んで頂きありがとう御座います。


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