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攫われた

エピソード14の続きではありません。

ストーリーを大幅に変更しています。

『番組の途中・・・臨時・・・ュースをお伝・・・す』


バラエティ番組からニュースに突然切り替わった。

俺はソファーに座りながらぼんやりとテレビを眺めていた。

手足には包帯を巻き所々血が滲んでいる。


『先日、国連・・・にて決議されまし・・・人類統一政府案・・・先程アメリ・・・上院、下院両・・・会を通過・・・しました、アメリ・・・合衆国大統領は異例ではあ・・・・りますがアメリ・・・両議会キャピトル・・・て署名。

これに・・・り参加を表明してい・・・195ヶ国全ての議会、首脳陣・・・り承認が得られ・・ことになり地球統一政府『クライ・ステイ』・・・発足しました。


アメリ・・・元大統領が署・・・後、初のクライ・ステイの議会がキャピトルにて開かれ元アメ・・・カ対外諜報治安維持省・・・ルシファー・フー長官が初の終身大統領・・・・選出されました。



これに対し・・・クライ・ステイに・・・加を表明していない、・・・本、イング・・・ンド、オーストラ・・・アの3ヶ国・・・共同で記者会見を開きクライ・ステイ・・・外来知的生命体・・・傀儡政権だと痛烈・・・批判しました。

ルシファー・フー終身大・・・領は3ヶ国に対し「誤解を解く為の席はもう準備している、拳を振り上げ・・・前に1度対話の席・・・付いて欲しい」と冷静・・・判断を呼びかけ・・・した。


同日ロンドンに・・・反クライ・ステイを第一目標掲げた新の独立国家としての地球連合『ソルリアン』を発足・・・ました』


キャスターが重大なニュースを伝えているのだが頭に入ってこない。



『ソルリ・・・・ン発足に伴い、我が国は・・・イング・・・ンド、オーストラ・・・アと共同統治・・・なりますがイギ・・・ス王室がグレートブリテ・・・島を放棄した・・・めイング・・・ンド政府、オーストラ・・・ア政府は・・・天皇・・・下を国家元・・・と定めました。


我々、ソルリアンはクライ・ステイ・・・紛争状態にな・・・元内閣総理大改め現・・・本州知事より緊急非常・・・態宣言が発令・・・れました。

これに・・・以下の地域・・・住まいの方は・・・避難所に・・・難して下さい』


キャスターが次々と地名を読み上げていくが上手く聞き取れない。


痛みに震える手でタバコを取り出し口に咥え指先に火を灯す。


空気と共に煙を吸い込み煙を吐く。


「お前いつ・・・間にタバコな・・・覚え・・・だ?」


煙の匂いに気が付いたのか後ろの女性が話しかけてきた。

銀色の長い髪と整った顔立ち、ラストフロンティアで理想や欲望を体現したアバターのボディに入れられた、この作戦の為だけにサージェリーに作られた悲しき人口生命体の1人だ、名を『白雪』と言う。


「いや、元から吸ってたよ」


「ふーん、そ・・・さー部屋臭く・・・るから止・・・な」

鼻を摘まみ嫌な顔をする。


「それよりも、何人ぐらい逃げれるのかね」


「知ら・・・い、こ・・・国の政府が・・・かりしてれ・・・半分・・・は残・・・じゃない?」


「以外と冷たいな、地球人なのに」


「姿が・・・地球人なだ・・・けで私はサージェリーの国民だ・・・からね」


「そっか、ジェームズ・フーも、いやルシファーに改名したんだっけ、初めての地球の王もそんな感じなのかね」


「な・・・が?」


「ルシファー・フーは地球人なのにグーレイや他の異星人に日本、イングランド、オーストラリアでは好きに狩りをしていいって言ったんでしょ?」


「さぁ知ら・・・い」


「地球・・・一政府クライ・ステイ、初代・・・終身大統領・・・シファー・フーか」


いつの間にか荻田さんが後ろにいた。


「コイツ・・・はグーレイが直接統治・・・するには外聞がよろし・・・くないから立て・・・るだけやで。

つま・・・傀儡や。

別にコイツ・・・が地球人の狩り・・・を許可したわけやないで、コイツ・・・にそんな権限有るわけ無・・・・ん?・・・・花の道お前の体に魂が・・・つ有るな、時間・・・超えて過去から覗・・・に来とるな」


「え?未来視のスキルが発動してるッスカ?」


「たぶんな・・・、お前・・・未来視は気絶・・・寝てる時に発動・・・るタイプや、何回目・・・の未来視か判らんけ・・・確か未来視・・・分かった時は・・・グーレイ・・・バカ王子に拉致られ・・・時やな。

よく聞きや、散々・・・極刑とか脅さ・・・るけど対応さ・・・間違えん・・・ったら死なへんから、あとグーレイ・・・敵と認識す・・・んやで、敵と認識す・・・事によってサージェリー・・・血が動き出すからな。

それとグーレイのバカ王子の対応はどげ・・・が基本・・・ぞ」




「起・・き・・・ろ」

微かに声が聞こえる。


「起・き・・ろ」

また声が聞こえると同時にペチペチと頬に衝撃を感じる。


「起きろ!」

腹部に激痛が走る。


「ォゴッ」

苦悶の声が漏れ出る。

反射的に体をくの字に曲げ手で腹部を押さえようとするが腕の自由が効かない、両手を後ろに縛られていた。

乱暴に髪を掴まれ無理矢理持ち上げられた。


「起きた?」

ハリウッドスター並みのイケメンが嫌な笑みを浮かべ顔を近づけてくる。


「ゥゥ」

うめき声しか出ない。


「これこれジェームズ、余り手荒に扱うでない」

ジェームズと呼ばれた男の後ろから更に声がかかる。


初めて聞く言語だが頭の中に意味が浮かぶ。

それに恐怖を掻き立てられる程の美声。


「申し訳ございません、殿下がいらっしゃいますのに寝こけられているのは余りにも不敬でしたので」


ジェームズと呼ばれた男は床に叩きつける様に手荒に手を離し脇に控えた。


視界が開けると初めて聞く言語の主が見えた。

だだっ広い銀色の部屋の真ん中に何かの骨を模した悪趣味な椅子に座り俺を見下ろす生物が。


初めて見るが知識としては知っている地球で最も有名な異星人グーレイだ。


大きな瞳、銀色の肌、大きな頭に比例しない華奢そうな体、赤か紫かは分からないがゆったりとしたローブのような服を着ている。

ラストフロンティアでは地球の領有権を巡り争っている3ヶ国の内の1ヶ国だ。


なのにラストフロンティアをプレイしててもグーレイだけは出会ったことが無い。

レセプティやドラゴニア、ミールーとて滅多に見ないが見ない訳じゃ無い。

だが、グーレイだけは見ない。


彼等曰くグーレイの視界に地球人が入ることすら不敬、下々の者たる地球人がグーレイたる高貴なる者の玉体を許可無く拝謁する事も不敬になるという設定だから見なくて当たり前だったがゲームの設定だと笑えるが現実だと洒落にならない。


偶然に姿を見た、それだけでもグーレイの逆鱗に触れる可能性がある。

それ程までにグーレイのプライドは高い。



だが、何故か分からないがグーレイの姿を見てると頭が冴えする今なら冷静な判断が出来そうな感じがする。

先程の荻田さんの言葉が思い出されてきた。


グーレイを敵と認識する、そうすればサージェリーの血が動き出す?意味は分からないが冷静になれてるからそう言う意味か?


荻田さんは未来視と言っていた、言葉通りなら確定した未来を夢の中で視ていた。

ただの都合の良い夢かもしれないが、あれは、あの光景は夢では無いと何故か確信が持てた。


目を閉じゆっくりと考える。


(未来視では包帯を巻き怪我をしている感じだったが俺は生きていた。

選択を間違わなければこの状況から何とかなる。

聞き取りづらかったがどげって土下座の事だろう)


腕を後に縛られているため首に力を入れ膝を折り額を金色の床に擦りつける。

 

「ほう、最低限の礼儀は知っている様だな」

俺の土下座に満足げな声色を出す。

あまりの美声に恐怖が倍増している錯覚に襲われる。


「で、ジェームズ、コレはなんだ?」

声に疑惑の声色が混じっているのが分かる。


「殿下が懸賞金を掛けた試作体7号で御座います」


「ほう吾の元より逃げ出したパカリに連れらた7号か」


「さようで御座います」


「で、コレは何処に居たのだ?」


「サージェリーが匿っておりました」


「なるほどなるほど、クソ鳥共が匿っておったか、ジェームズお手柄よのう、懸賞金はお前が受け取るとよい」


「はっ、有難き幸せ」


「だが、少し不味かったな」

パチッと音がするとジェームズが感嘆の声を漏らす。


「おぉ、これは太陽系の星図ですか」


(うん?何が起きてる?星図?)


「我がグーレイが太陽系で張り巡らせているレーダー網だ、第8惑星を見てみろ」


「第8惑星、海王星のあたりで何か点滅していますね」


「そのマークは戦艦だ、7号も面を上げ地図を見ることを許す、見てみるがいいこの星図を!!」

頭を上げ正座する形になると5メートル程の星図が視界に入って来た。

大きいだけで何の変哲も無いグラフィック型の太陽系の星図だ。


「?」

(何を言ってるんだろ?星図なんてゲームでもリアルでも普通にあるだろ?)


「殿下、申し訳ございませんが無知な私めは意味が理解出来ません、この地図がそれ程までに素晴らし物なのですか?」

ジェームズと呼ばれたおっさんも分からないらしい。



「ジェームズ、もう少し現状を学べ。

つまりなこの星図はリアルタイムで動いているのよ」


「・・・・・申し訳ございません」

(おっさんイマイチ分かっていないね。


多分だけど太陽から海王星まで光の速さは4時間ほど、通常では光の速度は超えれない。

ゲームのラストフロンティアでも通常空間では光を超えれていなかった。

ましてや光を使うレーダーなんてどうやって?)


「お、7号は何か分かっているな、発言を許す答えてみよ」


(え?俺?)


ジェームズが鋭い目つきで睨んでくる、殺意の籠もった視線に体が敏感に反応したのか下腹部が熱を帯びだした。


「どうした?早く答えよ」


「は、はい、この星図は光を超えれないのにどうやって4光時前の海王星にいる船を今を知れたのかですか?」

ジェームズを横目に考えを口に出す。


「その通りだ、レーダー等は光を使う物は距離と言う壁は超えれない、リアルタイムでは使えないと言うことになる。


現在は船に空間を歪ませるハイパードライブシステムを積み限定的に亜空間を作る事により光より速く動ける船が目的地に行き観察しそれを持ち帰る、そんなやり方だが、それはリアルタイムでは無い、どうしてもタイムラグが出る。

通常空間では光は超えれない。

ではどうするか、それこそクソ鳥共の技術ラストフロンティアよ。


原理は解らぬがアバターと本体は如何に離れていようとも繋がっている。

アバターが見た物、聞いたこと、体験したこと全てが瞬時に本体に伝わる。

それを応用しレーダーシステムや通信システムに組み込みアバターを太陽系にばら撒けばこのような物が出来上がる訳よ」


「殿下、大変な発明で御座います」


(このおっさん太鼓持ちやな)


太鼓持ちのおべっかに満足そうにバカ王子が頷く。


(ん?てか、アバターが見渡せる距離って何キロよ?この広大な太陽系をカバー出来る数をばら撒いた?そのアバターに繋がる人間も何人要るのよ?)


「何か言いたそうだな7号よ」

表情から感情は読めないが声色からは嬉しそうな感じがする。


「あ、あのこのレーダーに何人ぐらい必要なのですか?」

バカ王子の逆鱗に触れないように言葉を選びながら聞いてみる。


「2万個程か、完成度は30パーセントだがな」


「2万、個?」

(やっぱり人間を生命体と認識していない)


「あぁ勘違いするな必要なのは認識する能力の有る臓器だけを仕様しているだけだ」


「認識する能力の有る臓器?」


「いわゆる、脳だな」

嫌な笑顔をしながらさらりと答えやがった。


その言葉に背筋が凍り付く、それに比例するかのように下腹部に熱を帯び股間がうずき始めた。


「クックックッその様な体に作られ哀れだな」

下卑た笑いが熱量とうずきを更に加速させる。

疼きに対し両手を縛られている状態では何も出来ず身をよじらせ耐えるしか無い。

しかし、身をよじらせたのが不味かった、胸は服と股間はショーツと擦れ快感を生み出した。


「貴方がこのような体に作ったのでしょ?」

怒らせない程度の皮肉を言いたかったが皮肉を込めるほどの文才は俺には無かった。


身をよじればよじる程に新たに快感を生み出し神経が研ぎ澄まされていく、胸と股間に付けられたピアスも快感の創出に大きく貢献しだした。


「クックックッ残念だが吾が考えた訳では無いぞ?お前らの主が決めたこと吾の預かりすることではない」


(俺の主?)

バカ王子が口を開く度に新たな快感が創出されていく。

座って居ることが出来ず寝転がりイモ虫の様に身もだえる。


「何かおかしい、声を聞く度に快感が大きくなる」

疑問が口から滑り落ちた。


「やっと気付いたか、吾が知的生命体の頂点に立つ所以よ、吾等グーレイの王族のみが声に相手を操作出来る周波数を出せるのよ」


「誠で御座いますか殿下」

ジェームズ・フーも知らなかったのか驚いた表情を浮かべている。

と言うかジェームズ・フーも息が荒い。


「なんだお前もも知らぬのか、困ったものよ。

その昂った整理現象は7号で解消するとよい、直に7号はクソ鳥共に引き渡さねばならぬでな」


「どういう事で御座いますか?」


「星図を見てみろ」


視線を星図に向けるとさっきまで点滅していたマークは1つだったのが50近くにまで増えていた。


「クソ鳥共が太陽系に隠していた船をかき集めてこちらに向かってきおるわ」

手で操作して星図が拡大される。


「サージェリーが?太陽系に船を隠していた?何を考えている?太陽系は暫定的だがスィーティー・スィージュの管理下に置かれているのだぞ」


ジェームズ・フーが驚愕した表情を浮かべ譫言の様に呟く。


「クソ鳥共め次の手はスィーティーに外交圧力を掛けて我らに7号の返還をさせるってとこか」

バカ王子はジェームズ・フーを無視し独り言を吐く。


「殿下、スィーティーの大使から書状が届いております」

バカ王子の後ろから新たな美声がする。

バカ王子ほどではないがとても綺麗な声を出すグーレイがバカ王子の横に立っていた。


そのグーレイは黒くゆったりとした服から金属製の円柱の棒を乗せた盆をバカ王子に差し出す。


無言で受け取り金属棒を握りしめ力を緩めると1枚の金属の板に変えた。

マジマジと眺めていることからあれが信書なのだろう。


読み終えたのかため息を吐く。

「読み通りか、面白味の無い奴等よ、所詮鳥は鳥か。

誰か、7号をクソ鳥に引き渡させる様に飾り付けてくれ、吾の好みにな」


その声に応えるように2体?2羽?の見目麗しい人間と鳥が混ざった人達が現れた。

俺の知識ではハーピィーと呼ばれる想像上の生物に見える。


そのハーピィーが俺の姿を見ると明らかに汚い物を見る表情を浮かべる。


そりゃそうだ、身もだえしながら口と股間からヨダレ塗れの奴なんて障りたくもない。


汚物を障るかのように接触部分は必要最低限にし俺の肩を持ち引きずられながら出口に向かって歩きだした。


「待て」

ジェームズ・フーがハーピィー達を呼び止め、銃を俺のこめかみに押し当てる。

銃の薬室と呼ばれる部分に緑色の液体が見える変わった銃だ。


「暴れられても困るんでな」


バシュッと音と共に周りの景色が暗転した。



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ここまで読んで頂きありがとうございます。

誤字、脱字、意味不明等ありましたらレビューなどでお知らせ下さい。


今までのを読み返すと間違いが沢山ありますね。随時直していきます。

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