夢中延命
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
本日見た夢の話。延命された気がした夢の話。
沈んだ顔で彼奴と別れた翌日の事。彼奴はいつも通り同じ光を宿さない双眸で、俺を見付けた。何時もの光景だった。この世に何一つ希望を見出さない目。けれども本日は少しだけ明るい気がした。
簡単な挨拶を交わした後、早速話を切り出す事にした。
「帰った後に良いことでも?」
「まぁそれなりに。誰かに聞いて欲しかったから、聞いてくれると。今日の夢の話」
今日の夢、結構、幸せな夢だったよ。海を泳ぐ夢。珊瑚色の浅瀬に着陸する夢。なんかね、一緒に泳いでいた人がそれは小さな骸骨の山なんだよ。って不謹慎な事言ってた。でも痛く無かったな。凄い足を包んでくれる。ふわふわ、ふこふこ……。何だろ。踏み締めた事がある様な。
あの人はあんな物騒な事を言っていたけれども、あれはきっと珊瑚の欠片だと思うよ。砂粒にかるまで波で磨かれた星屑だと思ってるよ。
その後に場面が変わって、何処かの喫茶店にいた。オシャレでは無かったね。どっかの人の家のリビング、あの生活感溢れる部屋をそのまま店にしてる感じだったから。
そこでアフタヌーンティーって言うの? スタンドに皿が引っかかってて、ちまちましたケーキやらクッキーやらが乗ってるの。そこに乗ったお菓子を食べてた。映えとか無くて素朴だけど結構美味しかった。
「良い夢じゃないか」
「そうね、海も砂も優しかったし、ケーキも美味しかった」
それから何かを考える様に俺から視線を逸らし、執拗に髪を撫でた。少々雑でありながら、愛情を感じさせる撫で方だった。彼奴が精神を安定させようとして居る時の仕草だった。それから気が済んだ様にまた、虚空の瞳に俺を映す。
「生きろって言われてる気がした。死んだらこんな幸せな夢も見れないんだぞって。それからその後……その後……なんだろ……何か死に関わる何かを見させられた気がする。やっぱり延命させられてる気がした」
長く話して疲れたらしい。一呼吸を置いて、二三度肩で息をして、視線を逸らす。此奴が口を開くよりも先に、俺は決定打を穿った。
「また夢の話が聞きたい」
「じゃあ生きないとね」
光の映さない双眸。しかし今だけは明るい気がした。
しんどい事があって、死にたいと思った事なんか割とざら。
その度に延命させられている。生かされているとも。
という話はこれまでに何度もして来たと思います。
今回は夢が優しくしてくれたので、この話になりました。
夢の話はこの子が話してくれたのと大体一緒。
優しい海を泳いでいたら、珊瑚色のスカスカでふわふわの浜に上陸した話。あと生活感溢れる喫茶店でアフタヌーンティーキメる話。
また見たいと思う程、幸せでした。
こんな小さな事が一種の延命で、生きる理由だと思います。
まぁ、暗い話はこれくらいに。
本題の小学生の頃にやったカオスな遊びでも。
美術? 図工? の時間、先生の話が退屈だったんですよ。
だから目の前に並んだ白い胸像を見て、話を考えてました。
皆顔が暗いんですよ。白目剥いてるから当たり前。
女の子が一番端で、しかも床を見てるんです。だから。
近づいたら飛び降りるから。さよなら。パパ、ママ。
やめなさい!! メアリー!!
ううん。もういいのママ……。
みたいな話を延々と、延々と繰り返してました。
五十分繰り返すと苛立ってきて、胸像に平手打ちしたくなりますよ。べちんって。
この頃から闇が深いな……( ¯−¯ )( ¯−¯ )
もしも胸像があったらそうやって遊ぶと楽しいですよ。