悲劇
パソコンは恋人だと私が言った。
そう私の思い通りに動いてくれる理想の彼氏♡
さて今日も、彼氏を使ってゲーム作りますか!
パカッ
ノートパソコンを開く。
鼻歌を歌いながら、カチャカチャとキーボードを打つ。
スタジオコードを開けて、ライブラリをインクルードして
いざプログラムへ!
でもその前に、お茶を持ってこようと椅子を降りた瞬間
コンセントにつまずいて地面にビターンと倒れる。
それが私だけなら良かったのだが、パソコンも一緒に
高い机からヒューンという効果音と共に落ち、
ガシャーンと嫌な音がした。
もちろん私は顔面蒼白である。
「いやーー!私の私の数少ない友人が!いや、彼氏が!」
親不在の自宅で泣き叫ぶ大学生。
彼氏消滅危機に陥る。
すぐに修理屋に電話し、パソコンを引き取って貰った。
もう私の心は死んだ。生きている気がしない。
パソコンは命の灯火なんだ。壊れたらその炎も消えるんだ。
―――――
「という事が最近ありまして」
号泣しながら語ると二人はひそひそとお互い話し始めた。
「今の彼女は実質独り身。この意味が分かりますね?」
「ああ、分かるぜ。今なら彼女のパソコンを越えられる可能性がある。人間は物なんかに負けねぇ」
この言葉から分かる通りだが、蓬莱 游は、霧先 真奈美
という女性に恋しているのだが、彼女は人間にはあまり興味がなく、見ての通りパソコンの事を彼氏と呼ぶ程の変人である。
今彼は彼女のパソコン(彼氏)に負けている状態である。
心の中では、その彼氏いっそのこと破壊してやろうかと
さえ思っていた。
「何ヒソヒソ話てんの?私の話聞いてたのかよ」
「御愁傷様です。今度良い男を紹介しますよ」
チラリ
「ああ!そんな物無くても、大丈夫だ。俺がいる!」
と一人は励ましもう一人はアピールはかかせない。
「それより僕成績で履修科目8個の内4個、評価S取りましてねー」
唐突の話題の変換したと思えば・・・・。
見下すように笑っている三日内 隼人を
二人はキッと睨み付け
口を揃えて言った。
「「優等生は黙ってろよ。潰すぞ」」
「怖いなあ、それはもうただの暴言・・・いや嫉妬ですね(笑)」
わざわざ煽り性能が高い (笑)を付けた事に二人を苛つかせた。彼のそういう所はいつもの事だけど。
(毎回こういう話題の返答が息ピッタリなの本当に笑えまるね。いや当たり前の反応か)
反省の色も見せず形だけ、降参の意で両手を小さく挙げて、
二人にバレない様に、鼻で笑う。
彼女は無言で、机の上にぶっ倒れる。
こんなんで倒れるなんて重症だぜ真奈美。
「もうさこんな奴ほっといて俺らでどっか行こうぜー?」
隼人に呆れた俺は彼女を無意識にデートに誘った。
「ああ、そうだね。私もそれに同意だわ」
死んだ目をしながら、誘いに乗った。
二人は鞄を持って、スタスタと隼人を置いて教室を出ていったと思ったら二人は戻ってきて
「あばよ、優等生」
「また明日ねー」
と挨拶して去っていった。
ポツーンと取り残された教室に、カーカーとカラスが鳴く。
「・・・・・まじで置いてかれたし。でもまあ、しれっとデートに持っていけたのは我ながらグッド。後で感想聞こー♪。楽しみにしてるよ、游」
僕は自分の荷物を持って、教室を出た。
帰りにスターコーヒー寄って帰ろー♪