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CS…… consumer


CS……

consumer の略であり、消費者の意味を持つ。



 金髪のツインテ少女、ルチアノはメイルと今日こそ決着をつけようと意気込んでいた。


ずんずん! と廊下を歩いていたときに、一人、奇怪な少女が現れた。

緑のたゆたう癖のある髪に、桜の花びらみたいな瞳孔の、個性的な少女。

「ちょっとぉ!」


と、仁王立ちした、北国にあるエアリア家のお嬢様。それが、

ラコ・エアリアリティ=ミュンヒハウゼンだ。

長いから、ラコでいいよ。


「あなたたちが、ストックフィッ」


噛んだ間に、ルチアノたちはさっさと先へ歩いていく。


「わ、わたしが、結界を緩める手助けしたんだから! ちゃんっとCS計画は進めなさいよ!」


ずるずると引きずられながら、腕にしがみついたラコは、ルチアノのそばで強気で囁く。


コンシューマー計画。

それは、純血の 花たちを『消費』する、家畜化計画だ。

データ化し、数値化し永久保存の後に、他の人類の発展のための贄として捧げるというもの。

「CS計画は、順調にいくはずよ」


ルチアノが上品に言うと「そ、そぉー! ならいいのよ!」 とラコはリアクションを必死にした。


ああああーっもう。

私のがお嬢様。

ラコお嬢様なのにっっ!!

なーあんで、あいつ、気品バリバリってる感じ!ハラタッツワ!

もう!もうもう!


と頭の中で強く地面を踏みつけてるラコ。

 カーユにも、うまいことツルナルールをつれてきてもらう手筈になっていた。


時刻はまだ早朝。

まずは、さっき穴を開けた結界から自分たちの痕跡を消さなくちゃならない。

穴があきっぱなしだと、どんどん ジャマが増えるし、すぐ通報が行く。


「いーい? 手近な純血を見つけたら! 生きた状態で引っ張ってくるのよ! あちこち身辺も調べて」


「はっ? そこまでしないわよ。ただ、集めるだけでしょ」


「え?」


ラコは目を丸くした。


「なんで私、あんたの言うことそこまで聞くことになるわけぇ? 結界の件はごくろーさま。おバーカさん」


ルチアノは、ひらりと長いドレスの裾を翻してすたすたと先へ歩いていく。


ラコは、しばらくぽかんと立ち尽くした。

もう一度言う。


コンシューマー計画。

それは、純血の 花たちを『消費』する、家畜化計画だ。

データ化し、数値化し永久保存の後に、他の人類の発展のための贄として捧げるというもの。


ラコひとりじゃあ無理だし、カーユにいたっては聞き分けがよくなかったら単なる非力な根暗ボッチである。ほぼラコの手下であっても自立性は期待しすぎてはならない。


「はああああーっ!? ラコ実質オンリーとか、ムリムリムリィー!」


ラコは、ふわふわしたわかめのような髪をぐしゃぐしゃと掻き回した。


「あぁん! タロウ!!」

もうっ!

と牛みたいに一鳴きしつつ、タロウという付き人を召喚。「カーユの方はどうなってんのよッ!」


タロウは、しばらくしてよぼよぼと歩いてきた後に、答えた。


「お嬢様……事件です」


「な、なに」


「実は、純血クラスにて、校則違反により一人で出歩いた二名が何者かに殺害されまして、カーユ様もそんな中に飛び出していってツルナさんに会うことはできないかと。今、警戒がしかれてますので」


「むっきー! タロウ! ずらかるわよ!」


「カーユ様はー」


「ほっとけ! あああぁん!」


嘆いていると、ぬっ、と背後から影。

振り向くと、白い髪を揺らしながらにっこり笑う、幽霊先生が。


「ンギャアアアアアア!!!!」


太い声のあかちゃんみたいな悲鳴が廊下に響いた。

「おはようございます、ラコさん」


先生はにっこり微笑む。

ラコの顔はひきつっていた。


「ぅはよ、っごじゃ! まひゅ!」


「そういえば、ラコさんのすむ北の国は今大変でしたね」


「あの……ぉっ!」


やばいやばいやばい!

まずいまずいもういっぱぁい!

うー、結界ふさがなくちゃ!


「ご実家は無事ですか?」

「先生、無事だから! 無事なんでさよならしましょ!」


海外拠点を置くストックフィリアが、ラコの住む北国に半分住んでしまっているのだが、地元住民といろいろとあっていた。

「最近ニュースで見かけるので、先生心配で……」


「あは。ありがとうございますー」


ラコは、その土地を大きく占めるお嬢様だ。

仲良くなれそうなストックフィリアとは「人は助け合わなくちゃ(お金払ってよね!)」と、手を結んでいて既に仲良くしている。

地元住民にも、まぁ、ゆくゆくは、理解してもらえると思うのだ。


「ウチの家は海外向けに不動産の紹介もしているので、どうとも言えませんが、早く平和な世の中になってほしいですぅ……」

てちてちと歩み寄り、目に涙を浮かべるラコ。



正しくは、海外のストックフィリア向けに家を提供した利益も、財閥の一部なので、早く終わって欲しいニュースだ。

「美味しいものがいっぱいあるんですよねっ? 先生、幽霊になってから、大好きな麺類が食べられないんです……はぁ、食べたいな」


いーから!

そういう世間話いーからっ!

ラコは海外のストックフィリアもお友だちだから!

今のとこその辺に問題ないから!


結界ふさ……ぐから。


「あらー?

結界に、ほつれが……?」

ラコの後ろにある、透明な壁がぐにゃりと歪んでいたことに、先生は気づいた。


ば、ば、ばれたー!!


土地をしめるお嬢様、が海外からテリトリーに侵入されて、すんなりと良い顔をさせているわけがないことに、早めに気がついてよさそうだったが、先生はそれよりも結界が心配のようで、すぐに修復していた。


「ふー、終わりました!」

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