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楽園のポストアポカリプス  作者: 平之和移
第2部の1 連邦同盟間戦争編
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第21話 崩壊してもなお


アライランスラインは三日かけて攻略された。ピースサイダーが開けた穴から連邦軍は深く展開。激しい攻撃により防衛戦はついに崩壊。経済同盟は盾を失った。


それからの戦いについて、語ることは多くない。万事順調であった。オールドスランガーズは早々に防衛戦を諦め、本土決戦に移行した。


しかし、そこに一つのミスがあったのだ。アライランスライン崩壊後、他の企業も同盟を見限り始めた。多数の企業の裏切りにより、同盟は弱体化。内部に多くの敵を抱えることになった。


ピースサイダーはより戦果を求め進軍。目標はオールドスランガーズの掃除。彼らに手酷くやられたのだ。仕返しをしなければ社としてのメンツと動きに支障が出る。


まんぷくテロリストも仲間として向かう。BBはオーウェルとバイクで並走する。


「もうすぐ、この戦いも終わりですね」


オーウェルが感慨深く言う。確かに勝ちは決まった。同盟においてマンティコア社というPMCが裏切り、連邦についた。マトモな抵抗勢力はオルスラだけだ。


「そうですね。あとはオルスラだけです」


「飯テロとオルスラ。中々根の深い敵対関係ですね」


「どっちかというと、ラストルネッサンスのほうが仲悪そうですけどね」


「歴史的にはそうでしょうね。あいつら、ふざけているのに数は多い。何ででしょうね」


「さぁ。まぁ、楽しそうだからいいんじゃないですかね」


「ハチ公殿はそう考えますか。オルスラはこの後どうするんでしょう。とっとと投降すればいいのに」


「向こうにも事情があるんでしょう」前を走るバンから、オサムの視線がBBへ注がれる。バイクに乗ってから、移動中に話すことは減った。そう思いつつ話を変える。「ところで、今更なんですがどうして同盟と連邦は戦っていたんですか」


「おや、知らないんですか」


「ここに来てすぐ戦争に参加しましたから」


「そりゃあ飯テロには戦ってもらわないと。戦争は同盟から仕掛けてきました。奴らは戦争で経済を作っていましたから。企業間で争い、勢力を拡大、権益の保護のために平和が作られた。その上で、連邦に宣戦したのです」


「アリ潰しじゃ満足できなくなったと」


「そうです。巨大化した同盟は、戦える相手を探し、三千連邦に目をつけました。そもそも連邦は難民の集まりから始まりまして。プレイヤーズのような統制は望まず、しかしリベルタリアのような国家にはすみたくない。けど無法の同盟は嫌だ。そういうわがままな人達が、連邦を築きました」


「へぇ。オレが知らないだけで巨大勢力は色々あったんですね」


「えぇ。プレイヤーズの雛形が閉鎖前からあったように、他勢力の原型もありました。今後は、プレイヤーズ、リベルタリア、三千の三大勢力がポストアポカリプスを支配するでしょう」


「……オレ達はいい尖兵になりそうです。そういえばオーウェルさんはなぜ連邦に?」


「最初はリベルタリアにいたんですよ。そこで記者をやろうと。でもプレイヤーズが攻めてきたと聞いて、逃げました。あのまんぷくテロリストがいたんじゃかなわないって。リベルの頃から飯テロは調査して、連邦でも継続しました。そこへ、匿名でクリエイターのことを知ったのですけど。飯テロとクリエイターに何の関係があるのやら」


「それを知るために戦争に参加したというか。かなり回り道をしましたよ」


太陽はまだ高い。昼前。空にはヘリが五機。プロシオン機は先行して偵察。オールドスランガーズとの対峙に、これだけで足りるのか、いささか不安だ。


BBは三日間の戦いを思い起こす。飯テロは誰もデスしなかった。オーウェルも。だから、ある疑問が現出する。


「オーウェルさんってミリタリーに詳しいんですか?」


「え?」


「オーウェルさん、動きがこう、軍人っぽいというか。無線の時もミリタリー用語みたいなの使ってますし」


「アハハハハ。つい、クセで。そっちのほうがカッコよくないですか。恥ずかしいですけど」


「それに強い。傭兵としてやっていけますよ?」


「昔から記者になりたくて。だから、トゥルー通信社に入ったんです。傭兵は似合わないかなって」


「戦う記者ですか。面白いですね」


「BBさんには言われたくないなぁ」


軽く笑いあった。オーウェルはピンク髪を揺らし、帽子を深く被った。


「こちらプロシオン。オルスラの基地を発見。四天王がいるな。間違いない。進路そのまま。真っ直ぐ行けばぶつかる。かなり準備しているぞ。ヘリでは近付けん。対空兵器が多い」


「了解、下がっていいわ」雫が応答。


「おっと待て、付け足しだ。ヘリが追ってきた。防衛陣地はあんたらの前に展開されているようだ。横は空っぽ。そこまで気は回らなかったか」


「解った。対空戦車、戦闘用意」


戦闘ヘリも動き出す。さらなるプロペラ音。ロケット弾やミニガンをかいくぐり、プロシオンが帰還。ヘリを連れている。対空戦車が移動しつつ撃つ。敵は怯み、撤退する。


通信が繋がる。


「ハリーだ。三つに分けよう。旅団、拳察、飯テロでな。三方向から攻める。どうだ」


「プロペイン、異議なし」


「わたしもないわ。正面はわたし達が。左から拳察、右が飯テロ。いい?」


「おーけーだ」「いいぞ」


プロペインとハリーが快諾。車列が別れ始める。まんぷくテロリストは車列の右側へ。オーウェルも着いてきた。雫が続けた。


「プロシオン及びセンチュリー隊は陽動のため基地に向かって。攻めなくていいから時間稼ぎを」


「プロシオン了解」「センチュリー1了解」


ヘリが高度を上げた。地上はすでに、互いを見れぬほど離れていた。




……オールドスランガーズは、防衛陣地を整えていた。無理無謀は承知の上。正面以外の守りは薄い。平地に建てられた基地がため、四方から攻められる。だが時間も余裕もない。正面以外は四天王とねこが守る。敵を正面主力部隊で片付け、移動、四天王を援護する見込みだ。戦車、自走砲、ロケット砲、機関銃、何でもある。


偵察ヘリが帰還してきた。報告通りピースサイダーのヘリを連れて来た。対空戦車を動かす。弾幕展開。ピースサイダー側のヘリは回避運動。それを逃さぬオルスラヘリ部隊。クロームの反乱で十機は失ったが、まだある。戦える。


「皆、これは陽動だ!」副隊長は叫んで指示。「どうせ三方向から来る! 正面以外は特に警戒しろ!」


オールドスランガーズの基地は巨大だ。都市一つ分はある。さらに地下にも基地機能があるため、地上を制圧されてもまだ耐えられる。


副隊長は地上基地の中央、戦闘指揮所にて命令を下す。総隊長であるねこは、本人の戦闘力を買われ前線だ。ちなみにメガネの男は近くにいる。通信が響く。


「基地正面より敵接近!」


「ロケット砲撃て!」


あらかじめ指定したポイントに撃つ。「自走砲用意!」ロケット弾が放たれている間、戦車なども照準を合わせる。ピースサイダーの被害は不明。それを知らせるヘリは空で追いかけっこ。自走砲も撃ち始めた。


「こちら戦車部隊、敵を射程内に捉えた」


「斉射! 撃て! 基地の左右後ろ、状況は?」


「こちら右側の十三番目。車列確認。機関銃とRPGで対応中」


「左側、ねこ総隊長、どうですか」


「こちらカイマン、異常ないっすよー」


「マーイッカ、ほんと?」


「えっうん」


本当かよ。副隊長は不安になる。「ところでよ」マーイッカが雑談のトーンで聞く。


「右側左側って判りにくくないか? 三時の方向とかのほうがいいんじゃない?」


「それだと対応する語録がない人が可哀想でしょ」


「えぇ……」


「後ろ、問題は?」


「大丈夫だ、問題ない」


青ざめる。飯テロらしき影がいない。三つに分けるとしたら、解放旅団、拳察隊、飯テロになる。その中では飯テロが最も危険だ。だがいない。さてはどこから攻めるか当てられないようにしているのか。そして兵士を動かせないところを落とす。


「む、飯テロか」


「見つけたの?」兵士の報告に耳をすます


「うわらば」その兵士は倒れた。


「後ろ側! 状況報告!」


「ひでぶ」爆発音。理不尽にも吹き飛んだのだろう。まだいるが、いつまで持つか。すぐ判断を下す。


「ねこ隊長! 後ろ側へ行ってください! 飯テロがいます!」


「へい、かまわん、ころすぞ」


「頼みます」


「待て!」今度はマーイッカ。「バイクが二台突っ込んでくる! サムハチコンビだ!」


「はぁ!?」


驚きつつ、状況分析。基地正面には旅団、オルスラから見て左には拳察。そして後ろと右には飯テロ。飯テロはさらに二つに別れたらしい。右側にBBとオサムがいるということは、後ろはその他三人だ。なら対策はできる。


「右側、ねこ隊長達はサムハチと戦ってください。ひたすら遅延を狙って! 後ろはとにかく頭を出させるな! タイヤ撃って止めろ!」


「副隊長。ここはスマイリムとにほんへを送るべきかと」メガネの進言。彼らは遊撃用として残しておいた。


「よし。スマイリム、にほんへ、後ろへ急げ!」


「ここに来るべきじゃなかったな」「ここが貴様の墓場だぁ!」


向かったようだ。まだ気は抜けない。




九時の方向、基地左側。BBとオサム、そしてオーウェルが突撃していた。銃弾の嵐。BBが前に出て、一人で捌ききる。オーウェルは追従。オサムはBBのバイクに乗っている。


銃撃を突破。三人は飛び降りた。すぐ四天王に囲まれる。マーイッカ、タフー、ブロンド、逆走青年、スゴい漢、そしてねこ。


マーイッカがショットガンを撃つ。三人は避け、オーウェルが射撃。ヘッドショット。キル。そのオーウェルへ肉薄するのがブロンド。大剣を振るう。ライフルで彼を撃っても、大剣で防がれる。オーウェルは下がる。その先にタフー。ナックルで殴られそうになり、オサムが割り込んだ。そのオサムを狙った逆走青年の射撃。BBが間に入り防ぐ。オーウェルは転がりつつ逆走青年を撃ち、キル。


残り四人。もう少しで対等になる。スゴい漢が突撃、BBを狙う。篭手をブレードで断ち斬り首をはねた。三人に減った。ブロンド、タフー、ねこ。ねこはアーマーを揺らし、高周波ブレードを抜いている。BBが相対。オサムはブロンドを。オーウェルはタフーに。


ねこの背から影が跳ぶ。着地。ねこの横に立った。仮面の少年だ。


「隊長、お供します」


「戦いもできる。レスリングもできる。ビキニビキニワンツースリー」


「レスリングはできません」


ねこと少年がBBに挑む。少年の鉤爪は高周波ブレードに変わっている。少年が攻撃、BBが捌く。背後にねこが回ってきた。振り下ろし。BBは防ぎ、下がる。逃がさず少年が斬ってきた。ねこの援護射撃も来る。銃弾も斬撃も防いだ。少年が跳ぶ。ねこが突っ込む。振りが速い。三連撃を一秒未満で行った。全て防いだ。


頭上から少年が爪を下ろす。横へ回避、だがねこが撃ってきた。斬り捨てるも少年の突きが来る。上へ弾く。体をがら空きにした。突こうとして、ねこの薙ぎ払いが来たので避ける。少年は着地し追撃。その間にねこはリロード。BBも拳銃を抜き撃つ。ねこは弾丸を斬り落とした。


ねこも銃弾を斬れるようになった。すぐ拳銃を仕舞う。少年の攻撃が激しくなる。だがねこのスピードには到底及ばない。ショットガンに手を伸ばす。ねこが拳銃を向ける。撃たれる前に少年を狙った。


ショットガンが飛んだ。ねこの早撃ちだ。少年は勢いに乗り攻撃。BBは弾いた。ねこも攻撃。全速力の斬撃だ。轟く金属音。マシンガンのような火花。


少年がBBの背後へ。BBは攻撃を飛んで避けるも、ねこの一撃をもらった。HPが大きく減る。飛んでいる最中に周囲の確認。


オーウェルはタフーに射撃の隙を作らせてくれず、苦戦。オサムは全身を鎧で固めるブロンドに攻めあぐねている。助けは期待できない。


転がり起きる。ねこと少年が迫る。手榴弾を転がす。少年はジャンプで回避し、ねこは立ち止まる。爆発。多少のダメージはある少年はなおも攻撃。BBが縦斬り。右手で防がれ、左手で突いてきた。肉体をそらして回避。ブレードを引く。爪からブレードが離れ、突きの左手へ迫る。避けようとしたが遅い。少年の右腕を切断しま。


そのまま胴体を狙うがねこが割り込む。BBは下がる。お互いHPを回復した。


基地内にサイレンが響き渡る。ねこが素で驚愕した。隙を突いて斬撃。防がれ、鍔迫り合いの形となる。サイレンに人の声。


「別の基地からの伝達! 盗まれた帝国主義が六機こちらに来る! 全対空兵器、帝国主義に注意しろ! さらに敵のヘリ部隊を複数確認! 兵士はみな黒いレインコートだ! 地上も警戒せよ!」


BBは舌打ちをためらわない。ここまで来て三つ巴だ。


ねこはBBを弾き飛ばす。すぐに反撃しようとするBBを、手で制した。無線機を取る。


「オールドスランガーズ総隊長だ」渋い声で告げる。「この無線を放送と繋げ」


他の四天王も動きを止めていた。無線とサイレン、放送が繋がった。


「オールドスランガーズ及びピースサイダーに告ぐ。互いに戦闘を止め、所属不明部隊相手に共闘せよ」


「なにを言っているんです隊長!」副隊長が叫ぶ。「奴らは連邦と繋がっているかもしれないんですよ!」


「それはない。レインコート達はここにいる全ての敵だ」


「どういう根拠で!」


「勘だ」


押し黙る。少年はBBとの戦闘を完全にやめた。四天王達も顔つきが変わる。状況を飲み込めていないのはオルスラ以外だ。


「了解です」副隊長も落ち着いた。「全部隊、ピースサイダーへの攻撃中止。所属不明部隊への対応に当たれ。例のプランも検討せよ。戦車部隊は移動。ヘリ部隊は対空戦闘用意。最優先で帝国主義を落とすこと」


四天王も脇目を振らず移動。少年がねこに言う。


「本当に来ましたね」


「いやぁスイマセーン」


「おいハチ公」少年がガサツに言ってきた。「お前も来い。戦うぞ」


BB達は互いにを見合うことしかできなかった。

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