小説アカと趣味アカ
新連載です。
僕は中城敬介、将来小説家を目指すため、日々web小説を投稿している。
「はぁ、今日もpt少ねーなー」
朝起きたらpvのチェックからまず始める。そして御飯を食べて学校に登校する。
「おはよう敬介君」
「おはよう中西ー」
彼女は中西陽苗、中学からの同級生だ。髪は背中まであるストレートヘアーで目はぱっちりした可愛らしい顔立ちだ。
「まーた、スマホイジりながら通学してるー。あーぶないんだー」
「大丈夫だよー、それくらい~! それとも何か? 君が僕の目の代わりになってくれるのかい?」
「な、ならないわよっ! 馬鹿っ!」
変なツンさんだ。
そして学校に着くと、ツイッテァーで色々呟くまでが日課になっている。
(さてと今日も呟くか)
『なかなかpvが稼げない。難しい』
そしたらそこの界隈の仲間達がいいねや返事がくる。
『pv伸びないですよねー』
『俺もです』
『上城さんの作品は面白いのに』
などなどだ。ついでに『上城』は僕のペンネームである。
またこのアカとは別に趣味アカも作ってある。つまり僕は本アカ、小説アカ、趣味アカの三つを持っているのだ。
そして次は趣味アカも呟く。
『あのアニメの6話サイコー』
こっちはまだフォロワー数が少ないのであまり返信はこないが、同じ趣味同士と繫がれて楽しい。
まぁ返信が来ない分、僕が他のアカの内容を見ていいねや返事をするのだが。
『このアニメのヒロインマジ可愛いよね』
『確かに! ヒロインが髪を触るシーンとかマジ天使!』
そして僕も同調する。
『確かに女子が髪をいじるシーンはドキッとしますよね!』
そして趣味アカをイジっていたら、小説アカでツイートが増えていたので、そっちにまた戻る。
『うーん溜めて書くべきか、1日1話更新すべきか』
『感想頂くのやっぱり嬉しい』
『エゴササイコー!!!』
小説の話から関係のない話まで書いているのが、読んでて楽しめる。そして数ヶ月前にフォローし合って交流している『Mina』さんの呟きを見る。
『やっぱりweb小説でランキング入るのは激ムズ』
そして僕はその人にすかさずいいねとコメントを送る。
『ランキングに入るのはやっぱりいかに読者受けを狙うか』
『ですよねー』
そして僕はweb小説家かつ数少ない学生仲間として『Mina』さんにDMを送る。
『こんにちはー』
『こんにちは』
『テストはある?』
『いや、しばらくテストはないよ』
『そうなんですか、けど学生でweb小説家なのはなかなか書く暇ないよねー』
『そうだけど、plotとかは授業中に出来るのでコソッとするw』
『なる程ww』
この界隈の仲間でこの子と話すのが年も似ているからか結構楽しく話せられる。
『そうだ。次の週末、◯△イベントに行く予定なんだ』
『あ、僕も行くー』
『そうなんだー、そう言えばそこから近くだったね』
『そうそうw もしかしたら会えたりして』
『確かにww』
そう言いながらそいつと戯れる。
「中城」
「はい?」
「授業始まってるぞ」
「あ……」
スマホは放課後まで没収された。
「もうスマホ取られるなんて、どれだけ間抜けなの?」
「そんなに言わなくてもいいじゃん」
「もうーっ……」
そう言いながら彼女は髪を耳に引っかける。
「……そう言えばこの前の国語のテストは何点だった」
「え? もちろん80点は超えているわ」
そう言いながら次は髪を肩に引っかける。
「……流石だな」
「えぇ、もちろんよっ」
そして次は髪の間に櫛のように指を通す。
「何やってんの?」
「え? いや何、どうしたの?」
「やけに髪をイジっているけど、そんなに触ったら痛まない?」
「それくらいじゃあ痛まないわ。女子は髪が気になるから触るものなのよ」
「はぁ……さいですか」
「それより……どう?」
「どうって何が?」
「……な、何でもないわっ」
「?」
最近彼女の動きがよく分からない。今までなかった仕草やアクセサリーをしてくる。最近の流行なのかな?
そして休日になり市内で開かれる◯△イベントに行く。
「おー、立派だなー」
同人誌はもちろん、フィギュアがあったり、レイヤーさんがいたりと賑やかな場所だ。
「わー、久しぶりだけど面白そうだ!」
(ここに『Mina』も来ているのかなー?)
そう思いながら色々見て回った。
(ちょっと送ってみるか)
からかい半分で、送ってみた。
『会場に来てる?』
しばらくするとDMが来る。
『来てるよー』
そして楽しみながらスマホをイジりって歩いていると、ドカッとぶつかった。
「きゃっ」
「あ、ごめんなさい!」
帽子と眼鏡をかけてボーイッシュな格好の人にぶつかってしまった。
いかんいかん集中して、周りが見えてなかった。
「大丈夫ですか?」
「済みません、私の不注意で……」
声的に女性だな。
「いえいえ、こちらこそ……」
「あれ? 私のスマホは……」
「あぁ、ここにありますよ」
僕は飛んでいった彼女のスマホを取って、たまたま画面の中身が目に入った。
『会場に来てる?』
『来てるよー』
(え? これって……)
「スマホ、ありがとうございます」
「……」
「あの……、どうかしましたか?」
「君……、『Mina』?」
「え?」
最後まで読んで頂きありがとうございます。
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