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オークの喧嘩

本日2話目

 目が覚めたら天井が無かった。


 ……粗末ながらも家を作っていたんだが、どうやら何らかの理由で吹き飛んでしまったらしい。悲しいことにオークの集落ではよくあることだ。


 実のところ……というか、大方予想は出来ると思うが、オークが集まると喧嘩が絶えない。生まれた直後の学習によって、他のオークにむやみやたらと襲い掛かることはないものの、理由さえあれば割と簡単に暴力に訴えるのだ。


 大凡の喧嘩の内容は飯と女の二つである。そうでなければ何となくむしゃくしゃしていたとかの衝動的なことがほとんどだ。……理由なく、というのは一体何なのだろうか。すこし疑問を抱きそうになるが、そもそもオークが他種族に対してとる行為は同性ならまず拳、異性なら組み伏せてことに及ぶこと。これを反射のごとくノータイムで行うのが一般的だ。


 それを考えれば十分理由なく攻撃しないに当てはまるだろう。実際、殴り合いに発展しそうになった場合であっても、こちらが殴り返さなければそのまま素通りしていなくなるので、相手のオークの中では俺を殴る理由があったのだろう。多分しょうもない理由だろうが。


 さて、そんなオークの喧嘩であるが、殴られたオークが殴り返すと(というか、俺以外の場合は基本的には殴り返されるので実質そのまま)殺し合いの喧嘩が始まってしまう。オークの集落外ではほぼどちらかが死ぬレベルまで戦い尽くすが、オークの集落内ではある程度殴り合うと、近くにある雌やエサの方に行ってしまう事も多い。


 ただし、周りに複数のオークが存在し、なおかつどちらかが完全に死ぬほどに激しい戦闘になった場合は、事情が大幅に変わる。


 オークは好戦的というわけではないが、自分が最強なんじゃないか、と言う、意味も根拠もない思いだけは強い。そのため、最初は負けたオークの死体に対し、あんな雑魚に負けるなんて弱すぎる、とゲラゲラとわらうのだが、しばらくして自分以外にもゲラゲラ笑っている奴がいると気付くと、その笑いが気に食わなくなり、笑いの元であるオークを殺したオークに向かって拳を振り上げるのである。


 そこでそのオークが殺されれば、何も起こらないのだが、襲われたオークが返り討ちにしてしまうと、オークたちは、自分よりも劣っていると信じているものの、自分と同じ姿をした存在を二体も殺した存在に敵意を向けるようになる。そして、連携は取れていないものの、一斉に殴りかかっていくのである。


 そのような一連の行動のなかで、それでも生き残り、一連の流れの中で同族を3体以上屠ったオークは、姿こそ変わらないものの、その地に住むオークを力で支配するボスとして君臨することになるのである。


 まあ、三体というのは俺がボスになる瞬間を見た時に倒したオークの数なので、正確なものではないのだが……。


 とにかく、そう言った行動を経てボスになったオークには2つの特殊な力を得ることになる。一つは他のオークに命令を聞かせることができるようになる、というものだ。オークは同族の言うことも殆ど聞くことはない。ボスオークの命令でもなければ、せいぜい、そのオークが何も考えていない時に、とっさに動かしてしまう程度だ。

 しかし、ボスオークの言葉では、雌を貪っているオークでさえも、それを中断させることができるほどの影響力がある。まあ、そのすぐ後に行為に戻ったりもしていたし、そもそも、()()()()()()()()()力であるので、命令された側の相手がその言葉を理解しておく必要があるようだ。

 俺も何度かボスに命令を受け、たが、人間並みの理解力を持っていたために、強制力を強く受けていたようだ。感覚的には、そのオークの命令を受けて考えている時に、それをしなければならないという強い強迫観念を抱くような感覚だった。

 逆に言えば、勝手に体が動く、と言ったことはなかった上、何とか命令を忘れると、強制力はすっきりとなくなったので、強制力自体の強さと持続性はそこまで高くないようだ。


 もう一つの力は、ボス自身が有利になる……というわけではなく、ボスが死んだときに発揮されるもので、ボスが殺された場合は、ボスに従っているオーク全員がとんでもない恐怖を覚え、ボスを殺した相手から死に物狂いで逃げ出させることができる。という能力だった。


 これもまた、ボスと一度しか出会っていないため条件に甘いところがあるかもしれないが、以前その時のボスオークが、大きな山羊のような生物に襲い掛かったことがあった。

 その時、ボスオークを筆頭にするオークたちは、大量の山羊によって、オーク達の攻撃をするりと避ける大山羊にあっさりと返り討ちに合い、リーダーであるボスオークはひき肉になった。

 その瞬間、俺の思考の中にあった、もしもの時は撤退、あるいは一矢報いるために一発大山羊にぶち込めないかと画策した構想などが一瞬で吹き飛び、頭の中が恐怖と逃走に支配されてしまい、他のオークのことも全く気にせずに一目散に逃げだしたのだった。


 まあ、そんなこともあるので、オークの喧嘩というのは、はた迷惑で面倒なものだ。

 ……愚痴ってもしょうがない、俺はため息を吐きつつ、新たな家を建てるための材料を手に入れるために森に入るのだった。

喧嘩後仲直りとかもしない。3歩で忘れるから。

でも、喧嘩すると骨折クラスの怪我することもあるので、腕が曲がってるオークとかもちょっとは存在する。でも、目とか大量出血とかだと10日かそこらで完治する。駄目だったら死ぬ。

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