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オークと騎士の夢

総合P300到達記念&せっかくの年末なので水曜にも投稿。午後にも投稿します。

「……く、グォーク!」


 はっ、と目覚めると、そこには心配そうな顔をしたアンネの姿があった。


「大丈夫?グォーク、なんだか、来るのが遅かったみたいだけど」


「あぁ、大丈……ぶ?」


 普通に答えたものの、なんだか違和感がある。まるで、俺が小さくなったような……いや、違うなこれは。


「アンネ、大きくなった、か?」


 そう、よく見ると、手のひらサイズのはずのアンネが、俺と同じくらい(と言っても、あくまでも男女での身長差はある)の身長になっているようだ。


 俺は頭の中を整理して、考えてみた。


「……なるほど、これが夢の世界というやつか」


「多分そう言う事ね」


 そう言って、アンネはくるりと一回転した。


「どうどう?大きくなった私は!」


「いや、そうだなかわi「これで魔物研究もはかどると思わない?もう蜘蛛に邪魔される心配もないわ!」……そうか」


 一応女の子ということで、返答に気を付けようと思ったのだが、全くの無意味だったようだ。


「……ところで、ボスはどこ行ったんだ?」


「ボス?ボスならそこにいるじゃない?」


 アンネが指を指している方を見ると、そこには何やらイケメンの……ゴブリンがいた。


「え?あれ?ボス、ボス?ボスかこれ?」


「心外ですぞ、主殿。確かに姿は少し変わりましたが、ゴブリナ殿の伴侶であり、主殿の忠実なしもべたる我ですぞ!」


 なるほど、どうやら夢の世界というだけあって、容姿なんかについても変幻自在であるようだ。恐らくボスは、ゴブリナに引っ張られて種族が変わったのだろう。


 遠く離れたところでも影響を与えて来るとは、ゴブリナさん恐るべし!


 とそれは兎も角、俺も自身の全身を見てみたものの、特に普段と変わらないような容姿であった。まあ変なことになっていなくて一安心だが、現段階ではまだ、夢にはいれただけだ、次はアリシアがどこにいるか探さなくてはならないだろう。


「それで、これから俺たちはどうすれb”あ~テステスですよ~。聞こえますか~”どうやら何かあるみたいだな」


 俺たちがそれぞれに応答すると、姿はないものの、その声が更に続けて来る。


”今、私はアンネさんを通じて、夢の世界を見ています~。それにしても、時間停止の魔法が効かない生きものがいるとは思わなかったですよ~。今は二人とも岸で寝かせているので、安心してほしいです”


 それを聞いて、アンネはマジか、みたいな顔をして俺たちを見た。


「それって、結構やばい状況だったんじゃ……」


「というか、俺たちも転移門で移動できなかったことを思い出すべきだったな」


 体に直接作用する魔法の無効、時間停止など、その最たるものではないか。自分たちのうかつさに少し肩を落としつつ、しかし改めて顔を上げる。


「まあ、それでも夢の世界に入り込めたんだ。良しとしよう」


”あの、そろそろいいですか~?”


 俺たちはハッとしてその声に応答する。


”それでは、これからアリシアさんのところに進んでください、そこも精霊郷の一部ですから、願えば先に進めます~”


 そんな声を受け、俺たちは歩き始めた。すると、先ほどまでの精霊郷とは全く違う光景に出くわした。


「……民家?」


「そう見えるわね……精霊郷に人が住んでいるのは賢者の塔だけのはずだけど……」


 そうして遠目に見ているが、その民家も、中からうかがえる人影も、完全に人間にしか見えない。強いて言えば、昔の田舎、といったレンガ造りの家と荒い目の衣服であることは言えるが、仮に精霊郷なんて人が全くいない場所に隠れ里的なものがあるとすればこんな感じになるのだろう。


「……ここは夢の世界のはず、夢の精霊でないというのなら、夢で見る獲物と同じものなのでは?」


 ボスの言葉に、俺たちは顔を見合わせる。


「確かに、そうね。夢なんだから、誰かのイメージ、みたいな存在なのかも。まあ、でももしもってこともあるから、あんたたちはちょっとここで待ってなさい。私が話に行ってくるわ」


 そう言って、アンネは民家の方に向かい、ドアをノックした。

 すると、中から初老の男が現れ、そして、すぐさま腕を引かれて家の中に引き込まれていった。


「ちょ、アンネ、今行くぞ!」


 慌てて俺たちはその民家に突撃する。

 民家の中では、完全武装した老人が、アンネを庇うように仁王立ちをしていた。


「まさか、狂呪熊の他にもオークとゴブリンが来るとは!お嬢ちゃん!こいつらの相手は儂がする!裏口から逃げるんじゃ!」


「……あー、うん」


 俺は頭を抱えながら、少し考え、そして老人に声をかけた。


「話をしよう」


「オークがしゃべった!?」


 そうして驚愕している老人を目の前に、しばらく待ったものの、彼が警戒を解かないので、俺は諦めて手を上げて話しかけた。


「分かった、一旦俺たちは立ち去ろう」


 そう言って、俺たちは民家を出て行った。アンネは、あの老人に守られていたようだし、危険なことにはならないだろう。場合によっては、アンネがあの老人の誤解……誤解?

 ともかく思い違いを解決してくれるかもしれない。


 そして、俺たちが民家を出てしばらく話していると、突然、背中に衝撃が走った。


「んっ?」


「ひれつで、あくぎゃくなおーくめ!えいさむおじさんをどうしたんだ!」


 そうしてがなり立てていたのは6歳くらいの少女だった。お鍋の蓋と木の棒を持って、どうやら武装しているつもりらしい。


 なんだか微笑ましく感じるが、オークに突撃をかますとか、蛮勇が過ぎる。少女には悪いが、少し脅しつけてこのようなことをしないようにと俺は顔を覗き込んで。


「あ、アリシア!?」


 その顔が幼いながらも、アリシアの顔そのものであったのに驚愕したのだった。




 オーク達が夢の世界にはいれたのは、精霊郷やスライム離宮からの転移門と原理は同じです。

 オーク達は魔法の影響こそ受けませんが、魔法で影響を受けた空間や物質の影響は受けます。つまり、精神だけが入れる場所があったとして、そこに入った場合、肉体や精神に干渉が無ければ夢の国に入ることができます。

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