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オークの旅路

 とうとう、2章に突入します。


 正直な話、中途半端なエロやら、主人公がオークやら、ブラウザバックする要素マシマシなこの作品をここまで読んで頂いて、本当にうれしく感じています。

 今後も、週一ペースを崩さずに行こうと思いますので、よろしくお願いします。

 グサリと斧が突き立ち、巨大なイノシシが地面に倒れ伏した。


「……なんていうか、貴様ら、案外とんでもないな」


「そうか?イヴィルゴートに比べれば、こいつの突進なんて大したことないぞ」


 それを聞いて、アリシアはため息を吐きながら反論を口にする。


「確かに単純な脅威度で言うならイヴィルゴートの方が上だが、突進力だけ見ればそこのワイルドボアの方が上だぞ。それを真正面から抑え込んだ後に叩き切るとか、防御力に自信のある私でもしない戦法だ。普通はいなして岩にでもぶつけてから対応するのが一般的なんだぞ?」


 そう言って唇を尖らせるアリシアに、アンネがからからと笑いながら声をかける。


「そりゃ、オークに腕力勝負を挑んじゃ駄目よ。オーク達は、腕力だけなら随一なんだから」


 そう言ってふわりと浮かんだアンネは先導するように、というか実際に先導しながら先行する。黒き茂みの森から出発して4日、俺たちは新緑原野と呼ばれる平原を進んでいた。


「さて、とそろそろあるはずなんだけど」


 そう言って、アンネは草原の周りを歩き始めた。


「……というか、アンネ殿.貴殿は一体どこに向かっているのだ?そもそも賢者の塔は海を挟んだ向こうの大陸のはずだろう?ここにあるとすれば……それこそスライム離宮くらいのものだが」


「スライム離宮?」


 俺がアリシアに聞き返すと、アンネはスライム離宮なる場所のことを教えてくれた。


「ああ、スライムばかり出てくるそこそこ大きな屋敷型のダンジョンさ。珍しいスライムもいるから狩場として使ってる冒険者もいるけど、あんまり狩りすぎると即死級の魔物が現れるからそこまでうまみのあるダンジョンじゃない。そんな場所だ」


 因みに、即死級の魔物の詳細は、物理攻撃全カット、魔法攻撃90%吸収、状態異常無効、分裂・消化・形状変化のスライム三種の定番設定を踏まえているうえに、核を全て壊さないと完全には倒せないのに、その核が10個あるらしい。勿論1つでも残っていれば再生する。


「……それって、倒せるのか?」


「倒せたらスライム離宮はただの離宮になっているだろうな」


 すごく不安になってきたが、アンネがスライム離宮を目指しているとは限らないわけだし、問題ない、と思おうとした時に、アンネから声が聞こえて来た。


「あっ!見つけた!あそこよ、あそこが目的地」


「……ボス、あれは何に見える?」


「我ですか?ふぅーむ、どうにも、巨大な家……屋敷に見えますが」


 それを聞いて俺はがっくりとうなだれた。どうやらどうあっても俺はアンネに振り回される運命らしい。


 諦めつつ、門に近づくと、意外なことにそこには一人の人物……いや一体のスライム娘がいた。見た目は透き通った水色のゼリーを人の形に固めて、その上からメイド服を着せたような感じと言えば分かるだろうか。


「お待ちしておりました。アンネ様、と……あら、家畜のオーク2匹と冒険者が一人ですね」


 そう言ってすがすがしく笑った彼女の顔を俺は忘れないだろう。


「って、ちょっと待ってよウリエラ!ボスとグォークは家畜じゃないから!」


「……そもそも、家畜にするにしてもオークは家畜には向かないだろ」


「!!オークがしゃべった!」


 驚愕を露わにするウリエラというスライムメイドに、俺たちは白けた目を向けた。そもそも、俺たちの知能を疑っているのであれば、拘束すらされていない俺たちといるアンネを案じないはずがない。少なくとも、家畜云々という前にたしなめるか俺に向かって攻撃を仕掛けてくるだろう。


「……ウリエラ、私の仲間をからかうのはそれぐらいにして、ゲート使わせてもらうわよ」


「ゲートですか……。アンネ様は構いませんが、そこの3人に関しては……」


 そう言って腕を組むウリエラは、申し訳なさそうに言葉を続けた。


「申し訳ありませんが、ご主人がふさわしいと判断されなければ使用することは出来ません。ご主人に会われますか?」


「そう。今いるのよね?」


 そう聞いてくるアンネに、俺たちは顔を見合わせた。そして、アリシアが疑問を口にする。


「その、ゲートについて教えてくれないか?話の流れから、一瞬で特定の位地に移動するものだとは思うが、時間をかけて良いなら妖精大陸行きの定期便を使えばいいだろう?」


「俺はウリエラさんの言う、ご主人というのが、どんな人……どんなスライムかが気になるな。流石に危険があるようなら、アリシアが言うように、時間がかかっても定期便を使った方がいいと思うぞ」


 アリシアと俺の言葉に、アンネはヒラヒラと手を振って答えた。


「心配することないわ。龍のじーじと同じ……というか竜のじーじより甘いわよ。私が頼めばオークの一人や二人くらいゲート使わせてもらえるわよ。あと、ここのゲートは賢者の塔直通の転移門よ。他にもいくつかあるらしいけど、直通のを使わせてもらえばそれだけで塔に到着ってわけ」


 そう胸を張るアンネを、ウリエラが先導する。俺たちは少し疑念を持ちながらも、アンネについて行くのだった。

☆ワイルドボア    ランク ゴブリン級

 大きなイノシシの魔物。一般的に流通するイノシシ肉の原料であり、極論ちょっと普通のイノシシより強くなったくらいの存在。ゴブリン級では上位だが、下手をすると普通の村の猟師でも日常的に狩っていることがあるくらいには狩り易い魔物である。

 ただし、突進力は中々なので、衝突には気を付ける必要がある。特に脳が美味とされているが、腐りやすいため狩ったその日の冒険者や猟師のご飯になっている。


☆スライムメイド(ウリエラ)  ランク ゴブリン級

 お世話に特化したスライム種。人間に敵対することはほぼなく、戦闘能力もほぼない。ただし、身体の体積を変化させたり、身体を超再生させる能力は高いので、死ぬことはほぼない。

 サモナーなどに使役される場合は、仲間や自身を守る肉壁役にされることが多い。

 完全に余談ではあるが、夜のお世話的なものもかなりうまくこなすらしい。

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