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オークと竜狩り

本日2話目です。

「ちょ、とっ、まてっ、よっと!」


 俺は必死になって逃げ続けた。弾の補充もまともにできなかったため、既に道具袋の中も空っぽだ。命中率は半分と言ったところだ。


 とはいえ、目的地は近い。


「間に合っててくれよ!」


 俺はアンネに向けて、独り言を言いつつ、目的地へと滑り込んだ。


「グォーク!」


 極力抑えつつも、はっきりした声が横合いから聞こえる。アンネだ。俺はその声が聞こえた瞬間に体を投げ出し、進路上から退避した。


 そして……。


「いっくわよー!キールの実を食らいなさい!」


 巨大なドラゴンが俺を見失い、立ち止った瞬間にその頭上にあったのは膨大な量の水。……以前毒沼を作った時に大量に余った毒水だ……が球体になって浮かんでいた。

 本来ならアンネもこんな水量は持ち運べないのだが、毒沼のごく近くにおびき出すこと、そして、ほんの数分という極めて短い時間であることを引き換えに、無駄に多いアンネの魔力でごり押したことでこの異常な光景を作り出すことが可能になった。


 そしてそんな異常な光景は、否応なくドラゴンにも注目された。うかつにも上を向いたドラゴンの口に大量の水が流れ込む。


「GYAAAAAAAAAAAAA!?」


 驚いて逃げ出そうとするドラゴン。だが、その物量は生半可なものではなかった。なにしろ、張り切ったアンネによって空中から襲い来る水は、小さいとはいえ湖の半分ほどあるのだ。逃げられるものではない。……というか、被害はドラゴンだけでなく、俺にまで波及し、わずかとはいえオークの巨体が押し流されている。


 そして、そんな圧倒的な水量によって地盤が緩み、ドラゴンの重みに耐えきれずに崩落した。毒沼作成時に空洞があるのを確認し、何とか罠に組み込めないかと考えていたが、意外なところで役に立つことになった。


 ドラゴンが飛び立とうともがくものの、どうやら上手く体が動かなくなってきたようだ。……はあ、やっと効いてくれたか。

 そう、俺が逃げながらも投擲していたのは、実はキールの実だったのだ。

 俺が投げたキールの実と、アンネが放った膨大な毒水のおかげで、強力な状態異常耐性を持つドラゴンであっても耐性を突破して、体の自由を奪うことに成功したのだ。

 とはいえ、落とし穴じみた崩落がなければ、麻痺した体でも俺たちを殲滅しうるのがドラゴンらしいので、油断はできないが。


「上手くいったわね、グォーク」


「そっちは、大丈夫か」


 出てきたアンネに、俺がそう聞くと、疲れたような顔で頷いた。


「魔力が足りなくて頭ガンガンするけど、大丈夫よ。ちょっと休めばすぐに回復するわ」


 そうしてアンネは痺れて動けなくなっているドラゴンを見つめる。


「さて、ここからが本番ね。鱗の様子とか見る限り、大丈夫だと思うんだけど」


 そう言うと、アンネはドラゴンに向けて話しかけた。


「えーっと。そこの赤竜よ。お前を打ち倒したのは、私とこのオークである。我々は対話を望んでいる。疾く対話に応じよ……っと、こんな感じだったかしら」


 アンネがそういった途端、ドラゴンに異変が生じた。


「……クフフ、クハハハ、ハーハッハッハ!」


 小さかった笑い声は、最終的に天を揺るがそうというかのような大笑いに変わり、そして、ドラゴン自身の体が光を持ち始める。


「面白い!面白いぞ!妖精の娘と賢きオークよ!」


 そう言って光の中から姿を現したのは、10代くらいの見た目をした、角の生えた娘だった。

 おや?ドラゴンの様子が?


 なお、仮にドラゴンが本気を出していた場合、超々高度からの集落ごと火炎ブレスで焼き払って終了した模様。


 ドラゴン系の種族は個体差もありますが、高い知性を有しているため、人類語や他種族の言語を習得していることが多いです。

 また、意志疎通ができるということで、人との交流もあり、人類……として認められてはいないものの、人権的な物を適用されている個体も多いです。


作中に出て来た相手のカードというのは、相手が集落を襲ったのが殲滅以外であること、ドラゴンが対話可能な程度に理性的なことの二つです。


 え?オーク?オークに人権なんてないに決まってるでしょ?


 ……実は、主人公くらいの知性と常識があれば、出すとこに諸々出せば人権的なものを付与してもらえたりします。

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