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少女と茸とオーク

 アベル先輩やグォークさんたちとの旅から三日目、それは突然に起こりました。


「……!なんじゃと!?」


 ジュモンジ様が驚いた声を出して、突然停止したのです。


「どうしたんじゃ、ジュモンジ、もしや、虫にでも集かられたか?」


 そうからかうサスティナに、ジュモンジさんは慌てて叫びます。


「言っておる場合か!兄君が誰かから襲撃を受けておるのだ!」


「は?」


 その言葉に一同が呆然とした顔を見せました。


「ちょっと待て、兄君って、ユグドラヘイムにある大樹のことだよな!?大丈夫なのか?」


「……分からぬ。じゃが、少なくとも放置はできん」


 そう言うジュモンジさんは、そのまま転移門を展開します。


「すまぬが、儂は一旦パーティを抜ける。儂に気にせんで先に進んでほしい」


 慌てる私たちの中で、いち早く行動したのはサスティナ様でした。


「ジュモンジ。水臭いことを言うでないわ。妾も連れていけ。殲滅なら、妾の得意とするところじゃ」


「俺もできることがあるかもしれない、一緒に行こう」


「主殿が行くというのなら、私もご一緒しましょう」


「右に同じ」


 そして、続いてグォークさん、ボスさん、リナさんが続きます。


「あ、じゃあ、私も……」


「ニコット。すまん、今回は遠慮してくれないか?敵がジュモンジにもわからない以上、どんな相手でも、ある程度耐えられるような耐久力が欲しい」


「いや、でも私」


「それに、いざというときに連絡が取れたり転移門を使えるのは大きい。こちらの中継役としてこっちに残ってほしいんだ」


 グォークさんの言葉に渋々と言った風に納得して、ニコットさんは引き下がりました。


「それと、アベルとアリシアには引き続きこっちで指揮を執ってもらってもいいか?」


「そりゃ、俺たちは構わないっすけど……そっちは大丈夫なんっすか?」


 そう聞くアベルさんにサスティナ様が手を振ってこたえました。


「もし儂等が帰ってこれないような場所なれば、悪いがおぬしたち二人が増えたところで結果は変わらぬ。なら、こっちの方で少しでも黒き茂みの森への道なりを短くしてきた方がよっぽど建設的じゃて」


 その言葉を聞いて大きく頷いたアベルさんは、その腰に佩いた剣を抜き放ちます。


「なら、こっちは任せてほしいっす。これでもオーガ級っすからね!」


 アベルさんがそう言ったのを聞いて皆さんジュモンジさんの転移魔法でどこかに向かっていきました。


「さ、それじゃあ、行くわよ!」


「……えっ!?」


 見ればここにいるのは、アベルさん、アリシアさん、アリシアさんのポケットにいる小さい妖精さん、ニコットさん、それと……。


「アンネさん?」


「何?」


「いや、だって、皆行ったから」


 私がそう言うと、アンネさんはあきれたように言葉を続けた。


「いや、正直、私あんまり戦闘向きじゃないわよ。正面からぶつかれるならともかく、乱戦になったらうっかりプチッといきかねないじゃない」


 そう言うアンネさんにアリシアさんのポケットから同意の声が上がる。


「まあ、とにかく進みましょ。レッツゴー!!」


 結局アンネさん、アリシアさん、アベルさん、ポポルンさん、ニコットさん、そして私で改めて黒き茂みの森へと向かうことになったのでした。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「……どうだ?」


「うむ、ばっちりじゃ。全く問題ないのう」


 改めて進み始めたウリエラたちを確認し、俺たちはユグドラヘイムの世界樹の大枝の前で水晶をのぞき込んでいた。以前黒き茂みの森で竜帝様と初めて会話したあの水晶を小さくしたものだ。

 ジュモンジ曰く通信水晶というもので、対の水晶に映った映像を見ることができるものだ。対の水晶はひそかに追跡しているリナがひそかに撮影している。


「全く、事情はあらかじめ話してほしかったですね」


 そんな風に愚痴るのは小さなニコットの姿だった。姿は少し違うがミニニコットである。そもそもニコットは本体がこの場にそもそもいないといういわば無敵状態であり、何だったら本人の了承さえ取れれば一番に乱戦に投入すべき人材だ。仮になすすべもなくやられたとしても情報だけはリアルタイムに送られてくるのだから相手からしたら始末に負えないことこの上ない。


「まあ、そこはほら、いざとなったら転移で全員こっちに避難させるって言う重大な使命もあるし、ニコットにも、冒険者のやり方を覚えてほしかったんだよ。まあ、言うて俺たちのそれも大概アリシアさんとジュモンジ老と一緒に行動してる間に覚えたもんだけどな」


 そう言うと、ミニニコットは分かったと言う風に首を振る。


「分かりました。おにーちゃん。じゃあ、ウリエラさんたちは私が身を挺しても守るから、おにーちゃんたちはこっちで見ててね。私も、ちょっと習ったこと試してみるから」


 そう言うと、水晶の向こうのニコットがどこかから、というか何もない場所からそこそこ長めの棒を取り出した。


「ギルド流棒術を見せてあげるんだから」



ちな戦力(今後使うかわからない指標 SSS理不尽 SS最高峰 S世界屈指 A英雄 B凄腕 C玄人 D心得有 E村の○○自慢 F素人 Gザコ


グォーク  生存能力A 乱戦B タイマンB 支援A

 様々な場面で活躍できるオールラウンダー。最近の知能を上げる魔法なんかもあり、汎用性は高いが、実のところ突出したところが無く、実はガチ目に特化したやつとかだとなすすべなくやられる可能性があったりする。


ボス    生存能力S 乱戦C タイマンA 支援D

 生命力とタイマン性能に特化した戦士タイプ。なお、乱戦に弱いとされるが、単純に味方が後ろにいると守りに徹するし、味方飛び出すと味方気にして攻撃控えるから単純に駆け引きが苦手なだけ。主人であるグォークとの共闘の場合は乱戦適性がBになる。


リナ    生存能力A 乱戦A タイマンD 支援C

 乱戦というか暗殺系のが得意。逆に素早さ以外の能力はたいして高くないため、同格の相手と戦った場合普通に分が悪すぎる。なお、ボスと共闘する場合はボスの集中を切らさないようにするために気を散らさないよう姿を見せないようにしてたりする。


蘇芳    生存能力B 乱戦C タイマンC 支援D

 この子だけ単純に進化してないオークだからね。仕方ないね。ただ、普通のオークは乱戦性能Gとかなので、、、。


アンネ  生存能力D 乱戦D タイマンC 支援A

 本作では方々で活躍してるアンネちゃんだけど、単純に種族的な性能差でパーティ内では最弱クラス。活躍できたのはピンポイントにハメが決まったからに過ぎなかったり。何しろ戦闘に携わるメンバーとしては致命的に耐久性が足りていないため、乱戦でもタイマンでも一定以上の相手には手が出ない。例外としてポケットinアンネの状態で回避を仲間に依存する場合や相手に見つからないような場所で援護する場合等敵の攻撃にさらされないこと前提なら性能はもっと上がる。


ニコット 生存能力SSS 乱戦S タイマンD 支援B

 そもそも本体は例の宿屋に放置されているのでどこまで行っても倒しきることができない。何だったらスタンピードとか起きたらとりあえずこいつぶち込んどけばいいくらいの便利キャラ。魔力があれば無限に増え、転移も使え、種族特有の並列思考も持つため、単純な物量作戦から、敵味方を自在に転移で場所替えしてのトリッキーな戦闘までこなせる。自分で魔力を賄えるようになったらぶっ壊れるパーティ屈指の成長株。

 ただし、素の身体能力は決して高くないので、タイマンで戦うと制圧するだけの物量をそろえる前に接近されて普通に分体を潰される。ギンバリエは良い餌をたくさん用意してくれたから例外。

 尚将来はジョ―○さん化がほぼ確定しているため、最初に相手するのがニコット×100とかになる。


サスティナ 生存能力S 乱戦E タイマンS 支援G

 個人戦力としては割と最高峰に近い。ただし絶望的に連携に向いていないため、極限まで手加減するか味方の損害を気にせずにぶちかますかの二択しかない。そう言う意味ではクソほど生命力が高いジュモンジとは共闘する前提ならいいパーティ。もちろん支援能力は皆無。

 竜帝様の訓練は、基礎訓練の伝授が終わったので夜中に反復練習をしている。そもそもパワーとタイマン性能は元からピカ一なので技術面を習得させようとしている。今後ジュモンジ経由で修行名目のクエストが来るとか来ないとか。


ジュモンジ 生存能力SS 乱戦A タイマンB 支援A

 ほぼほぼ主人公の上位互換。経験豊富で戦闘能力もかなり高い。植物系ゆえに生命力や再生力が高い。ただ、激しく相性に影響され、一定以上の上空から襲撃されたり、地面をひっくり返されるタイプの攻撃、遠距離かつ激しく動くタイプの相手にはかなり弱い。また、短期の継戦能力(要は直に武器を交えてバトる時間。戦争規模の補給あり休憩ありの大規模戦闘とかの場合はまた別)が比較的低いため、粘って粘って粘り勝つタイプの敵には弱い。


ウリエラ  生存能力E 乱戦D タイマンE 支援D

 今回のメンバーの中で戦闘を意識したメンバーの中では最弱。というか、元々ただの村人だったからしゃーない。因みに竜帝様の訓練は今のところサスティナメインで進行中。ウリエラちゃんは逆に弱すぎで一からトレーニング内容とかを考えている段階よって基礎体力を上昇させる筋トレをしている段階。ただし、初戦でないにしろ最初の方に賢者の塔とかいう特殊空間かつ竜帝なんてトンでもエネミーと接敵してあまつさえ死を経験しているせいで、若干自己の危機管理が甘くなっており、目を離せない状態になっている。あと武器が弓のせいでタイマンはどっちにしろ無謀。


アリシア  生存能力B 乱戦B タイマンD 支援D

 まともな冒険者その1。防御力が高く、覚悟決まってるタイプの騎士なので、乱戦だと味方の攻撃を気にせず、何だったら一緒に食らいつつ突撃していく。割と大雑把なので補助などは向いておらず、攻撃力はさほど高くないのでタイマンだとちょっと弱い。要はなんちゃってダ○ネス。


アベル   生存能力C 乱戦C タイマンB 支援C

 まともな冒険者その2。立ち回りが上手く、要領の良い盗賊と剣士を半々に嗜んでいる感じの器用貧乏。できることが多い分、まだ乱戦での立ち回りを決め切れていなかったりする。逆にタイマンで情報少ないと手数が光る。器用万能に今一歩足りていない。


ポポルン  生存能力G 乱戦G タイマンG 支援SS

 紛う事なき非戦闘員。というかペット。ただしいわゆる魔○少女の妖精さんなので、補助能力はピカ1強化魔法だけでなくオペレーションとかもやってのける。本体はねじくれ紛った進化をしなければタイマン張れる実力にはならない。



ギルド流棒術

 賢者の作り出した棒術と言われる何か。間違っても棒術ではない。何が棒術じゃないって、創始者である賢者が棒と三節棍と鞭と槍全部合わせて魔術媒体代わりにもするみたいな頭おかしい運用をしているから。

 具体的に言うと、初心者~ベテランくらいまでは普通の鉄や木の武器を使った一般的な棒術や三節棍術、鞭術を習得するんだけれど、師範代クラスになると武器が一定の魔力に反応して特定部位のロックが外れたり再び固着したりする変態武器を与えられる。で、二つの武器の扱いと魔力の操作で相手を翻弄する戦い方となる。

 なお、習得者からはそれぞれの武器の技術なら有用だが、それぞれの武器を切り替えて使うのはよほど習熟しないとむしろ器用貧乏と言われている。



先週は熱でぶっ倒れてました。

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