オークとおさらい
投稿ミスってるよ!!
すまぬ……すまぬ
明日もう一話投稿します。
俺はどこから話そうかと考え、とりあえず最初から話すことにした。ジュモンジ達には話したかもしれないが、俺がどうして旅を始めたのか、まずそこから、アベルとアリシアには伝えていなかったような気がしたからだ。
話していくと、今までのことが思い出されてくる。
何度も何度も試行錯誤して、それでも上手くいかなかった黒き茂みの森での実験の日々。あの時はたった二人で、苦労しながらも案外楽しかった。
「……それで、マザーサラマンドラを倒して数日たったら、そこにサスティナが現れてな」
「ちょ、ちょっとストップなのじゃ!」
突然口をふさいでくるサスティナに何事かと思ったが、そう言えばこいつ、ウリエラを対象に光源氏計画を進めてるんだったと思いだし、俺はその部分をバッサリカットすることにした。まあ、これくらいいは協力してもいいだろう。……その結果がどうなるかは、まあサスティナ次第だろう。
「まあ、それがサスティナとの初顔合わせだったな。それからボスが仲間になって、そのちょっと後にアベルたちと会って……あの時のアリシア、結構ビビってたよな」
「や、やかましい。いきなりオークに囲まれたらそれはビビって当然だろう!あの時はまだオーク級だったんだぞ!」
そう言って顔を染めるアリシアを見ながら俺は話を続ける。オークキングの所へ行き、ジュモンジと戦場で出会い。そして、諸々が解決したところでアンネの里帰りが決まった。
それからはアリシアと一緒の旅が始まったのだ。
「あの時は気が気じゃなかったっすよ。何しろ、アリシアが攫われて、救援を頼んだジュモンジ様がアリシアを救出せずに帰ってきちゃうんっすから。危険を承知で旦那の集落言っても、旦那の姿は見えないし、たまたまいたクッソ美人な……えーっとリリアンさん?って人に聞いたら、旦那とアリシアが旅に出たって話っすし」
……そう言えば、賢者の塔であったときに俺達の集落に行ったおかげで先回りできた……みたいなことを言っていた気がするが、リリスウェルナ様が教えてたのか。賢者の塔の件でも思ったが、結構仲間思い……いや、むしろアリシアに対する想いか?が強いようだ。
それはともかく、賢者の塔の一件だ。リストという心強い案内役に先導されて、妖精村まで到着。その場でひと悶着あり、アンネの父と仲たがいなんかもしたが、結局は和解して竜帝様に出会うことができた。
「あの時は大変だったわよね。全く、父さんも頭が固いんだから」
「決めたら譲らないのは、姉御殿も相当だと我は思いますがな」
思わぬところからの反撃に目を白黒させるアンネの顔を見て思わず吹き出しつつ、誤魔化すように続きを話す。
竜帝の提案で冒険者になることを決め、再開したサスティナと共に聖都リスデュアリスへと向かい、ギルドに登録。しかし諸事情でギルドに登録するためにはかなり長い期間が必要になることが決まった結果、俺たちは従魔契約をして冒険をすることになった。
その後も紆余曲折あってジュモンジ老の依頼を受け、最終的にはマンティコラ級冒険者としての資格と、神木の麓の土地、それにオークを理性ある存在にするヒントを手に入れた。
「あぁ、それでサスティナさんは冒険者なのに従魔の首輪をつけているのか!」
「……う、え、ええい!そんなことは良いのじゃ!次じゃ次!」
サスティナの言葉に従い、次の王都での生活の話に移る。
賢者様の有力情報を待つために一旦王都に逗留することにした俺たちは、自身でも情報を探りながら冒険者として活動した。その間にニコットが進化したり攫われたり、何だったら廃都に行ったりして特別なアイテムも手にいれた。
「……そういえば、あの緊箇児だっけ?ちょっと実験したけど、あれって、10回くらいで効果切れるみたいよ。あと、かけてから数週間たっても効果が無くなるみたい」
「えっ!そうなのか?いや、まあ、西大陸言ってからあんまり使う気はなくなってたけど。そうか」
アンネの突然のカミングアウトに、驚く俺だったが、まあ、実戦で使って発覚よりはましだろう。……この話が出た途端ボスが頭を押さえている……つまり……。ボスには俺たちの命令だからと言ってすべてに従う必要はないことを改めて伝えておこう。流石に非人道すぎる。
気を取り直して、廃都に行った後。いよいよ最近の話になる。西大陸にまで行き、そこで魔物使いの魔王、スィフォンの試練を受けた。一時期奴隷としてメンバにいたマーナが最も順調に試練をこなしたのは記憶に新しい。
「そして、西大陸から帰って、あんたたちに会ったってわけだ」
話していくと如何に濃い旅だったのかを自覚して、思わずため息を一つついた。
「ほっほっほ。まさに波乱万丈といったところかのぅ」
「というか貴様ら、淫魔に精霊、廃都に魔物使いで4人の魔王に会ったものなど、殆どおらんぞ。賢者や竜帝様だって出会えるかどうかで言えば似たようなもんじゃ。本当に数奇な運命としか言いようがないのじゃ」
ジュモンジとサスティナはそう軽口をたたくが、アリシアとアベル、ついでにウリエラは頭の中を整理するのに精いっぱいで少し静かだった。
「それでお主ら、話からすると黒き茂みの森へと帰るのかの?」
「あぁ、そのつもりだ」
それを聞いてジュモンジは大きく頷いて言葉を続けた。
「なれば、我らも共に黒き茂みの森に同行させてはくれまいか」
と。