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ヤギと後始末

 結論から言うと、マーナは最後に一撃を放った際、狼獣人から青炎人狼(フレアライカン)と呼ばれる魔人種へと進化していた。そして、その変化に対応しきれなかったディノケルスはかすり傷を負い炎上。若干焦っての沈下活動が開始されたのだった。なんでも、神獣と言われる彼であっても精霊剣の攻撃は大ダメージを覚悟するようなものだったようだ。

 まあ、実際は当てることはできたモノの、大した損傷ではなかったのだが。


 その後、俺たちは受付に討伐証明を提示し、ついでになぜかついてきたディノケルス様が証言することで受付の人が多いに慌てるという場面もあったが、無事に狩猟祭を終えることができた。


 そして、少しの待機時間の後……。


「ふふふっ。重畳重畳、まさか我らが狼の一族からこの狩猟祭の英雄が出るとは思わなかった!褒章については、後日、帝都にて与えるので、今回声をかけられたものは詳しい話を聞いておいて欲しい。また、今後予定のないものはこちらで移動手段を用意するので、安心してほしい」


 というわけで、俺たちは狩猟祭の最優秀評価を手に入れたマーナと共に、ウラパ監査長のいる港へと足を運んでいた。


「…………はぁ、あの、これを連れて行ってくれませんか?ただで良いので」


 ウラパ監査長は非常に疲れた顔でそんなことを言ってきた。


「いや、あなたが俺たちに貸し出しているっていう体にしたんだろう?それに、マーナ自身もここに残りたいって言ってるしな」


 俺がそう言うと、ウラパ監査長はあきらめたように頷いた。


「ああ、まあ、マーナに危害を加えるって言うんなら話は別だが……」


「与えませんよ。というか、それを想定して狩猟祭で功績を上げさせたのでしょう?」


 狩猟祭の功績は、予想通りマーナの進退にいい影響を及ぼせたようだ。……まぁ、ウラパ監査長が思いのほか従順で若干困惑気味ではあるが……。


 何はともあれ、俺たちは中央大陸行きの船へと乗り込んだ。目指すはとうとう、俺たちの故郷、黒き茂みの森である。


~~~~~~~~~~~~~~

「……これは全く、厄介なことをしてくれましたね」


 彼らが帰ってすぐ、ウラパ監査長が難しい顔で唸っていました。


「どうされたのですか?ウラパ様」


 一応、彼らとの引き渡しの際、どういう手品を使ったのか、私の身柄をこれ以上痛めつけないことをグォーク様とウラパ監査長で取り決めていたけれど、何かあったんでしょうか?


「いや、あなたの話ですよ。マーナ……いえ、マーナ様」


「ちょ、監査長!私奴隷ですよ!?監査長が私に敬称付けるっておかしいでしょう?」


「あなたこそ何を言っているんですか?神獣様と手合わせして、傷を負わせて生き残った上、建国に携わったとされる青炎人狼へと進化した少女。これだけの事実があれば、あなたの地位は容易に私以上になりますよ。というか、それで困ってるんですがね」


 そう言ってウラパ監査長はそのヤギ頭を疲れたように振りました。


「まずはヴォルフの奴が、貴方の奴隷身分からの解放及び、狼王である自分の所へと所属させるようにと圧力をかけてきています。そして、現獣王様からの謁見及び近衛騎士隊への配属打診……というかこれはほぼ強制ですね。狩猟祭の褒章の授受もありますし断れません。他にも、いろいろな方面から問い合わせやスカウトなんかも来ています。彼らは、君の価値を上げて相対的に損失した部分を埋め合わせることのできる人材にして返却した……くらいの認識なんでしょうが。これはあまりにも価値を上げすぎというものです」


 そう言って、天を仰ぐウラパ監査長は、そのまま私を見据えます。


「正直な話、さっさと奴隷身分から解放して楽になりたいところですが、そうすると私の庇護下から外れたと見なされて、玉石混交の勧誘がひっきりなしに来るでしょうねぇ。後暗殺者も」


「嘘でしょう?」


「嘘なもんですか」


 思ったより大ごとなウラパ監査長の話に驚いた私の反駁もさらりと受け流し、監査長は私に二枚の紙を差し出してきました。


「とりあえず、貴方はこの2つのうちのどちらかを選んでください。先ほど言った狼王の直属となるか、王の近衛になるかです。他にも打診は山ほどありますが、そっちは選んだ時点で王と狼王の二人に目を付けられればあなたを守り切れない程度の小物です。実質この二択しかないと思ってください」


 それを聞いて、私はウラパ監査長を見つめます。


「決めました。私は、狼王様の元で国のために尽くそうと思います」


「分かりました。私としても、それがいいと思いますよ」


 その後、話はとんとん拍子に進み、結果として私の身は現在もリーレイアにあった。理由は単純、リーレイアは狼王ヴォルフ様の納める領地だからだ。進退が決まってからしばらくお別れになるだろうと別れの挨拶をしていたりしたので少し気恥しかったが、それでも現在はガルムや探索者の仲間たち、そしてなんだかんだで顔なじみになってしまったウラパ監査長と過ごす日々が、とても心地よく感じるのだった。


ということで、第5章‼完結です!一応予定通り短いパートとなりました。


 次はいよいよオーク達を進化させるパート……になるのかなぁ?(暗黒微笑)


因みにグォークが得たモノ

・精霊剣

・高ランク冒険者の証

・ユグドラヘイムの一等地

・転移魔法が使える仲間

・賢くなる魔法

・緊箇児

・進化のコツ(アドバイス)

・その他有名人たちのコネ

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