オークと魔物狩り
主人公とヒロインが自己強化に取り組み始めたらしい。
……いや、だから遅くね?
本日3話目です。
俺たちのレベルアップを考えることになったわけだが、どうせやるならなるべく効率的に、つまるところ大けがしない程度に歯ごたえのあるやつを倒せるようにしたい。
なんとなればオークは殆どの怪我が問題なく修復できるので、結構やばめの敵を相手にしても問題ない。
まあ、アンネによれば、いい経験値稼ぎの方法は狩場を限定せずにいろんな魔物を倒していろいろな経験を積むことらしいが、どこにいるのか分からない新種族を狩りに行くのはかなり大変だ。
多少経験値効率が悪かろうが、そこそこの敵を大量に相手出来るように、骨のある魔物の巣でも見つけておきたいところだ。
ただ、経験値の入手量は魔物自体の強さだけではなく、戦闘に入るまでの難易度も経験値に関わるらしい。要は、今までオークを恐れて隠れたり逃げていたモンスターを狩ると、そこそこいい経験値を得られるらしい。
「まあ、隠れて生き延びてる奴って、気配察知や逃げ足もすごく早い奴が多いから、逃げられることも考えると効率はあんまりよくないのよね。効率考えるなら、そこそこ殴り合える脳筋モンスターの集団が一番なのよ」
ケラケラと笑ったアンネに、その後、中堅冒険者定番の経験値稼ぎ相手の筆頭がオークだと楽しそうに言われたときはちょっと拳が出そうになった。
まあ確かに、オークに押し切られない防御力と、倒しきる力量さえあれば、オークはどんな相手でも突っ込んでいき、しかも、単純な行動しかしないといういい経験値タンクになるとは思うが。
と、そんなわけで、現在のオーク集落の改革やら移住計画はひとまず置いておいて、俺とアンネのレベルアップの為に動き始めたのだった。
とはいえ、そもそもの話、俺やアンネの行動範囲というのは他のオーク達と大して違いがないわけで、そんなオーク達が特に問題なく帰ってきている時点で、強敵に会うのは望み薄な話ではあった。
「とりあえず、今まで出会ったのは、ゴブリン、ハイドスネーク、ホーンラビット、イヴィルゴート、フライングアイ、ワーカーアント、それにスライムか」
「そうね、常に狩れるって意味だと結構いっぱいいるけど、あんまり強い奴はいないわよね。イヴィルゴートに関しては経験値を得るにはちょうどいい強さだと思うけど、その分遭遇確率は微妙なところよね」
そう言って二人してため息を吐く。因みに訳知り顔で偉そうなことを言っているアンネだが、妖精と言う種族故に本人の戦闘能力はかなり低く、一対一だとゴブリンやホーンラビットでさえ勝利が覚束ない程度の戦闘能力しか持たない。
オークの主食たるハイドスネークに至っては、すでに一度アンネを丸のみにした実績を持っていたりしているのだ。その直後救出したことで何とか一命は取り留めたものの、あの時は危なかった。
「さて、西側をもう少し進んで行こうか」
どうせ生半可なモンスターでは普通の狩りと経験値の効率はそこまで変わらないので、しばらく行って良い相手がいない場合は、別の方法を考えることに決まっている。
新集落予定地を超え、しばらく歩くものの、アントやゴブリン、それに極々稀にゴブリンよりも大きなホブゴブリンの姿が見られるくらいだった。
ホブゴブリンはゴブリン以上の強さで希少性も高いものの、アントよりわずかに強い程度の魔物のため、経験値的にはあまりおいしい相手ではないようだ。
そんな状態が続き、更にそろそろ戻らなければ新集落にたどり着くまでに日が落ちる頃合いになったころ、森の様相が変わり始めた。
「……熱くなってきたか?」
「熱くなってきた、というか、急に温度が上昇したわね。めっちゃ熱いわよ」
よく見れば、その熱気のためか草木が枯れかけている。帰還のこともあるが、どうせ今戻っても新集落に一泊することになるのだと思い、少しあたりを探索することにした。
すると、今まで見たことのない鱗を見つけることができた。大きさはアンネの手のひらくらいで、燃えるような赤い鱗だ。ふと横を見ると、アンネがガッツポーズをしていた。
「どうしたんだ?アンネ」
「どうしたんだ、じゃないわよ!この鱗!サラマンドラよ、サラマンドラ!!」
詳しく聞くと、サラマンドラは火属性を持つトカゲのモンスターらしい。そして、その強さはオークと同格、繁殖力もオークほどではないにしろなかなかのものであるらしい。
オークと同格と言っても”一般的な脳筋オーク”と同格であり、策を練ることができる俺たちならば、十分安定して狩ることが可能だろう。
サラマンドラがどれだけいるか分からないが、安定した狩りの相手として適切な相手なのは間違いない。その日は一旦新拠点予定地に戻ることにし、翌日からサラマンドラを狩ることに決めた。
レベルアップ作戦、開始である。
いよいよ次回は本格的なレベル上げを始めます。
※なお、妖精もオークも総じてレベル、ステータスが上がりにくい種族の模様。
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