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オーク転生 脳筋種族に転生したとかマジですか。  作者: 廉玉タマ
3章 聖都・リス・デュアリス
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オークと魔法習得

「……い、……おぉ……い。起きてるかな~」


「……!」


 俺が目を覚まし、慌てて上体を起こすと、そこは殆ど物の無い執務室。つまるところ、気絶する前から見知っている場所だった。

 

「気付いたようだね」


 そう言うと、賢者様はさらに微笑みながら言葉を続ける。


「これを、魔法習得までやってもらうわ」


「ひっ……。あ、あぁその、勘弁願えないか、というか、ほんとにごめんだ!心臓止まるかと思ったわ!」


  意識が戻り、思考がはっきりした来たおかげで逆に賢者様から受けた死の恐怖を思い出し取り乱す俺だったが、そこに賢者様は言葉を返した。


「そうなると、君はおそらく魔法を使えないだろうね」


「いや、もう使えなくていいよ!流石にあれはないだろ!」


 それを聞いて、賢者様は困ったように笑った。


「そうか、ならこれはどうだ?君が魔法を開花させることが出来れば、君たちの為にもう一度だけ力を貸してあげることにしよう」


 む。


「それに、賢者の弟子という肩書は中々のものだと聞く。オークであったとしてもありとあらゆる機関で無下にされることは無いだろう」


 むむ。


「そして、私が教える魔法の使い方はより原初の望みに近い奇跡を起こせるものだ。君の願い……オークの発展に役立つ力が、きっと手に入るだろう」


 むむむ……。


「……はぁ、分かった。貴方がどうしてそこまで俺に魔法を覚えて欲しいのかは知らないが、もう少しだけ頑張ってみるよ」


「それは助かる。私も弟子に教育が下手とは言われたくないのでね。……とはいえ先ほどと同じでは結果も同じになる、というわけで、君に質問だ、先ほど、私ににらまれた時、どんな感覚だったか思い出してごらん?」


 賢者様に言われ、俺は思い出したくもないが先ほどの記憶を思い出す。


「それは……賢者様から、殺気?何かが俺を押しつぶすように来て、そこで死んだと思って……」


「なかなかいいセンスだね。なら、私が君を押しつぶそうとした時、どうすればいいと思う?いや、言い方を変えようか。どんなものならそれを解決できると思う?」


 その言葉に、俺は考える。


「逃げる……いや、それじゃあ意味がないか。どんなもの……もし耐えられるという話なら、鉄塊、それも全方位からのエネルギーを受け流せるような球形の……」


「……へぇ」


 その言葉に賢者様の眼が鋭くなる。


「なら、そのイメージをしっかり持ってもう一度やってみようか」


 そう言って、賢者様から威圧感が溢れて来る。


「魔素は願いを受けてその性質を変えるんだ。だから、強い意志を持って自らの魔素に語り掛けてみるといい」


 先ほどとは違い、その威圧感はすぐには密度を濃くしない。まるで遠くから大岩が迫ってくるような絶望感と、威圧感が俺を襲った。


「……くそっ!」


 俺は焦って自分の魔力を感じようとする。しかし、元々今回の賢者様に出会うまで魔法の魔の字も感じ取ることができなかった俺だ。例えこう言った異常事態だとしても、そう簡単に魔法の感覚をつかむことはできず、いよいよその威圧感が強くなって、俺は再び意識を手放したのだった。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 何度か賢者様に気絶させられ、そして復活しての繰り返し、いい加減精神的に追い詰められている俺だったが、生存本能なのか何なのか、何とか感覚をつかみかけていた。


「……けしかけた私が言うのもなんだが、少しくらいは休憩しても構わないよ」


「いや、何か掴めそうなんだ。やってくれ」


 それを聞いて、賢者様は俺に手を向ける。


(集中すれば、分かる。賢者様から力……おそらく魔素がはなたれて、俺を押しつぶそうとする。それに対抗するためには、今、俺の中に巡っているものを信じる。

 賢者様のそれと比べれば心もとないが、確かに分かる。俺にも魔素はある。魂の力、意志の力……なら!)


「ウ、ウォォォォォォォッォォォォォォォ!!!」


 柄にもなく咆哮で気合を入れると、俺はどこかから大量に何かが入ってくる感覚を得た。俺は貪欲にそれらを取り込み、更にそれが俺の中で変質していくのを感じた。

 先ほどまでとは異なる感覚に、俺は無我夢中で変質したソレで形を作り始める。変質したそれは、もうすでに俺の一部だと確信できた。だから、俺はそれらをなるべく固めて、そして球形の壁にする。


 気付けば、俺は賢者様の威圧感を完全に追いやることに成功していた。

 賢者様は目を見開き、俺はすっくと立ち上がる。


「……どうやら、やった、か?」


「そうだね、おめでとう」


 できるようになって分かる。確かにコレは違う。異常なほどの力の高まりを感じるが、それはそれとして賢者様の放つそれに敵意もないことが理解できた。

 肉体的な面も爽快そのもので、全身に力が滾るような感覚がある。


「あぁ、一つ言っておくが、それを止めるのは私でも不可能だ。正確に言えば一度目覚めさせれば今後一生付き合うしかないものだ。目に見えたデメリットというなら……まぁ、食事量が少し増えるくらいだね」


 サンドイッチを手に賢者様はそう答えたのだった。

グォークの感覚としては


覚醒前「岩、落ち、回避、無理……死!?」


覚醒後「ほーん、あの鯨こっちに来てるやん、でも敵意はなさそうやな」


 みたいな感じ。

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