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オーク転生 脳筋種族に転生したとかマジですか。  作者: 廉玉タマ
3章 聖都・リス・デュアリス
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オークと初対面

 竜帝様の用意した転移門を潜った先は、真っ白な部屋だった。賢者の部屋の前。賢者は塔の最上階まで登った先にいるという話だから、ここは既に地上からかなりの高さにある、賢者の塔の最上階なのだろう。


 そして、目の前には簡素ながらも立派な装飾が施された両開きの扉があった。門番も何もいないその扉に近づき、なんとなく神妙な面持ちで、俺はノックをした。


 数秒の無言、そして、その扉は緩やかに開き始め、その内部の全容を見せはじめ……。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「……ォーク、グォーク!!」


 俺はハッとして耳元で叫んでいるアンネを見返した。


「なにぼーっとしてるのよ、行くわよ!」


「い、いや、お前たち何も感じないのか!?」


 アンネに顔を向けているからまだ何とかなるが、まるで頭上に大きな岩がある様な、或いは津波が押し寄せるような危機感を常に感じていた。

 だが、感知に優れるリナや、実力的には俺たち以上のサスティナも特に感じるところはないようだ。


「……ふむ、グォークくん、ちょっといいかね」


 そう言って、ジュモンジが俺に向かって手をかざしてきた。そして、額に文様を描く。


「これで良かろう。流石に全てを防ぐことはできんが、少しは和らいだはずじゃ」


 そう言われてみると、確かに少しだが恐怖心が和らいでいた。先ほどの例えにすれば、岩や津波の手前に透明な壁がある様な感覚だろうか。少なくとも直接的に干渉されるのはまだ先、と思えるのが大きいのかもしれない。


「?よくわかんないけど、賢者様の所に行くわよ」


 そう言われ、再び扉の中に目を向けると、そこは普通の書斎だった。……正確に言えば、()()()()()()()()()()()()だろうか。

 周辺には高そうな風景画が何点か飾られており、それらは海や砂漠、森と様々な自然が彩られている。また、扉から見て奥の壁にはたくさんの本棚があり、そこに整然と本が整理されていた。

 それらを照らす、屋内の調度品に比べれば質素なシャンデリアに照らされた部屋の中央にはかなり大きな執務机が置かれ、そこには二人の人物が待ち構えていた。


 一人は先ほど竜帝様を蹴りつけた青年で、執務机について何やら筆を執っている。もう一人はメイドの姿をしていて、手に持ったカップケーキのようなものを盗み食いしていた。


「ふむ、来たか」


 男が筆をおいて俺たちを見つめ、リナ、ボス、それにサスティナ、ウリエラがその人物に頭を下げる。


「……主殿?」


 ボスの疑問の声に、しかし俺は視線をメイドから離せずにいた。何故なら、部屋に入る前から感じている異常な感覚の発生源が、明らかにあのメイドだと感じられたからだ。

 そんな俺のことを知ってか知らずか、アンネが呆れたように二人に声をかける。


「あの、なんで侍従の格好をしてるんですか?賢者様」


 実際に賢者に出会った事があるアンネの言葉に、メイド姿の女性は舌を出して笑みを返してきた。

 その様子に、こちらもおそらく始めから賢者が誰か分かっていたであろうジュモンジがやれやれと頭を振った。


「……賢者様、これを分かっていてやりましたな。全く、私をからかうのもほどほどにしてください。勿論、挑戦者もですがね」


 そう言うと、男はさっと席を立ち、メイドの女性に席を譲った。メイドは優雅に席に座り……その一瞬で身に着けている者が紫の(陰陽師が着ていそうな)和装に似た服にすり替わる。


「さて、ばれてしまっては仕方ない。私はカーク。巷では賢者なんて呼ばれてる、しがない塔の管理人さ」


 女性の口から伝えられた言葉に、ある物は驚愕し、ある者は納得し、ある者はそのままだった。そんなそのままな人物の一人、ジュモンジがカークに声をかける。


「久々じゃのう、カークよ」


「ええ、久しぶり。息災かどうかは、ま、聞くまでもないかな?」


「いや、それがのう、なんだかこの部屋に入ってから少し調子が……」


 それを聞いて、カークがふざけるような声で言葉を続ける。


「おや、新しく体を手に入れて、身体に負担でもかけたかい?まあ、そういうことならちょっと優しくするとしよう」


 次の瞬間、彼女から恐ろしい気配は失われ、荘厳な気配のみが残った。

 俺が内心ホッとしていると、その間にカークは自分が運んでいたワゴンの中からいくつか料理を取り出しながら続けた。


「さて、君たちの戦いの様子は見せてもらったよ。中々の機転と胆力といった所だね。正式な通達は後になるけれど、マンティコラ級までは上げることができるくらいの評価とは言っておこう」


 驚いたものの、俺たちにとっては階級はおまけなのでそれほどこだわらずにカークを見つめなおした。


「あら、あまり驚いてくれないんだね」


「まぁ、俺の目的は階級を上げるためじゃないからな」


 俺に向かって声をかけて来た彼女の言葉に対応すると、ポテトのようなものを持ちながら何やら意味深に微笑まれた。


「そうだね、あなた達からは何か話があるとファンレイからも聞いているし少し話をしようか……とその前に、ジュモンジにそこのドラゴンちゃんとそのお弟子さんは、何か話したいことはあるかな?」


 そう聞くと、三人とも首を横に振る。サスティナとウリエラは彼女の前で上がってしまっているらしく、何となく前世でアイドルに会って感無量になっているファンを思い浮かべるような表情を浮かべている。ジュモンジに関しては先ほどの軽口で満足した様で、「顔が見えただけでも十分じゃよ」と笑っていた。


「なら、そこの二人は竜帝直通の転移陣の符を渡そうか。修行の約束もしたようだしね」


 そう微笑むと、ジュモンジ達の後ろに転移門が出現する。それを把握したジュモンジはカラカラと笑いながらその転移門に向かった。ウリエラはともかく、サスティナもあわあわとしながらそれに続いた。

 そして、転移門が閉じ、改めて俺たちに目が向く。


「さて、それじゃあ本題に入ろうか」

 ついに!ついに賢者様を出せました!実質2章分賢者様に会うために費やしたと考えると個人的な達成感がヤバいです。

 賢者様って私にとって結構思い入れがあるキャラで、原案の段階までさかのぼると今作に登場するキャラの中で一番古くから設定が練られているキャラだったりします(因みにほぼ同率でリリスウェルナ様も古い)


 給仕に変装していたのは賢者様のいたずらですが、つまみ食いしていたのは平常運転です。設定もりもりのキャラなのであれですが、裏で常に魔術を使っているので燃費がクソ悪くほぼ常に食事をしているという裏設定があります。


 それと、作品の断片的な情報を繋ぎ合わせれば仄めかされていますが、この方結構なおばあちゃん(普通なら白骨化してる?)だったりします。作中の全登場人物合わせても今のところ2番目に年長です。

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