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オーク転生 脳筋種族に転生したとかマジですか。  作者: 廉玉タマ
3章 聖都・リス・デュアリス
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オークと竜帝 リザルト

「……本当に、本当に倒しよった、あの竜帝を……」


「いや、ジュモンジ様もその一人だろうに」


 茫然とするジュモンジに俺は戦闘が終わり急に感じる疲れに腰を落しながらそう声をかけた。


「いや、まぁそうなんじゃが、儂の初代よりも前に生きる太古の竜にしてその時代から最強の名をほしいままにしとった竜の頂点じゃぞ?いくら手加減があったにしろこのメンツで勝てるなぞ、奇跡としか思えんよ」


 そんな言葉に、俺は再び竜帝様のとんでもなさに驚愕する。


「ジュモンジ様の初代って、一体何世紀前の話だよ。しかも、さっき手加減って……」


 そう言った途端、倒れたはずの竜帝様の体から黒いオーラが漂い始めた。


『グッ……グァっハハハハハハ!!ワレヲウチタオストハミゴトナリ!ナレバコレヨリホンリキデ魂マデモヤキツクシテクレヨウ!!』


 明らかに正気でない声で竜帝様は声を上げ、しかも先ほどとは比較にならないほどの速度で竜帝様の顔が近づいてくる。


「!?主殿!」


 思わずといった風に、俺を庇ったボスが一瞬にして吹き飛ばされ、はるか遠方で光の粒になって消滅した。


「……おいおいおいおいおい!!嘘だろ、あれ」


 この中で一番防御が高いはずのボスがたった一撃でやられた?ブレスでなら、まだわからないでもない。あれはサスティナを一撃で倒した実績もあるのだから。だが、先ほどの攻撃は吹き飛ばしによってエネルギーを完全にダメージに変換できていないにも関わらず、最も防御の硬いボスを()()()()()()()で打ち砕いたことになる。


 しかも、よく見れば、先ほど穿った逆鱗も、傷一つない形に戻っていた。


「……は、ははは、こりゃ無理だ」


「そうね、あれは、私達が抗うとかいうレベルじゃないわね」


 ここまで来れば、俺たちにできることはまるでない。それでも、最後の一瞬まで竜帝様を見据えようと決意した時。


 上空から、鉄槌のような一撃を見舞われ、竜帝様が大地に倒れ伏した。見れば鉄槌の主は一人の男だった。一見高位神官の法衣のようにも見える簡素な、しかし上質な素材を使っていると分かる衣服を身に纏い、手には巨大な錫杖、顔にはモノクルを身に着けている。見た目だけではあるが、歳は20代前半くらいであろうか。


「熱くなりすぎだ、馬鹿者」


「ム、ムムム……ハッ!こ、これは失礼を」


 竜帝に一撃を加えたその人物は、生き残った俺、リナ、ジュモンジを一瞥し、口を開いた。


「偉大なる討伐者諸君。私は、貴殿らを祝福しよう。塔の最上階にて待つ。以上だ」


 そう言って、男は音もなく霧のように消えて行った。


「む、済まぬなお主ら、儂を打ち負かすもの等ここ数千年塔の者以外でついぞおらんかったのでな。少々熱くなってしまったわい」


 その言葉に、はっと俺たちは竜帝様を見上げた。竜帝様は転移門を開きながらその身をだんだんと小さくしてゆき、とうとう俺たちと目が合う高さにまで縮小した。


「認めよう。お主らは、三次試験の合格者である」


 そう宣言した途端、転移門の向こうから驚くほどの歓声が上がった。

 驚いてそちらを見ると、既に退場したボス、蘇芳、それにウリエラとサスティナの姿があった。因みにサスティナは幼女形態でウリエラにしっかりとしがみついており、そのウリエラはサスティナを抱きあげながら嬉しそうにクルクル回っていた。


 よく見れば、その後ろには二次試験で出会った副ギルドマスターやチンピラの皆さん、ファンレイの姿もあった。


「いやはや、まさか倒してしまうと「グォークっ!!」は、っとあれ?」


 ファンレイがこちらに向かって何か言おうとしているのを遮って、蘇芳が俺に向かって突進し、俺を押し倒した。


「ダーリン!私ノ活躍!役タッタ?スゴイ?スゴイ?」


「……あぁ、すごいよ、ありがとう」


 これは本心だ。あそこで何度も何度も落下する恐怖に耐えながら、それでも最後まで竜帝様の逆鱗を狙って下を見続けた蘇芳の活躍が無ければ、いくらひびが入っていたとはいえ、あそこで逆鱗を砕いて試験を終わらせることはできなかっただろう。というか、あそこまで過激なことをやらせる気はなかったのだが、蘇芳の行動力は時に目を見張るものがある。


「まさかたおs「さて、儂を倒したお主らに、少し話をしようかのう」……むぅ」


 またファンレイが何か話しかけようとしたようだが、今度は竜帝様に言葉を遮られた。不満そうな顔こそしているものの、さすがに三次試験の試験官でもある竜帝様に口を出す気はないようだ。


 俺たちは全員が揃って竜帝の前に集まった。そして、全員集まったのを確認して竜帝様はアンネに手を伸ばした。


「アンネちゃん、良く儂に勝ったのう、すごいぞ!ここまで大きくなっとったとは、じいちゃん感激じゃ!!」


(エェェ……)


 今までの真剣な感じから完全に孫を過剰にかわいがるダメ老人に変貌した竜帝様にドン引きの表情を隠しきれない俺たちだったが、そんなことにも気づかず二人の会話は続いていく。


「いや、竜のじーじ褒めすぎだって、私ひとりじゃ、絶対じーじを倒すなんて無理だし、それに本気でもなかったんでしょ?」


「いやいや、あそこでアホ面下げとる賢者の弟子筆頭ですら成し遂げられんかった快挙じゃぞ、これは。こんな偉業を成したカワイイアンネちゃんにはご褒美をあげねばな」


 飛び火で注目を集めたファンレイ(賢者の弟子筆頭)様は、若干涙目になりながら注目する周囲を睨みつけていた。俺は慌てて目をそらした。俺は関係ない。関係ないからこっちに来ないでください。

 と、そんなことはともかく、アンネはその言葉にパッと顔を上げて言葉を続ける。


「あ、それなら、あの魔法教えてよ。前に私が覚えたいって言ったらダメって言ってた」


「竜魔法のことかの?うーむ、あれは肉体への負担がかなり高いんじゃが……まぁ、儂を倒したアンネちゃんなら平気じゃろう」


 そう言って、小さな転移門から一冊の巻物を取り出す。


「これが儂が体系化した竜魔法の魔術書じゃ。大事に使うんじゃぞ」


「ありがとう竜のじーじ!」


 何とも言えないひと時の後、やっと気づいたように竜帝様が俺たちに顔を向ける。


「……コホン、まぁ、というわけで、儂を倒すというのは狩りに手加減していたとはいえ偉業じゃ。故にお主らには我が財を与えようと思う。望みがあれば聞くが、いかがかな?」


 そう言って、竜帝はきらりと瞳を光らせるのだった。

竜帝様はフェンリル級の中でも上位クラスの存在です。本来の力を駆使すれば試験どころではなく一瞬で戦闘が終わりました。竜帝様が課した縛りは


①体内の魔力回路を休眠させ肉体の強化率を平時の3%程度にとどめる

②体を巨大化させ、重量的な破壊力を上げる代わりに移動は一切しない

③ブレスは極力撃たない

④勿論他の魔法やオーラも使わない

 

 といった所。ただ、その状態で本気自体は出していた模様。


 もし仮に竜帝様がガチで戦う場合、屋敷くらいの大きさの生物(ここら辺が竜帝様の得意な大きさ)が常にブレスとどこから飛んでくるか分からない多彩な攻撃を操り、戦闘機並みのスピードで飛び回った挙句転移魔法まで使う模様。竜帝様はヒットアンドアウェイ(大抵一撃で相手は死ぬ)が得意な模様。

 賢者の塔だけで言ってもこれより上が12匹いるってマ?

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