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オーク転生 脳筋種族に転生したとかマジですか。  作者: 廉玉タマ
3章 聖都・リス・デュアリス
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オークと竜帝 序章

「……とはいえ、不思議な組み合わせじゃな。ジュモンジ殿に、アンネちゃんの姿も見える。お主らなら、最終試験の相手が儂であると分かったのではないか?」


 最終試験開始の宣言をしたにもかかわらず、竜帝様はそんな風に声をかけて来た。その言葉に、ジュモンジとアンネは肩をすくめて言葉を返す。


「儂の役目は、新たなる者を導くことと思っておりますからな。敗北も、経験ですじゃ」


「それに、竜のじーじと一戦交えることができる経験なんてこの先もないことだもの。死ぬ気で……いいえ、たとえ死ぬとしてもその最後の一瞬まで知を求め、智を磨く。それが賢者のやり方……でしょ?」


 それを聞いた竜帝が先ほどにも勝る大声で笑い始めた。


「愉快愉快!これほどに気持ちの良い試験の幕開けは初めてじゃ!そして、良く豪語したアンネ!なれば、儂もその力の一片を見せてやることにしよう!容易く潰れてくれるなよ?」


 そう言うと、ただでさえ大きかった竜帝様の体が更に大きくなり始める。具体的に言えば、先ほどまでは二階建ての家程度の大きさだったのが、今では小さな山程度の大きさとなっていた。顔だけで先ほどの竜帝本人がすっぽりと収まりそうだ。


『ここからが本番じゃ!一度で果ててくれるなよ!』


 もはや大きすぎて何重にもこだまして聞き取りにくい声でそういうと、もはや建物と同じくらいの大きさの顔が俺たちに迫ってくる。

 俺たちはその時点で既に竜帝様から距離を取っている。今回は相手となる竜帝様の大きさが大きさのため、俺とアンネはともに行動して離脱は無しだ。


 と、そこでいまだに震えているサスティナを見て、俺は大声を上げた。


「サスティナ!ウリエラを守れ!」


 その言葉にハッとなったサスティナは、慌てて周囲を見渡すと必死の形相で逃げ出していたウリエラを認めた瞬間、竜の姿を取ってウリエラを確保。そのまま背に乗せて飛翔し、攻撃範囲から逃げ切った。


 一撃目は攻撃範囲から俺たちすべてが逃げ切った直後に巨大な顔が落ちてきて大きな咢が地面を抉り取る。

 地面に設置してから、顔を上げるまでの僅かな間。俺たちはその隙を逃すことなく攻勢に回る。


 ボスが氷の剣で目を狙って氷の棒を伸ばせば、竜帝はそれをただの腕の振り回しだけで無効化してしまった。氷は粉々に砕け散り、そして、その直後に黒い仮面が竜帝の目に写る。


「!?」


暗殺者の刃(アサシンエッジ)!」


 リナは魔力を込めて短剣を振るった。竜にも攻撃を通しうるほどの強固な素材は殆どないが、それでも眼球を狙えばその限りではない。大きさだけでもリナが○○すっぽり埋まりそうな竜帝の眼球を狙い振り下ろされた短剣は、しかしその威力を見せつけることなく力なく地面にこぼれ落ちた。

 リナは無理に追撃をすることなく、素早く離脱した。


 暗殺者の刃(アサシンエッジ)は、リナが進化したことで得た力で、自身の魔力を武器に纏わせることで、敵の弱点に大量の魔力を浴びせその部位を脆くするという効果を持った特技だ。要するに強い場所でも脆く、脆い場所ならなおさら脆くする技なのだが、その特殊効果を加味しても竜帝には届かなかったようだ。


「やっぱり、相当固いな、アンネ」


「そりゃそうよ。じーじの武勇伝、聞きたい?相手は惑星クラスの大きさを持つゴーレムだけど」


「その相手の特徴だけで十分だ!」


 そんな相手が殺しきれない相手に力づくで正面突破など無謀だと即座に判断……というかそこに考える力を割くのが馬鹿らしかったため、話を区切って次の攻撃に備える。


『儂が気が付かぬ隠形とは……中々に愉快よの』


 そう言った直後、竜帝の口腔の奥から、まばゆい光が生み出される。


「ブレスよ!気を付けて!」


 竜帝の向いているのは先ほど奇襲をかけたリナの方向だ。素早く動いているが、何しろ顔だけで大きな屋敷ほどの大きさの存在ににらまれていては射線から逃れるのも一筋縄ではいかない。


「くっ!?」


 ここまでかと悔しそうにするリナの目の前に、一つの影が差した。


「わが妻を、殺させはせぬ!!」


 そう言って、ボスは大楯を構える。直後、膨大な熱量が二人を襲い……しかし光線が収まった後、二つの影がそこから離脱した。


「……ほう、儂の鱗を使った盾か……よくそんな物を見つけて来たものじゃ」


「あれも、そっちの仕掛けだったんだろ?」


 俺たちが立ち向かう相手が竜帝様だと確信できたのは、二次試験の村で出会った占い師の老婆がきっかけだ。


「俺とアンネが、あんたの鱗を持ってる占い師のおばあさんに出会ってるんだよ」


 老婆が拾った鱗には古龍に独特の幾重にも刻まれた年輪のような模様と、濃厚な魔力が篭っていた。それが無くともアンネの確認で一発だったが、俺たちでなくとも次に相手する相手がどれだけ理不尽な相手をかを把握するための配慮だろう。


 それによって、俺たちは()()()()()竜帝対策の準備をしてきたのだ。


「装備は耐熱、耐暗黒に重きを置いて準備してる。容易く倒されるとは思わないでくれよ!」


 そう言って、俺はボスに手元から出した瓶の中身を振りまいた。いくら耐えきったからといってもボロボロになっていたボスの体の細かい傷が癒えていく。

 いつぞやの話で効いた即効性があり部位欠損さえも治せるポーションの類だ。これも相手が竜帝だと知らなければわざわざ買わなかっただろう。


 もう一度装備と荷物を確認して、俺は精霊王の剣から、腕に固定して大味に切り裂くような巨大な諸刃の刃物を装備しなおした。


「さぁ、竜帝様、こっからは、新調した竜殺しの剣(ドラゴンキラー)で相手してもらうぞ!」


 そう言って、俺は竜帝に突進したのだった。



なお、今回竜帝様が巨大化したのは手加減の一部です。確かに巨大化することで攻撃範囲や攻撃の威力は相対的に上昇しますが、その分死角が大きくなったり速度が遅くなったりします。具体的に言えばハエを殺そうとしたら人よりもカエルの方が上手いよねって言う話(ちょっと違う?)


 竜帝様は素の肉体(巨大化した姿)で相対してますが、それ以外の魔法的な諸々はブレスぐらいしかしませんし身体強化も極限まで切ってそのうえで本気で戦っています。


 言ってしまえばチェスの世界ランカーが少しやった事がある将棋で飛車落ちで本気で相手するみたいな感じ。

 

 グォークの言う通り、惑星一つ分の質量と相対して引き分ける相手は今のグォーク達には荷が重いです。

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