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オーク転生 脳筋種族に転生したとかマジですか。  作者: 廉玉タマ
3章 聖都・リス・デュアリス
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オークと沼地

 ハイドスネークがいる沼地はそれほど大きくない場所のようだ。迂回すればいいという判断も納得できるような周囲を平原に囲まれた場所であり、しかもほぼ沼の目の前だというのに、沼の両端が確認できる。ここからでは奥行きは分からないが、沼から外に向かったハイドスネークを警戒して沼地から大きく迂回して回るとしても一時間も歩けば沼地の反対側に行けるのではないだろうか。

 沼地とは言うが、所々に木が生えており、ちょっとした林が何か所かに分かれたような場所になっていた。前世のテレビで見たマングローブの森を小規模化したような姿といえば分かりやすいだろうか。

 沼地に木々があったのは予想外だったが、この場所の様子は俺たちにとっては少し安心できる材料にもなった。

 俺たちは沼地ということで、ハイドスネークの行動がどんなものであるかを警戒していたのだ。勿論ここのハイドスネークの生態が黒き茂みの森にいるハイドスネークと同じかは分からないので、警戒は続けなければならないが、それでも似通った環境で同じ魔物が生活しているなら同じような生態をしている可能性が高い。それに奇襲特化の性質が共通しているのなら、木々の無い平原まで避難すればその力を大分そぐことができるだろう。


 と、色々考えたのだがこちらには俺、ボス、蘇芳と毒無効が3体もいるわけでいくら猛毒を持っていようと関係ない。

 もっと言うならばハイドスネークなら飽きるほど狩って来た相手だ。毒が効くリナは待機、一応ついて行きたいといったアンネはいつぞやの荷物袋スタイルでついて行くことになった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 俺たちが沼を歩き回った結果だが。うん。大量だった。

 俺たちは武器を抜くこともなく、飛びかかってくるハイドスネークたちを捕らえ、地面に叩き付けたり握りつぶしたりした後、一応荷物袋に入れておいた。ただ、すぐにいっぱいになったので、多少は食われること承知で首に紐を付けて引きずっていくことにした。

 

 まぁ、そんなことを続けていけば身動きが取れなくなるため、引きずっているハイドスネークの数が各10匹を越えた段階で一旦戻ろうとした時に、そいつは現れた。


「よし……これで14匹目……ん?」


 俺が手元を見ると、そこには蛇の魔物がいた。一瞬何かを呑み込んだハイドスネークかと思ったが、何匹ものハイドスネークと戦っていた俺にはどうしてもそれがただのハイドスネークには思えなかった。


「ちょ、ちょっと待って、それ、良く見せて!」


 アンネが慌ててそう言うので、彼女を攻撃できないギリギリの距離にその蛇の魔物を持っていく。アンネはそれをじっくりと観察し……そして、しっかりと確認すると、大きくため息を吐いた。


「はぁ、そういう事かぁ、なんて依頼出してんのよこの村は」


 アンネはそう言うと、俺たちにいったん撤退を指示した。ついでに俺の持った蛇は生きたまま確保だ。


 そして、沼地から帰ると、すぐさまこう言い放った。


「この依頼、放棄しましょう」


「……理由は、この蛇か?」


 俺が聞くと、アンネはその通りと頷いた。


「その魔物はね、フォーチュンバイパーっていう名前の希少な魔物なのよ」


 そう言うと、ハイドスネークの死骸を指さして、アンネは続けた。


「フォーチュンバイパーはこういう蛇系の魔物を呼び寄せてその中に紛れて身を守るのよ。勿論一緒になって襲い掛かってくるんだけどこいつは結構固い魔物でね、ハイドスネークだと思って攻撃した攻撃は跳ね返せるから、一回駄目だと思ったらこいつ自身はすぐに逃げて姿を現さなくなるって習性なのよ」


 そこまで言い切って、アンネはさらに深くため息をついてフォーチュンバイパーを見据えた。どうやら本題はここからのようだ。


「それでね、この魔物は倒して暫くすると体の魔素が抜けてハイドスネークっぽい暗緑色から金色に近い色に変色するのよ。その色の美しさと、さっき言ったみたいに討伐が極端に面倒なところから、その皮にかなりの価値が出ちゃったのよ。だから、賢者がギルド経由で狩猟制限をかけたわけ、所謂保護指定って言われる物ね」


 なるほど、所謂前世における絶滅危惧種的な扱いを受けているわけだ。


「保護指定の魔物を討伐するのは、問題がありそうだな」


「まぁ、実際のところは保護指定にも種別があって、こいつは保護指定の中では最低保護水準だから、事故や不慮の遭遇による討伐なら見逃される可能性は高いと思うけれど、ね」


 なんでも、保護指定は絶滅が危惧される生物の保護のみならず、様々な理由で出されることがあるらしい。

 広い定義で言えば、俺たちの持つ人権印章に関する者もこの保護指定の内訳に入るようだ。


 具体的に上から言うと、魔王への眷属への保護、人権を付与した者への保護、有用生物の保護、希少生物の保護の四分割となるらしく、魔王との友好関係や人権を付与したギルドの威信がかかっている前者二つに比べれば、後者の二つは事情があれば事前に話を通していなくても法的に罰せられることなく討伐することが可能とされているそうだ。


 まぁ、現在アンネにその正体が看破されているためその話は今関係ないのだが。


「って、それはともかく、一番の問題なのは!」


 アンネは今まで以上の大声で俺たちに向かって叫ぶように言い放ったのだった。


「あの村長が私達に嘘を吐いたってことなのよ!!」

※今回の階層は賢者の塔でありながら試験の都合で死体(素材)がそのまま落ちる仕様になっています。

 コストは上がりますが別の場所で復活自体はしています。

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