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オーク転生 脳筋種族に転生したとかマジですか。  作者: 廉玉タマ
3章 聖都・リス・デュアリス
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オークと情報収集

「そうか、ありがとう」


 おれがそう言うと、村人役のゴーレムは特に何の反応も示さずにその場を立ち去って行った。ここのゴーレムは精巧なのか雑なのかよくわからない。少なくとも、話しかけても何も返ってこないということは無いし、最初の案内役ゴーレムと違い、何と簡単な受け答えならばそれっぽい言葉を話してくれることが分かった。

 ただ、それと同時に、聞かれたことでもある一定の範囲を超えると「すみません、よくわかりません」とか「それは私に聞かれても」などという言葉しか言わなくなった。

 また、適切な質問を投げかけると、一字一句正確に同じ言葉を繰り返すことが分かった。


 まぁ、もし生身の人間だったらオークが情報収集とか無謀だったかもしれないのでそこは助かったが。


 それは兎も角、聞いた情報を総合すると3つほどの意見に纏めることができた。


 一つ、件の沼地がハイドスネークの巣になっているのは確かに困るが、沼自体には用がないので迂回すれば問題は無く、沼の先に行くこともあまりないこと。


 二つ、初期に沼地にハイドスネークがいることが判明したため、村人への被害は殆どないこと。


 三つ、冒険者は何人か見かけるものの、ハイドスネークやホーンラビットなどを狩ってきた姿以外は見ていないこと。


 アンネと合流するが、アンネも似たような情報しかなかったようだ。


「……沼地にハイドスネークがいるのは確実、冒険者も来てるし、緊急性はそこまで高くなかった。だけど、ゴーゴンヘッドを持ち込んだ冒険者はいなかった……ってどういう状況よ、これ」


 アンネが頭を悩ませる横で俺も頭を捻る。

 アンネの疑問であったゴーゴンヘッドを倒した冒険者にハイドスネーク討伐を依頼しない理由については、緊急性が無かった、という理由が当てはまりそうな気がする。


 ただ、ゴーゴンヘッドを持ち込んだ冒険者がいない以上、それが真実かは不明だ。もしかしたら、たまたま通りかかった冒険者が討伐してそのまま村によらず別の場所に行った、とかあるいは村人たちにはわからない方法でゴーゴンヘッドを持ち込んだという可能性もある。


 そんな風に考えていると、アンネが頭をガリガリ掻き毟りながら叫んだ。


「ああっ!?もうわっかんないわよ!ただ倒したら試験終了なの?どうすりゃいいのよ!」


「……まぁ、その可能性もあるんじゃないか?アンネもハイドスネークの毒は即効性のかなり強い毒って言ってたじゃないか」


 その言葉にアンネも少し冷静になったのか、小さく頷いた。


「確かにそうね、もしかしたら、私も少し考えすぎてたのかも」


 アンネも納得したので、俺たちはリナが帰ってくるのを待って、沼地へと行ってみることに決めたのだった。


 待機と決めると蘇芳が俺にすり寄って来た。普段から俺に纏わりついてくる蘇芳だったが、何度かの冒険を経て、最近は我慢を覚えているように思う。あまり言葉も出てこないが少し前は毎夜ウリエラ達と一緒に勉強会をしたりしていたし、交渉時や戦闘時は一歩身を引いて俺が動きやすいようにしてくれている。

 スキンシップこそ過度なものの、最近は俺に性的に襲い掛かることもなくなっていた。


 最近の蘇芳の様子を思い浮かべながら、俺は彼女の頭を優しくなでた。種族はオークだし、頭の足りない困った奴だが、生まれた時からの昔なじみで、そして、俺を追いかけて森を出て来た存在だ。困惑が大きかったが、うれしくないわけがない。


 そんなことを考えていると、蘇芳が俺をじっと見つめていた。


「どうした?蘇芳」


「ダーリン、水チョウダイ」


「のどが渇いたのか?ちょっと待て」


 俺が水筒を取り出そうとして、ふと蘇芳も自分の物を持っていることを思い出した。


「蘇芳、お前自分のがないのk……」


 そう言った途端、蘇芳の手が伸び、俺の水筒を奪い取った。


「ダーリンノ水、ダーリンノ水♪」


「そういう事か!ったく」


 俺は蘇芳の手から水筒をもぎ取り、代わりに蘇芳の荷物袋から水筒を取り出して、誰も手を付けていない水壺から水を移し替えてやった。

 蘇芳は少し不満そうだが、それでも文句は言わず水を飲み始めた。


「……?どうしたアンネ」


「いや、なんかちょっと引っかかった気がして……」


 アンネが何か思い浮びそうだったのだが、そのすぐ後にリナが戻ってきたため、そのまま出発することになった。


 リナによると、ハイドスネークの数は100を超え、ちらほらと別の種類の魔物もいるそうだ。ただ、数こそ多いものの、毒と隠密に優れた魔物のため、毒無効の俺たちが前に出てあらかた倒し、その後、察知能力に優れたリナと魔力感知に優れたアンネとで後詰めをすれば、殲滅できるだろうと結論付けた。

 毒無効な俺たちならば、血清などの特別な用意も必要ないと感じられたため、買い出しや準備なども無しで沼地へと向かったのだった。

 以前ハイドスネークはオーク級と紹介していますが、あくまでも普通の森に生息している状態での危険度です。蛇玉みたいなのが群れてた場合、察知能力とか関係なしに毒の牙を受けざるを得ないので危険度がかなり跳ね上がります。

 まぁ、だからってマンティコアよりも厄介とかはないですが。

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