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オーク転生 脳筋種族に転生したとかマジですか。  作者: 廉玉タマ
3章 聖都・リス・デュアリス
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オークと別行動

side ボス

 我は妻であるリナと共に、アント共の群れに接近しておった。

 我が主、グォ―クと姉御殿、それに蘇芳殿は臨機応変に活動するために村の方で警戒をしている。


「あなた」


「うむ、来たようだ」


 道の向こうから、巨大なアリの群れが近づいて来ている。我は戦意を滾らせ、隣に佇む最愛の妻に向かって笑いかける。


「我らと主殿達は同じパーティ。助け助けられる仲ではある……が、この程度の敵、主殿の手を煩わせる必要はない。そうであろう?」


 それを聞いて、リナも我に笑いかけて来た。


「当然」


 そして、戦いが開始する。


 相手との距離は10mほど、既にアリ共も我らの存在に気付いており、敵としてみなした彼奴等は我ら目がけて速度を上げている。


「喝っ!!」


 残りが3mほどになったところで、我は精霊王の剣を振り切った。氷の刃が迸り、先頭の5匹が凍り付く。

 凍った味方に遮られ、或いはぶつかったアリ共を、我は凍ったアリと諸共に撫で切りにしていく。


 反抗の隙すら与えず、我は殆どのアリを駆逐した。土魔法を使わせる隙すら無い一瞬である。


 そして、破れかぶれの突撃を我にしようとしたひときわ大きいアリを見て、我は()()()()()


 次の瞬間、空中から急降下した我が妻がナイトアントの首を叩き切ったからである。


「あっけない幕引きでありましたな」


 ここが賢者の塔であることを示すように、キラキラと光を発して消滅するアリたちを見ながら、我は我が妻に語り掛ける。そして、それにこたえて彼女も幾分か柔らかい声で、我に話かけて来た。


「もう、敵影はないみたい」


 こうして、時間にして5分も経っていないその一瞬でアリの集団は全滅したのである。


~~~~~~~~~~~~~~

Side グォーク


「……なんか、雰囲気が変わったんだが」


 俺がそう言ったのは村の雰囲気が変わったからだった。昼間であるが村の家々から明かりが灯り、更に村長宅がひときわよく光った。

 気付けばいくつかの人形も移動しており、いくつかの看板を読むと魔物の脅威が去ったのを歓喜する旨のセリフが綴られていた。


「……これは、本来なら冒険者が報告したりいろいろしてから依頼達成の流れだけど、試験だからそこを簡略化した、ってことかしら?」


 アンネの言葉に俺は黙考し、頷いた。


「その可能性が高そうだな。とりあえず村長宅に行けば何か分かりそうだから、行ってみようか」


 俺たちは、先ほどまで準備していた警報装置用の紐と鐘を回収しつつ、そう言ったのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「……転移門。出て来ちゃってるわね」


 帰ってみると、なんてことはなく、村長の部屋の奥に転移門が出現しており、そしてそのまま移動できるようになっていた。

 そのそばには、「第二試験場はこちら」と丁寧に看板まで出現している。


「まぁ、よく考えれば私達まだスライム級だし、オーク級に飛び級するとしてもアントの波状攻撃とかなるとやりすぎなのかしら」


 確かに、複数回試験があることを考慮したうえで試験のメタ読みすると、最初の試験でアントの群れ20匹というのは妥当な数かもしれない。


 とりあえず俺たちはボスたちを待って次の試験会場へと向かおうと思ったのだが、村長のマネキンのセリフが気になり、もう一度読み返していた。


「どうしたの?そんなところで」


「いや、ちょっとこの看板を読んでみてくれ」


 そうしてアンネも見ることになった看板には、このように書いてある。


『あぁ、よかった、これでアントの脅威も、ひとまず安心ですじゃ』


「これってさ、根本的な事態は解決してないってことだよな」


「そりゃ、まぁ、倒したのはクイーンじゃなくてナイトないしジェネラルだし、今後も来るでしょうね」


 そこで、俺たちは顔を見合わせて、しばし黙った後。


「一応、こうして推察できる情報がある以上。何も対策しないっていうのも気持ちが悪いし、ボスたちが帰ってきたらそっちの方を探ってみるか」


「そうね。巣を一つ全滅させるとかなると、逆にやりすぎな気もするけど、偵察は必要かもね」


 俺たちはそう決めて、残った時間で村を見て回ることにした。とはいえそれほど気にするところもなく、ボスとリナが帰って来て合流した。


「ふむ、確かにそうですな。これが試験だ、というのを加味してもそこに気付くかどうかで評価が変わる……などがあってもおかしくありませんな」


「……依頼されていないことをするのは、問題が無い?」


 ボスは俺と同じくこれも試験の一部である可能性があると考えたようだが、リナはそもそもの依頼に関する問題があるのではないかと判断したようだ。

 俺は、答えを求めてアンネに目を向けた。アンネは困ったような顔をしながら意見を続けた。


「はっきり言うとよくわからないわ……ただ、何度かギルドの最高責任者である賢者様に会ったことがあるけど、あの人の性格的にはどっちも正解よ。あの人がこの試験を作ったって仮定するなら、正解は『やりすぎない範囲で援助する』……ようはどれだけの状態でどれ位猶予があるのか、どれほどの戦力があるのか、っていう情報を探ってくる……ぐらいじゃないかな」


 他に判断材料もないため、俺たちはアンネの言葉に従い、アント達の状態を確認するために出かけ……。


「ん?おぉ、グォークではないか!」


 サスティナ達に出会ったのだった。

グォークも前話で言ってましたが。碌な武器持ってないグォークでさえ一撃で倒した魔物なわけで、進化して普通のオークよりも能力が上がり、範囲攻撃まである相手だと、複数体でもそりゃ勝てないよねっていう。


 というか、これ、そもそも何段階かある試験の最初の段階だからそりゃ簡単なものになるよねっていう。

 階級とは別に信用度にも関わるから、真剣にクリア目指すのは大事だけど。


 前話、リナのボスに対する呼称を「ダーリン」から「あなた」に変更しました。

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