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オーク転生 脳筋種族に転生したとかマジですか。  作者: 廉玉タマ
3章 聖都・リス・デュアリス
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ドラゴンと新メンバー

「おぉ、言っておらんかったのう。儂はジュモンジじゃよ。お主らは知らぬやも知れぬが、植物というのは普通に雌雄で交わる以外に、挿し木と言って木の枝を地面に挿すことで同じ木を増やす方法があるのじゃよ。

 儂ら世界樹の枝の場合は、親木であるこのジュモンジの大枝と緩くパスがつながったような形で別の個体として動くことになるのじゃ」


 拍手をした枝木のようなトレントは、どうやらジュモンジ老そのもの……というか記憶と最低限の能力を引きついだ存在のようだ。

 ジュモンジ老は大本の親木である世界樹から苗として産み落とされてから、その世界樹のサポートをするために、最低でも数万年という長い期間をこうして世代交代を重ねて過ごしてきたらしい。


 また、小枝のようなジュモンジ……めんどくさいから小ジュモンジと呼ぶが、この小ジュモンジが動けない方の大ジュモンジに体の一部をかざすと、その経験を受け渡せるらしい。


 最初は全ての知識を得ているわけではないらしいので、大ジュモンジにとっては小ジュモンジは自分が滅んだあとを継ぐ跡継ぎ候補であり、また動けなくなった自分の代わりに世界を見る役目で、逆は困ったときに知識を与えてくれる存在であり枝分かれした兄弟であるという認識のようだ。


 そして、取り巻きのエルフに関しては、小ジュモンジに付き従いある程度の知恵を教えるサポート的な存在であり、また、子孫を残した後は動けなくなるジュモンジ達の世話係として抜擢される候補生の役割なのだとか。


 なんだか彼らにメリットが無いような気もするが、実際にはエルフから”ユグドラシルガーディアン”という精霊種にになれる数少ない職業であり、その進化先も、主である樹木から遠くへ行けなくなるという縛りはあるものの、かなり上位の種族であること。

 世界樹の枝の守り手というのは自然を信仰するエルフの中では非常に名誉な職であり、また待遇としても何十年、何百年と活躍する冒険者のパーティメンバーとしての高給生活がほぼ約束されること。(勿論相応の仕事があることが前提ではあるが)

 そして何より、信仰対象である存在に直接仕えることができることなどから、成り手には困らないのだとか。というかそのようなエルフ側の要望から、いつかのタイミングでジュモンジを名乗る冒険者が増えるという珍事も発生したのだとか。


 と、まぁどうやら小ジュモンジは怪しい存在ではなく、今迄相対していたジュモンジの息子か兄弟のような関係と思えば間違いないようだった。そして、小ジュモンジはそんなことを説明すると、サスティナに向かって提案を始めて来た。


「と、言うわけで、じゃ。せっかくなのじゃから、サスティナ殿、もしよければ儂をパーティメンバーとして加えんかね?」


「む、どういう事じゃ?わらわとてマンティコラ級。正直な話、連携ならばともかく、単体の戦闘能力ならばそこの大木になっている方のジュモンジ様だろうが優っていたと思うのだが……」


 そう言ったサスティナに、ジュモンジが何やら耳打ちを始める。一応、成長した証だろうか?サスティナは最初不可解な顔をしていたものの、静かにその問いを聞いていた。


「ふむ、ふむ、なるほど。お主が居れば転移魔法を使用できる上に、配下のエルフを活用できる……成程のう」


 サスティナは考えるそぶりを見せ、ちらりとウリエラの方を見つめ、そして言葉を紡いだ。


「正直な話をするのならば、わらわ自身はお主について来てもらう必要はないと思っておる。わらわの翼があれば、ウリエラをどこへとも行かせてやることも出来よう。転移魔法はあれば便利じゃが、無ければないで問題などありはせん」


 そこまで言い切ると、それを見つめていたウリエラが、少し何かを呑み込むように俯いた。しかし、それを予見したかのようにサスティナが大きく小ジュモンジの方に顔を向け、ひときわ高らかに話を続ける。


「しかし!わらわは何分、偉大なるノーブルドラゴンのサスティナ。ウリエラに何かを教えようにも、宝石に触るようにしなければ手合わせすらもままならぬ。それはウリエラの育ちのためにもよくはない。

 故に、ウリエラが指示を仰ぐそこなエルフが共に旅をするというのなれば、そなたたちを仲間とすることを認めようではないか」


「ほっほっほ、よもや儂がおまけ扱いされるとは……面白いこともあったもんじゃな。それではよろしく頼むぞ、リーダー」


 こうして、俺たちは黒き茂みの森関連の俺たちと、サスティナを中心とした混成チームに分かれることが決定したのだった。


 とはいえ、昇級試験の条件が今一分かっていない現状のため、今のところは将来はそうなる、という予定だ。条件を聞いて、別パーティで受けられるようならば別れる可能性もあるし、もしかしたら、既に等級がある程度高いエルフたちは昇級試験について行くことができなくなる可能性もあるので、そこは考えるべきところだった。


 まぁ、とりあえず聖都リス・デュアリスに帰還することは確定事項だったため、早速ためしも兼ねて、小ジュモンジと茸小人の転移魔法を使用して聖都リス・デュアリスまで転移したのだった。

本日2話投稿です。

一瞬別作品の第一話が投稿されてしまいましたが、その作品は現在纏め中ですのでしばらく投稿はありません。

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