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オーク転生 脳筋種族に転生したとかマジですか。  作者: 廉玉タマ
3章 聖都・リス・デュアリス
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オークとステータス

 サスティナが人権印章を与えられ盛り上がった後、その流れでギルドにも登録したことで晴れてサスティナにも昇進試験の資格が与えられることになった。

 ただ、賢者の直弟子の推薦という形をとったほうが試験後に賢者に会える可能性が高いということで、昇進試験自体は聖都リス・デュアリスで受けることにした。


 と、そんな話をギルドマスターのダラドとしていると、アンネが声をかけて来た。


「ねぇ、グォーク、さっきリナがギルドカードを更新したんだけど、ちょっとここ見てくれない?」


 ギルドカードというのはギルドにおける身分証のことで、賢者の開発した魔法によってステータスと呼ばれる能力を数値化させたものや種族について記述されているものだ。ただ、俺自身は基準が分からなかったのでそこまで重視していなかった。

 一応ステータスの基準としての初心者の基本ステータスは表示されていたのだが、それ以降は冒険者の性質や戦い方によって大きく変わるため平均は教えてもらえなかった。恐らくオークの能力は初心者の枠を超えているはずなので、あんまり役に立たないと判断したのだ。


 そもそもギルドカードは個人情報の塊なのであまり見ないようにしていたのだが、リナもギルドカードを差し出してきたので、見てみることにした。


=====================

名前 リナ  種族 ゴブリナニンジャ LV1 冒険者階級 スライム級


身体 30 防御 40 魔法 50 抵抗 40 敏捷 400

======================


 まぁ、こんな感じなのか、という所だ。因みに、俺のギルドカードはこんな感じだ。


=====================

名前 グォーク 種族オーク  LV32 冒険者階級 スライム級


身体 40 防御 40 魔法 80 抵抗 60 敏捷 10

=====================


 こんな感じだ。レベルが大分違うのにステータスがそこまで変わらない……というか、敏捷性が高すぎて全体の数値を合計すると負けているんだが……。


「あら、よく見ると、全部私が勝ってるわね」


「!?」


 そんな言葉を聞いて、俺は思わずそちらを見た。そして、声の主であるアンネのギルドカードが目に写る。


=====================

名前 アンネ 種族 妖精  LV30 冒険者階級 スライム級


身体 120 防御120 魔法24000 抵抗 400 敏捷 40

=====================

 

「は?これ、間違いじゃないか?」


 それを聞いて、アンネがふふんと笑う。


「どう?アンネ様の偉大さが分かったかしら?っていたたたた、待って、待って、分かったからネタバレするから!」


 冗談だったのだろうが、少しイラッとしたので、こちらも無言でアンネの頭を人差し指でぐりぐりすると、すぐさま降参してアンネは解説を始めた。


 なんでもアンネ曰く、この世界においても身体能力を検査も無しに数値化する方法は解明されていないらしい。ならなぜ身体(所謂攻撃力)や防御、それに敏捷の数値があるのか、というと、これは発揮できる力そのものではなく、強化される力を現した物らしい。どういうことかというと。


「前に、レベルアップで上がる能力っていうのは常時発動型の強化魔法って話をしたわよね?ギルドカードに示される数値って、その強化率なのよ。だから、実際の戦闘能力は素の身体能力に加えてギルドカードに示されてる強化率を合わせるわけ」


 なお、数値が1上がる毎に実際は約1割上昇するらしい。つまり、俺は素の身体能力より大体5倍、一方アンネは素の身体能力と比較すると身体能力系は12倍程度、魔法能力に至っては2400倍強化されているということだ。


「って、そんなことはいいのよ!問題はリナの種族よ!」


 いや、始めに話を逸らしたのはアンネだろと思いつつも、俺はもう一度リナのギルドカードの種族の箇所を見る。


「ゴブリナニンジャって書いてあるが……これがどうしたんだ?」


「どうしたんだ、じゃないわよ!私、そんな種族知らないのよ!」


「えっ」


「えっ」


 俺が驚きの声を上げると、同じようにリナやボスからも驚愕の声が響いた。何しろこのパーティの知識担当にして魔物オタクとも言っていいレベルの知識を誇るアンネが知らないというのはかなりの希少種という証左であろうというのは想像に難くないからだ。

 と、思っていたのだが、横合いからジュモンジ老が笑いかけながら割り込んできた。


「そうか、向こうではあまりおらんのじゃったな。安心せい、ゴブリンニンジャはこのユグドラヘイム周辺ではありふれた種族じゃ……いや、流石にありふれたは言いすぎたかの。ただ、気にするほど珍しい存在ではない。それよりも希少性は高いが、ゴブリナニンジャもごく稀、と言われない程度にはありふれておる」


 それを聞いて、アンネが愕然とした顔をするが、ジュモンジ老はその様子を見て、アンネに諭した。


「うむ、お主は賢者の塔に住んでおるんじゃったな。じゃが、賢者の塔にある書物やかの塔に住む魔物が存在する全ての魔物ではない。

 特に、強力な魔境に住む魔物は、独自の姿や力を持った存在も多い。そもそも、儂のような種族”世界樹の枝”という種族もこの地以外には生まれ得ぬ種族であるしのう」


 ジュモンジ老という生き証人からの言葉により納得したらしく、何か言おうとしたアンネは横合いから現れたエルフの一人に一冊の本を受け取り、口をつぐんだ。


「せっかくじゃから、儂からこのあたり独自の魔物を纏めた図鑑を贈るとしよう。大事に使うんじゃよ」


「ありがとう、ジュモンジ様」


 行動が早すぎると思いながらも、まぁ、アンネが落ち着いたのでいいとしよう。

 アンネに続き、俺もお礼を言おうとしたのだが、そこでジュモンジ老が真剣な顔をしているのに気づいた。

 そして、ジュモンジ老は俺たちに向かって重々しい声で語り掛けていた。


「さて、グォーク殿、アンネ殿、ボス殿、リナ殿、蘇芳殿。そして、ウリエラ殿とサスティナ殿。此度の事、本当に世話になった。その活躍に際し、報酬が金銭のみでは、お主らに報いるには足りぬと感じた。

 特別な礼をしようと思うのじゃが、受け取る気はあるかの?」


 俺たちは顔を見合わせ、とりあえず話を聞こうと、ジュモンジ老に向かって歩き出したのだった。

ステータス解説


身体 体を動かすことで得られるエネルギーを示した物。魔力を体に宿し、筋肉を強化することで破壊力を増すことができるが、この強化された力を数値化したもの。そのため、切っ先の鋭い刃物で技術を持って切り捨てるような場合は今一信頼できない。なお、制御できないことを無視すれば多少は素早く動くことができる。


防御 相手の物理攻撃を防ぐために魔力を体に宿し、身体に影響を与えダメージを軽減させることができる。上位の種族や戦いの天才などになればこの魔力を攻撃される場所に意図的に集中させることにより、数値以上の防御力を得ることができる。


魔力 放つことができる魔法の威力を現した物。魔力の練度の値ともされており、体内の魔法を放つ器官の強化率を示している。なお、その器官は魔力の回復にも関わっているため、この器官が強いと他の数値も伸びやすいとされている。


抵抗 相手の魔法攻撃を防ぐために魔力を体に宿し、ダメージを軽減させることができる。ただし、あくまでも魔法攻撃全般への効果の減衰であるため、その効果は微々たるもので、完全に物理現象に変換された場合は効果が無い。


敏捷 魔力を体に宿し、思考能力と身体の速度を強化して、素早く体を動かせるようになる。抵抗や防御の値があまりに低く、敏捷の値があまりに高いと早すぎて自滅することもある。速度に任せて攻撃をぶつけることでダメージの増加も狙える。


 多分ギルドカードはこの作品ではほぼ出番のない子になると思います。(ならこの話いらんやんとか言わない)

 あと、一応思考時間延長ということで賢さ的なものも強化されますが、地頭と比べてそこまで有用でもないので表記されません。


 簡単にイメージすると、グォークは魔法の影響があんまりないステータス5倍の賢いゴリラみたいなイメージ。


 アンネちゃんの能力がクッソ高いのはその体の小ささから。基本的に体の小さい生き物程魔力でブーストする傾向が強いため、ステータス上は高い数値が出やすい。

 でも、考えれば分かると思うけど、仮にいくら体格に比して規格外の強靭さを誇るバッタの脚力を持ってたとしても、単純に12倍するだけだと人間サイズの生き物にとってはちょっと蹴られたのを自覚するくらいの衝撃しかないという。体格というか筋力量を覆すためには、12倍程度じゃ到底足りない。

 アンネちゃんの大きさはもうちょっと大きいから、普通の人くらいの力は出ると思うけど。


 なので、アンネちゃんのステータスでの壊れは魔力だけだったりする。魔力は本当に壊れ性能をしてる。

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