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オーク転生 脳筋種族に転生したとかマジですか。  作者: 廉玉タマ
3章 聖都・リス・デュアリス
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ドラゴンとモグラ討伐

SIDE サスティナ~~~~

「ハッハッハ~情けない奴らよのう。ここはひとつ、わらわが加勢して華麗にあのモグラを討伐してやらねばなるまいて」


 わらわはそう言って変化を解き、その身を龍へと変化させた。

 なにしろ、これほどの大物。今まではグォークとの約定に従い静観を決め込んでいたが、指揮者であるグォークが狙われ、まともに指示を出せずにいる現状はまさに緊急事態。これに加勢せずしていつ加勢するのかという所じゃ。


 いうてたかがモグラじゃ。大きさはそこそこじゃが、わらわの一撃を受ければひとたまりもないじゃろう。


 わらわは翼を広げると、一直線にモグラの喉元にかみついたのじゃ。


「!?」


 しかし、感じたのはぶにぶにとした固い感触。噛み千切ろうとすればどれほどの力がいるか、わらわでさえも分からぬほど強靭な皮膚であった。

 そして。


「!?なんじゃと!?」


 モグラの奴はグォークを追うのをやめ、わらわを両の手で抱き留めると、わらわの首に噛みついてきたのじゃ!


 尤も、わらわは押しも押されぬマンティコラ級、偉大なるノーブルドラゴンのサスティナであるからして、モグラごときの攻撃などでわらわの鱗を貫くことはできぬが、これは非常にイラつくものでもあった。


「この害獣風情が!我がブレスにて滅びるがよい!」


 わらわは行きを大きく吸い込み、わらわの首に噛みついているモグラに息を吹きかけようとして、グォークの奴がわらわに迫っているのに気が付いたのじゃ。


「馬鹿野郎!止めろ!」


 流石にグォークと言えどもわらわの炎を受ければひとたまりも無かろう。慌ててわらわは口を上に向け、炎を上空に放った。

 炎は上空を嘗め、空気を焦がした。そして、その一撃は、わらわの体にも変化をもたらす。一時的に息を吐き尽くしたわらわは、当然、一度息を吸い込まなければならぬ。しかも、プレスを吐くときとは異なり、わらわの意志と関係なく隙を見せることとなる。


 そして、憎らしいことにモグラはその隙を逃すことなく我の首筋に噛みつく力を強めた。


「……グァ!?」


 おのれ……おのれおのれおのれ!


「この、モグラ風情が!!私に傷をつけたな!許さんぞ!!」


「落ち着け、サスティナ!」


 激昂するわらわの右頬に衝撃が走り、そちらを見るとグォークが手を振りぬいた姿でわらわの肩口に乗っていた。


「グォーク、貴様!」


「こんなことで激昂するのがえらい竜なのか?サスティナ!敵を間違えるな!だが、ブレスはナシだ!えらい竜様なら余裕だよな?」


 グォークの言葉を聞き、我は思わず後ろを振り向いた。そこには、不安そうな顔をしたウリエラの姿があった。


「……ふん、安い挑発じゃが、良かろう、我が偉大さをとくと見るがよい!」


 わらわは噛みついたモグラをわらわからもつかみ返すと、背中に力を込めた。そして、翼を羽ばたかせる。


「グググ……ウォォォォォォ!!」


 そうして、わらわが力を込めて羽ばたき続け、ゆっくりと巨大モグラを上空へと運んでゆく。


 モグラめも、まさか上空に連れていかれるとは思わなんだらしい。噛みついていた口も離し、慌てて体をよじっている。


「ふふふ……こうしてみると、貴様も哀れよのう」


 そうして余裕をもつと、周囲の様子も少し確認することができた。どうやらジュモンジの奴が周囲に枝を這わせているようじゃな。そして、それぞれ等間隔くらいにエルフの姿も見える。


”なるほど、グォークがブレスを止めたのはこのためか。全く、ジュモンジももう少し戦いの邪魔にならん補助をしてくれればよいものを”


 心の中でそう愚痴りつつ、しかしそれを表に出すことは無い。そして、地面を確認し、仲間がいない場所を目指してモグラを叩き付ける。


「GYAAAAA!?」


 驚きの悲鳴を上げるモグラを狙い、わらわは空高く駆け……そして、次の瞬間、膨大な氷がモグラに襲い掛かっておった。

 それと同時に、アンネの魔法がモグラの鼻先に直撃する。


 グラリと傾くモグラを見て、わらわは高高度からの突撃を狙う。

 羽根をたたみ、重力に任せ、更に魔法で風を操りその推進力を増す。


 そして、衝突まであと少し、といった所でアンネからの念話が響いた。


”鼻を狙って!”


 わらわはその一言を聞き、反射的に軌道を修正し、モグラの鼻先を引きちぎる。

 わらわが鼻先を引きちぎり、急浮上して離脱した直後に、更にグォークの突き刺した剣から炎が溢れ、モグラを焼いた。

 それでも地面に潜ろうとしたモグラであったが、アンネの魔法、蘇芳の棍棒、そして、リナとウリエラの弓を受け、とうとう、巨大なモグラはその巨体を地面に横たえたのじゃった。


 モグラが動かなくなり、既に死んでいることを確認後、一息ついて竜から人の姿へと変化する。


「ふぅ、終わったのう」


「お師匠様!」


 すると、ウリエラがわらわに抱き付いてきたのじゃ。


「お師匠様。ぼく、ぼく……お師匠様がやられちゃうかと思って」


「ふん、何を言うとるのじゃ。あのモグラ風情にわらわがやられるわけがないじゃろう?グォーク達がおらねば、わらわのブレスで一発じゃ、一発」


 そう言ったが、ウリエラはわらわから離れずに涙を流しておった。その様子を見て、思わずわらわはウリエラの頭をなでるのじゃった。



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