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オーク転生 脳筋種族に転生したとかマジですか。  作者: 廉玉タマ
3章 聖都・リス・デュアリス
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オークと巨大モグラ

 俺たちが接近している中、巨大モグラは咆哮を一通りすると、地面を掘っていたその爪を俺たちに向かって振り下ろした。


「ボス!横に流せ!アンネは動きを鈍らせる奴を頼む!」


 俺は巨大モグラに近づき剣を振りかぶりながら声をあげる。上空を見上げたボスは次の瞬間、力を込めて剣を振りぬいた。

 巨大モグラの爪が届く前に振り切られた剣は、振りかぶったボスの意志を受けて爆発的に氷を形成する。そして、まるで斜めに立てかけた棒のような形に形成された。


 ボスは次の瞬間、その巨大な氷にブチ当てるように再び斬撃を放った。


 強力な打突音、本来ならオークの膂力を持ったとしても押しつぶされていたかもしれない一撃は、斜めになった氷の柱という、力を誘導する物があったからこそ、そのまま滑り落ちて巨大な身体ごと傾いで地面に激突する。


 それを追撃するのが蘇芳とリナだ。額に向かって手に持った棍を振り下ろす蘇芳と、新しく習得した弓の技術で目を狙うリナの攻撃は、しかし大した影響もなくいなされる。


「GRUA!?」


 巨大モグラはぐるりと体を回転させ、俺たちの居ない場所にその爪を突き立てる。


「まずい!潜られるぞ!」


 俺は、慌てて剣を振りかぶる。精霊王の剣から迸った炎が巨大モグラの掘ろうとしている地面を焦がし、巨大モグラの顔を地面から引きはがす。


 そして、怒りの叫びをあげる巨大モグラが、俺に向かって爪を振りかぶる。しかし、次の瞬間、アンネの放った二発目の水球が相手の鼻先に命中し、ひっくり返った。見て見れば、その動きが非常に鈍っているように感じる。


「水球に混ぜて麻痺も混ぜたわ!効いてるみたいだから、今の内よ!」


 俺たちは巨大モグラの元に駆け寄り、己の武器を叩き付ける。


「っつ!?硬い!?」


 右手を狙った俺の剣だったが、巨大モグラには大して効かず、炎でさえその分厚い毛皮の表面を滑るだけだった。

 

 更に、武器の性能が足りていないと思われる蘇芳やリナの攻撃だけでなく、ボスの攻撃までも、大して効いている様子はなく、追加で受けた氷での攻撃も、パリパリと体に付いた氷をふるい落としつつ、何事もなかったかのように起き上がって来た。


「GRUAAAAA!?」


「一旦離脱だ!効いてないぞ!」


 俺はそう声をかけ、巨大モグラと距離を取る。モグラの方も、地面に逃げるのを妨害したことが効いているのか、地面に逃げることもなく、こちらを威嚇している。


「アンネ、麻痺は行けるか?」


「勿論よ!」


 そう言って、アンネはもう一度水球を飛ばす。しかし、伸び上がって胸のあたりに当たったそれは、大した影響を与えなかった。


 巨大モグラは、今度こそ地中に潜りこんでしまう。


「さっき、あいつ麻痺効いてたよな?」


 俺は頭の中で、巨大モグラの特性を考える。


「アンネ!麻痺以外をしてみてくれ!もしかしたら耐性的なものをすぐに得るタイプの奴かもしれない」


「それって一度効いたのは効かないかもってこと?それって結構きついわよ!」


 そう言いつつも、アンネは次の呪文の準備をする。


 その間も、俺たちは意識を集中させ、地面を見据える。


「!? 逃げろ!」


 そう言うと同時に、俺は地面に剣を突き立てた。


「GRAAAAA!?」


 俺を跳ね上げつつ飛び上がった巨大モグラに、無理やり剣を合わせて目に突き立てる。何とか突きつけた剣は狙い通り巨大モグラの眼球に突き刺さる。


「今だ!」


 驚いて目を抑える巨大モグラの隙を狙って、大きく跳躍したボスが巨大モグラの反対の目を貫いた。そして、更に間髪入れずにアンネの睡眠能力のある魔法が放たれる。


 両目を失ったならいくら攻撃が通りづらかろうと、逃がさなければ削り切れる。

 そう思った刹那、俺に向かって巨大な爪が襲い掛かった。


「!?……くっ!」


 強力な攻撃を受け、何とか剣で爪をいなす。しかし、それだけで終わらない。どうやら、俺を最初に排除することにしたようだ。


「これは……まずい!俺は回避に専念する!くっ……!?」


 それ以上考えることすらできず、俺は回避に専念するのだった。


SIDE ボス~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「主殿!?」


 敵に狙われ続ける主殿の姿に、我は今までにないほどの焦りを感じておった。

 主殿はいま、炎の剣で何とか敵の巨体をイナしておられる。今のありようならもうしばらくならばなんとかなるであろうが……。


 そもそも、敵の攻撃を引き付けるのは、我の役目のはずなのだ。それが出来ていないのは、我の実力不足の証でもあるのだ。焦らぬはずがない。


 ……しかし。我は主殿の元へ向かわず、アンネ殿の所に向かったのだった。


「アンネ殿!知恵をお借りしたい!」


「ボス!……聞きたいことは分かるけど、あんまり力になれそうにないわ。あれだけ硬いなら、あいつはモグラ系の魔物の中でも最強のドラゴモールであることには間違いないけど、私の知る限り、倒すのは非常に困難であることくらいしか分かってないのよ」


 それを聞いて、無理を承知で主殿に加勢しようかと思った我に、待ったをかける我が妻の声が戦場に響いた。


「みんな、私、分かった、かも」


 そうして移動能力を補うためか、蘇芳に抱えられた我が妻が具体的なことを話し始めたのであった。

 前回のマンティコアと比べても強いように感じますが、相性の問題も強いです。

 前回のマンティコアはどちらかというと技巧派だったので、麻痺や毒を駆使した搦め手と飛行アドバンテージを活用するタイプの魔物でした。勿論ボスキャラらしく体力も膨大ですし、知能も非常に高いです。


 一方今回のモグラは単純な物理、防御特化で地面に潜るという特殊行動をしてくるものの、毒等の特殊行動はしないという特徴があり、単純な硬さとしてはマンティコアよりもかなり硬いですが、体力と合わせると合計の耐久度的にはマンティコアにかなり劣っています。

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