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オーク転生 脳筋種族に転生したとかマジですか。  作者: 廉玉タマ
3章 聖都・リス・デュアリス
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オークと連携試験

 連携を意識してから数日。ここら辺は賢い魔物も増えて来るのか、ジュモンジ老の姿を見た途端に踵を返して逃げていく魔物も増えて来たのだが、それでも一日に2~3度の戦闘を続けた結果、何とか形になって来ていた。

 そして、それによって行動にも少し変化がみられてきている。

 まずはボスだが、彼は正式な剣技を修めたことで鋭くなった剣技を、氷の剣で飛ばす飛剣を主体にするスタイルに変化した。まぁ、あんまり動き回ると仲間に攻撃が向った時にカバーできないので、これは割と大事な変化だった。

 実際、何度かウリエラやリナに向かった攻撃を身を挺して庇う場面もあり(さりげなくジュモンジ老も枝などでガードできるようにしてくれていた)確実な成長が見られていたと言えるだろう。


 次にリナだが、彼女はより一層ジュモンジ老の仲間のエルフたちに話を聞くようになり、また、常に周囲を注意するようになっていた。あと何故か倒した蝙蝠の魔物の皮を自分でなめして黒い服を鋭意制作していた。現在まだまだ製作途中ではあるが、現状顔を覆う面貌が出来つつある……、彼女は一体どこを目指しているのだろうか。


 更にアンネ。アンネは俺と一番長く戦ってきた相方だけあって、そこまで大きな変化というのはない。ただ、ボスが守ることに専念したおかげでより呪文の長いものを好んで使うようになったようだ。そして、攻撃にさらされる危険が減ったおかげで、リナやウリエラに補助の魔法を更にしっかりかけられるようになっていた。俺たちオークには効果が無いのが悲しいことではあるが、そのおかげでウリエラ達も何とか魔物との戦闘に入り込めるようになってきている。



 そのウリエラは、日々の鍛錬と周囲からの援助によって、何とか一端の冒険者として歩き始めたところだ。戦闘能力は現状微々たるものとはいえ、旅を始めた当初は、ラビットにも苦戦するようなありさまだったことを考えれば、オーク級の魔物の攻撃をいなすことができるようになっている現状はこのパーティの中でも一番の成長株と言えるかもしれない。


 なおその師匠であるサスティナに関しては、定位置が馬車の中から御者台に変わったことと、ちょっとうずうずした雰囲気を醸し出している以外は特に変化はない。索敵魔法以外は使っていない秘密兵器扱いで戦闘に参加していないため当たり前といえば当たり前である。


 そして、俺、なのだが、正直自分自身ではよくわからない。流石にサスティナに比べれば少しは成長してると思うのだが……。


「何言ってんのよ。あんたが一番変わったわよ」


「そうであるな。戦いのときの指示が明確になったように思いますぞ」


「うむ、役割が決まった分、指示が明確になった一方で、型に嵌った役割での指示ではカバーできん部分ははっきりと指示を出さんと行けなくなったようじゃからな。それで指示の仕方が変わったのじゃろうて」


 アンネとボスに言われ、ジュモンジ老に太鼓判を押されてしまった。確かに振り返ってみれば、今まで葉指示出しといっても事前に立てた作戦の合図だったり、退却の指示だったりが主だったが、各々の役割が明確になった分、役割外のことをするように指示したり、どう動けばよいかを伝えたりして、指示が明確になったかもしれない。まぁ、そうは言っても指示を出すよりも炎の剣で敵と切り結んでいる時間の方が長いのだが。


「ふむ……」


 そんなことを考えていると、ジュモンジ老が考えるように遠くを見つめた。


「そうじゃな、今まで主らはよくやっておる。その、総まとめとしゃれ込むのはどうじゃな?」


「それって、どういう……!?」


「下から来ます!!」


 リナの言葉が響くと同時に、地面が激しく鳴動し、俺たちの前方に土が隆起し始めた。


「偶然とはいえ、これほどの大物が現れるとはのう。敵は巨大モグラ(ドラゴモール)お主らの連携で、見事打ち倒して見せよ!」


 ジュモンジ老のその言葉と、巨大モグラと呼ばれた魔物の奇声によって、戦いの火ぶたは切られたのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~^

「アンネ!何か情報はあるか!?」


「あいつは……ドラゴモールって言ってたわよね?階級は少なくともシーサーペント級よりは上だったはずよ!ただ、似たような魔物もいっぱいいて、どれだったかちょっと自信が無いわね。とりあえず総じて土属性の魔法を得意にしてるし、地面に潜られると厄介よ!」


 そして、一息ついてから更に叫び声を上げる。


「とりあえずモグラ系ですることは3つ!地面に潜らせない!土魔法を使わせない!そして……」


 そうして一瞬にして水の魔法を生み出した。


「水責めよ!!」


 現在背後で幼女の姿となっているサスティナが微妙な顔をする中、あの時には遠く及ばないものの、それでも黒き茂みの森の時に放った水の球に比べれば格段に大きい水球が、巨大モグラの鼻先に直撃する。


「GAAAAAAAAA」


 モグラとは思えない野太い声で放たれた咆哮と共に、俺たちは巨大モグラに向かって突撃を開始する。

 戦闘、開始である。

モグラ系の魔物纏め


ドラゴモール  シーサーペント級~ヘルシックル級

 竜に憧れたモグラの魔物が進化したとされる種族。モグラのくせにブレスとかも吐ける器用な魔物。動きも素早く、耐性も高いため、まともに戦うと厄介この上ない。また、個体による能力差も激しく、進化後に仕える魔法等で等級が個別に決まるが大抵はデスシックル級に分類される。

 今回現れたドラゴモールは文句なしのデスシックル級。


キングモール シーサーペント級

 魔物モグラたちの王様。地面を掘る力は強く、その身体能力は目を見張るものがある。また、地下帝国を作り戦力を貯めていることも特徴的。昔、魔物モグラの皮の特産地の地下にキングモールを中心とした大都市ができていたという笑えない話も残っている。


ジャイアントモール オーガ級

 大きなモグラ。動きは鈍重で耐久は高い。地面から飛び出してくるのが脅威なので、穴を掘って潜ろうとした場合は逃がさないように気を付けたい。


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