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オーク転生 脳筋種族に転生したとかマジですか。  作者: 廉玉タマ
3章 聖都・リス・デュアリス
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オークとエル高原

 エルフの弓兵の弓が迸り、巨大なイノシシの眉間に突き刺さる……直前でイノシシは道をそれてなおも突進を継続する。と思えば、その直後に響いた轟音と共に、イノシシは大地魔法で開けられた穴に落ちた。そして、最後にジュモンジ老の蔓がイノシシに殺到した。


「改めてみたが、やっぱりすごいな」


「ふぉっふぉっふぉ。そうじゃろう?」


 俺たちはジュモンジ老と共にエル高原を抜け、高原の奥地へと進んでいた。エル高原は観光地にもなっている。だが、リス・デュアリス側から登る最初の高地を超えると、そこからは魔物がグッと強くなるようだ。

 それまでは俺たちが出て来る魔物達を倒していたのだが、ジュモンジ老の提案で、一度だけ暫定シーサーペント級の実力を見ることになったのだ。


「リシ―、貴方すごいじゃない!さっきのどうしたのよ!」


「大したことはしていない。土魔法は、ほら、こうして……」


 アンネはリシ―と呼ばれる魔導師エルフに魔術について談義していた。更にリナは陰でいろいろとやっていたらしいエルフのファウリーさんに話を聞きに行っていたし、ウリエラはエルフたちをキョロキョロ見ていた。

 なお、リナを見ていたボスと、俺を見ていた蘇芳と、全部めんどくさそうな冷めた目で見てたサスティナは平常運転だ。


 とはいえ、ジュモンジ老のパーティの動きは俺たちの参考になる……というか、足りないところを浮き彫りにしていた。

 いや、まぁ、浮き彫り以前に気がついてはいたのだが、治すに治せなかったというべきか。


 まぁ、要はコンビネーション的なあれである。俺、ボス、アンネに関しては長時間一緒に戦闘を共にしているので、ある程度の連携はとれているのだが、基本前衛である俺たち2人に後衛と言いながら俺の肩で魔法をぶっ放す移動砲台のアンネ。これに実力的には低めの蘇芳とリナ、実質戦力外のウリエラと明らかな過剰戦力のサスティナという凸凹パーティのせいで全員での連携というのをとったことが無いのだ。なんとなれば、黒き茂みの森組の5人でさえも連携したことはほぼない。


 現在はそれでも問題ないがこれはシーサーペント級依頼だ。いつ、どこで総力を決して戦わなければならないか分からない、なので、その次の休憩時間に面倒くさがるサスティナも説得しつつ、俺たちでもう一度作戦会議をすることにした。


「一応、この依頼はシーサーペント級だ。マンティコアクラスの魔物は出てこないと思うが、それより弱くても、大量に襲い掛かってきたりする可能性もある。少し連携について決めたいと思う」


「だけどグォーク、それって結構難しくないかしら。それに、あんまり役割を決めすぎると柔軟性に欠けるわよ?」


「そもそも、作戦を考えるだけ無駄じゃ、いざとなればわらわが出る。それで万事解決じゃ」


 そう言ってからからと笑うサスティナを一旦置いておいて、俺はアンネ達に頷いた。


「確かにガチガチに決めるのは無理だが、それでも役割を決めるのは大事だと思う。例えば、今は俺が基本的に指示を出しているが、俺がいないタイミングで襲われたときにどうするかや、初動でどう動くかっていうのは結構重要だと思うんだ」


 それを聞いて、アンネは頷いた。


「確かに……もしグォークがいなくなったら、結構大変そうよね」


 そう言って蘇芳とボス、それとちらりとリナも見つめてため息を吐く。


「とりあえずそれぞれ何となくは分かっているとは思うが、自分の大まかな実力や得意なこと、それに、したい役割なんかを言い合っていこう。それからそれぞれに大まかな役割を決めるぞ。

 因みに俺は体力と再生力に自信があるし……まぁ、今まで戦闘の指揮をしてきたのも俺だ。少なくとも素人よりは指揮能力はあると思っている」


 俺がそう締めくくると、今度はボスが前に出た。


「主殿が先陣を切ったのですから、次は我が続きましょう。我はオークの上位種、オークナイト。主殿の忠実な部下にして、主君の盾となる者。その防御力と耐久力には自信がありますぞ。少なくとも、耐久力においてはサスティナ様以外には負けないと自負いたしましょう。それに、剣も鍛錬を怠ったことは有りませぬ。受け持つとすれば、敵を引き付け、姉御殿やサスティナ殿が攻撃を放つまで敵を引き付ける役となりましょうかな」


「私は、ただのゴブリナだから、力もあんまり無いし、あんまり早くもないけど、手先が器用だから、できたら罠とかを作ったりできる、かな?一応、ゴブリン達を指揮してたこともあるから、戦いの様子とかを見ながら指示は……だせる、かも」


 リナの話を聞いて、蘇芳も自信満々に声を出す。


「ワタシ、チカラ、アタマつよい。だから、グォーク、チカクいる」


「いやいや、それ役割になってないから」


 俺への突っ込みも空しく、蘇芳は何なのか分かっていない様子だ。そんな様子に呆れつつ、アンネもふわふわと浮いて注目を集める。


「さて、私だけど、妖精種だから物理攻撃的には期待しないでね。物理攻撃だけならせいぜい小さい蜘蛛の魔物を何とか追い払えるかってところね。ただ、小さいから攻撃は当たりにくいし、何かに隠れることもできる。呪文については今まで見てもらった通り。補助に徹するならかなりのものを自負してるわ。

 ただ、私自身の殲滅力と体力はないから、なるべく後方で魔法支援をしていく動きが最適ね。必要になったら誰かに便乗して移動するわ」


「これ、本当に意味があるのかのう。お主らが束になるよりは、わらわが一度出れば解決だと思うのじゃが……まぁ、よい。わらわは高貴なる竜じゃからな。力も賢さもスピードも、お主ら以上じゃ……そうじゃな、もしもお主らに負けるところがあるとするなら、連携じゃろうか。ま、しなくても良い物を欠点としてあげる必要性は感じんがな」


 つまらなそうに言うサスティナに、内心俺も少し同意する。何しろ、基本スペックがサスティナだけ突出しているため、連携に組み込もうとするとサスティナだけ、或いは、役割の関わらないアンネと二人だけでいいじゃん、という風になるのだ。

 まぁ、サスティナには引き続き緊急事態に備えてもらうことに決めつつ、話し始めたウリエラの方を見る。


「お師匠様が居れば……いえ、皆さんと比べてもボクは役立たずだと思います。だけど、いつか皆さんと一緒に肩を並べて戦えるようになればと思っています」


「今は力を蓄える時じゃ。お主は後ろでわらわたちの戦いを見て、実戦で慣らしていくのじゃ」


「はい!師匠!」


 そんなサスティナとウリエラの会話を聞き、更に暫く話し合った結果、陣形を組みなおして再び護衛を再開するのだった。

 今のところ連携で言うと、アンネとボスとグォークはほぼ阿吽の呼吸的な感じ、リナはそれに合わせようとしてくれていて、蘇芳はとにかくグォークと関わりたい。

 ウリエラはまだ戦力外、サスティナは(参加すると大概ワンパンという意味で)ある意味戦力外の戦力外師弟コンビ。

 因みに、現在別行動のアリシアちゃんはリナちゃんよりは連携できてるけど、そもそもボスと役割被るので連携が有効に働く場面が少なかったり。

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