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オーク転生 脳筋種族に転生したとかマジですか。  作者: 廉玉タマ
3章 聖都・リス・デュアリス
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オークと指名依頼

「実は、ゆえあって儂は故郷に一度戻らんといかん。その護衛依頼を受けてほしいのじゃ、依頼難度はシーサーペント級。信用と言う意味では、これ以上ないと思えるがいかがか」


「……あぁー。そう言う手か。そりゃ、私らは構わないが、ジュモンジ老としては良いのか?」


「ジュモンジ様もいいから言っている。当たり前のことを聞くな、ファンレイ」


 テュフラをジト目で見たファンレイはムッとした顔をするが、その言葉が尤もだと思ったのか反論はしなかった。


「ま、そう言う事じゃ。もし受けてくれるというのなら、指名依頼として出しておくから、受注してくれ」


 そう言ってジュモンジ老はそのまま立ち去って行った。

 その後、ファンレイから説明を受けたところ、どうやら今回のやり方は貴族などが稀に行うやり方らしい。階級の高い冒険者の指名依頼という体で、実際の戦闘などは依頼主が行う。まぁ、実際にはジュモンジ老に任せきりというわけにはいかないだろうが、そう言う風なやり方もあるということだ。


 まぁ、それをすると実績と実力の乖離が起こるので、一度その疑いのある依頼を受ける、程度ならまだしも、そんな依頼ばかりの冒険者は階級とは別の判断材料である信頼度が著しく下がるらしい。だから、上位冒険者という箔だけ欲しい貴族連中が主に行う手なのだが、今回に関しては実力自体は明らかなので特別に目こぼししてくれるらしい。


 というか、俺たちの昇進試験に難色を示していたテュフラでさえ、俺たちの能力と階級の差には問題を感じていたらしく半ば不正まがいのその方法に関しても見て見ぬふりをするようだ。……いや、早々に箒の上で寝る態勢に入ったのを見ると、不正云々というよりか、ただ寝たいだけかもしれないが。


「と、まぁそう言うわけだから、この依頼を受けてくれるんなら、昇級試験を受けることはできるだろうさ。あぁ、それとこれを渡しておくよ」


 そう言うと、ファンレイは微笑んで一枚の紙を取り出した。


「これは?」


「これは、そこのドラゴンちゃんの調査引継ぎ書だよ。もう一回こんな騒ぎになっても大変だしね。身辺調査はあともうちょっとかかるけど、ジュモンジ様の故郷、ユグドラヘイムはここから半月以上かかるからな。その頃には身辺調査も終わる。

 あのバカ忍者も付けておくから、問題なければ向こうで冒険者登録ができるはずだよ。そうすれば、まぁグレーゾーンではあるけど、依頼を受けた冒険者ってことでねじ込めるはずだから」


「おぉ!それは感謝するぞ!」


 そう言えばサスティナは俺たちよりも更に後にならないと冒険者にはなれないのか。まぁ、それが解決できるならこの依頼を受けない理由は……いや、一つあるか。


「そうだな。俺は、少し保留したいんだが、アンネ達はどうだ?」


「保留?何でよ」


「いや、だって、ジュモンジ老って、オークキングの時のトレントだろ?理性的に話しかけてくれたし、敵意が無いこと自体は疑ってはないんだが、俺たちに便宜を図る必要が思いつかないのが不気味だと思って」


 俺の言葉に、その時その場所にいたアンネとボスが確かにと頭を捻った。


「あ、いや、でも、ジュモンジ様だったら……」


「聖木様から伝言だ」


「!?」


 アンネの言葉を遮るように、女のエルフが俺たちに割り込んできた。よく見ると見覚えがある気がする。恐らく、以前オークキングの討伐隊にいたエルフの一人だろう。


「聖木様はそこの豚に感謝している。あの……あの、淫乱魔王と関わりを持てたことを、本当に、本当に感謝しているのだ……だから、気にせずに依頼を受けると良い……以上だ」


 途中でギリギリと歯ぎしりの音が聞こえるほど歯を食いしばり、苦虫を噛み潰したような顔をしつつ言葉を吐き捨てて、女エルフは去って行った。


「……ジュモンジ老の意図は分かったが、それとは別のところで不安が噴出してるんだが」


 これ、ジュモンジ老に付き従っているであろうエルフたちは、ジュモンジ老をリリス様に接触させるきっかけになった張本人である俺を無き者にしようとしたりしないよな?すごく不安なんだが。


 そんな不安を抱きつつも、これ以上の好条件はそうそうないということも事実なので、依頼を受けることだけは決め、向かう先であるユグドラヘイムまでの道行を調査した。


 冒険者ギルドで確認したところ、ユグドラヘイムは北方にあるエル高原を越え、更にニルス平原、ディラー湖沼、ヘルドレッド火山等いろいろと進んで到着する場所で、一応リス・デュアリス神聖王国とは友好国となっている場所のようだ。


 そして、肝心の危険度だが、確かに危険なところはあるそうで、エル高原は一般人でも登れるほどの安全地帯ではあるが、ニルス平原はオーク級、ヘルドレッド火山はオーガ級の魔物の遭遇情報があり、ディラー湖沼では、シーサーペント級の魔物であるポイズンレイクサーペントが出現するらしい。


 情報は得たものの、ジュモンジ老のパーティとの連携が取れないと危険だとも感じたため、俺たちはその足で、ジュモンジ老の滞在しているという宿屋に足を運んだのだった。

 エルフの女の子達はジュモンジ老を信仰対象レベルで崇拝しています。そして、リリスウェルナにも敬意くらいは持っていますが、正直信仰はしてないです。というか、あの淫乱魔王をメインで信仰してたら邪教と認定されます。

 各地の魔王はそれぞれその強さから信仰されている者も多いですが、その思想は実際に生きているので、本人の口から語られるわけで……。要はリリスウェルナ様の教義って、どっかのア○シズ教の恋愛の自由にアンデットと悪魔っ子追加したようなものを第一教義に据えてるようなもんですから、そりゃ邪教認定されるわっていう。


 黒薔薇教 概要 とりあえずS○Xしとけばオールハッピー♪命を育て、育む最初の営みであるS○Xを否定するのは馬鹿げてる。どんな生物でも愛し合えば獣○だろうが蟲○だろうが魔物○だろうがオールオッケー!何だったらお互いの愛の結晶を産まれるようにしてあげてもいいよ。


 精霊教 概要 自然を愛し、自然から自分を知れ。すべては自然の延長であり、そこには地震すら含まれる。それ故に自然を守り、自然に尽くし、そして、自然と共に有れ。


 妖精教 概要 物事とは探求である。世界とは知である。だからこそ、もし世界を生きるのならば、我々は知らなければならない。深き深き闇を照らすのは、手元にある知識というろうそくだけなのだから。だからこそ、知の先にある死に恐れるな。繋ぎ、つなぎ、つなぐ。他者の生から学び、他者の死から学べるのが、我々なのだから。

 妖精のように知を求め、妖精のように知を修め、妖精のように死ぬ。それが我々である。

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