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オーク転生 脳筋種族に転生したとかマジですか。  作者: 廉玉タマ
3章 聖都・リス・デュアリス
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オークと昇進試験?

「だから、そこをどうにかならないのかい?」


「でも、それは規則だから、駄目」


 王都に帰ってすぐ、鍛冶屋に立ち寄って人権印章を手に入れ、その足で冒険者ギルドに向かった俺たちはファンレイとテュフラが言い合っている場面に遭遇した。


「……何かあったんですか?」


 俺がそう声をかけると、ファンレイが気まずそうに俺たちに向き直った。


「あ~グォーク達かおかえり……その。君たちにはミジナの森で会った時に、昇進試験をすぐに受けられそうって言っただろう?言ったんだが、それが、少し厄介なことになっててね」


「厄介じゃない、当たり前の事。この駄乳騎士」


「ちょ、何言いだすんだ!」


 二人が俺たちそっちのけで言い合いをしそうになっていたので聞いてみると、話は単純なことだった。

 かいつまめば、マンティコア討伐時の俺たちの扱いは従魔であり、従魔時代の実績は俺たちが冒険者として登録しても引き継がれないという事。つまり、昇進試験を受けられるのはあらかじめ冒険者登録をしていたアンネとリナ、ウリエラだけであるということだ。


 まぁ、厳密に言えば従魔時代の功績が評価されることもあるらしいが、それは、明らかに従魔が依頼中の行動によってその倫理観や順法意識が従魔個人によるものであると示した場合、例えば単独行動した従魔が本能に任せるのではなく、依頼主や主人の命令や命を尊重して依頼の重要な役割をこなした、といった場合であり、今回は認められなかったようだ。


「いや~私としてはすぐに昇格させてあげたいんだけど、この頭でっかちがね」


「当然。記録を見たけど、塔の攻略もマンティコアとの戦闘も、戦闘の力とバトルセンスが一定の値に達していることしか証明していない。従魔から冒険者になったとしても、その間の判断の最終決定権は従魔契約者が最終決定権を持つ……とされている。


 そして、例外規定としての従魔と主人が分断されたときの判断において、明らかに命令されていないと判断できる場合があった時のみ従魔の判断として人物の信用評価として換算しても良い、というケースにも当てはまらない。

 要するに、実力的な課題はクリアできても、人格的な課題はクリアできていない」


 テュフラがそんな長文を呟き、ファンレイに向き合う。


「だから、お前が安請け合いしたのが悪い。このおっぱいお化け」


「おっぱ……!?」


 そんなやり取りを聞いて、俺は彼女たちに声をかけた。


「事情は分かった。だが、それなら俺たちが試験を受けるためにはどうしたらいい?それと、昇進試験を受けたら賢者に会えるかも教えてほしい」


 それを聞いて、ファンレイとテュフラは顔を見合わせ、テュフラが口を開いた。


「実力的な見定めは既に終わっている。冒険者としての実績……具体的に言うと、10件以上のゴブリン級依頼の達成か、指名依頼なんかで依頼主に十分な高評価を得ることが出来れば、昇進試験を実施することができる」


「それと、さっきのテュフラの説明と被るが、昇進試験で賢者に会おうとするなら、最低でも3階級は飛び級しないと難しいな。まぁ、幸い君たちが圧倒したのはマンティコアだ。試験内容が散々だったとしても、オーガ級よりも等級が低いってことは無いと思うから、安心するといいよ。

 あぁ、ただし、試験終了後に賢者様に会いたいという旨を試験官に伝えないと、終わっても取次が無いから気を付けると良い」


 そう言って朗らかに笑うファンレイとそれをジト目で見るテュフラ。それを横目に、俺たちはお互いに目くばせをしあった。


「まず、俺たちができるのは、アンネ、リナ、ウリエラちゃんを先に昇進試験に行かせるって手だが……」


「ウリエラちゃんだけならともかく、私たちにとっては悪手よね。既に昇進した冒険者が昇進試験について行けるとは思えないし、そうなると賢者に会う時に私たちが分断されちゃうわ」


「……それに、失礼ながら我らが従魔から通常の冒険者になった場合、姉御殿や我が妻に実力と実際の階級に乖離があると難癖をつけられる可能性がありますな。こう言っては申し訳ないが、姉御殿も我が妻も、単純な物理攻撃力という意味で言えば、我らに大分劣りますからな」


「それを言うなら、ボクも急にオーク級やオーガ級にされたら困りますよ!師匠と一緒ならともかく、一人じゃ荷が重すぎます!!」


 アンネ、ボス、ウリエラがそれぞれ意見を言い、それらが全て否定的な意見だったので、すっぱりとこの案は却下し、より良い案が無いか頭を捻った。


「うーん、正直、地道に依頼をこなせばすぐに達成できるものではあるし、地道にこなしていってもいいが……俺たち、ゴブリン級依頼は控えるようにってことで、受付の人に言われてあの依頼受けてるからな……」


 うーんと頭を悩ませていると、にわかに照明が暗くなったように感じ、背後からしゃがれた声が聞こえて来た。


「ならば、儂も一枚かませてくれんかの?」


 思わず声の方に振り返ると、そこには、以前黒き茂みの森で出会った巨木、ジュモンジ老の姿があったのだった。

 一応完全に独立で冒険者として活動できるような活躍をしてれば昇進試験受けることもできますが、あんまりそんなことは起きません。

 そもそも、従魔から冒険者登録することなんてめったにありませんし。

 進化によって十分な知能を得て従魔登録することはあるけれど、極論従魔登録してれば冒険に同行すること自体は出来るわけだし。

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