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オーク転生 脳筋種族に転生したとかマジですか。  作者: 廉玉タマ
3章 聖都・リス・デュアリス
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オークとオーク級依頼

 ゴブリンの討伐依頼を達成して3日後、他にも雑用的な仕事をするなどして、俺たちは過ごしていた。


「……お前ら、もうちょっと上の依頼受けないか?」


 そして、いつもの受付でそんなことを言われたのだった。


「……いや、それは……」


 俺が難色を示すと、受付の男はガリガリと頭を掻いて、言葉を続ける。


「こういう事を一般の冒険者であるお前らに言うのはあんまりよくないのは分かってるんだが……実のところ他の新人冒険者が怯えていてな。上の方からも、早いところ昇級させろってうるさいんだよ。とりあえず、ギルド員の権限……つーか、お前らの実力を加味して、軽い試験ってことでオーク級……つまるところお前たち……一応建前上は従魔か。

 従魔のお前たちと同じ階級の依頼を見繕うから、それを受けてくれ。問題の無いようだったら、そこまでは昇級できるように上に掛け合ってやる……というかそういう風にさせてくれ」


 その言葉に、俺たちは顔を見合わせたが、結局は首を縦に振った。どちらにしろ、依頼を失敗しなければ俺たちに悪いことは無いし、一応建前として告げていた簡単な依頼で冒険者の常識を知ってから依頼の難易度をあげるというのも、この3日で完ぺきとは全く言えないものの、ある程度のところまでは把握することができていると思う。


 そこで受付の男に提示してもらって受け取った依頼を一つ選び、そして依頼主のところへと向かうのだった。


~~~~~~

「君たちが依頼を受けてくれた冒けンンッ!?」


 依頼主は俺たち、もっと言うと後ろにいたオークである俺、ボス、蘇芳を見てすごく動揺していた……。


「あの、大丈夫?」


「あぁ、すまないね。何しろ、依頼場所が依頼場所だから、って、君も人間じゃないのか……ハハハ」


 リナの言葉にそう言って、腐った魚のような目で俺たちを見る依頼主。……彼女の名前はギース・レビン。 中規模商人で、オークの群生地の先にある村への護衛を依頼した女である。


 そう、オークの群生地を通るのだ。流れ的にはリナがゴブリンを倒すことを決めたのと同じようなものだ。とはいえ、俺たちはオークキングを殺しているわけで、別段ためらい的なことは無いと思うのだが、俺たちの故郷以外のオークについても知りたいとのアンネの言葉もあり、この依頼を受けることになったのだった。


「それで、仕事の話を聞きたいんだが」


「ええっと……君たちは、オーク、だよね?」


 リナを盾にして恐る恐る聞くレビンに俺は大きく頷いた。


「あぁ、だが、他のオークとは違うと思って欲しい。実際、こうして話せているわけだし、人権印章は諸事情有って手元にないが、申請自体は通ってるんだ。まぁ、それでも信用できないと言われればそれまでだけどな」


 そう理路整然と言うと、彼女もひとまずは安心……はしないまでも、一定の信用はしたらしい。恐る恐るといった感じで俺たちの前に向き直った。


「そうかい、うん、私も腹をくくった!あんたたちは、私の依頼を受けてくれたんだよね」


 それに頷くと、彼女は具体的な話をし始めた。


「それじゃあ、具体的な話だ。依頼としては、ここ、リス・デュアリスから西に行って、ヘイロー平原を抜けた先、ミジナの森を通ってラ二村ってところに行きたいんだ。

 ヘイロー平原は基本的には新緑原野と同じくらいの魔物しか出てこないから、極論私だけでも気を付ければ通れるんだけど、ミジナの森の方はオークとか、バシリコックとか出て来るから私だけじゃ厳しいんだよね。だからって、森を避けても、金厳山脈とかへウス湖とかもっと厳しい場所だし、更に外を回って、エル高原やブラム湖通ると時間かかりすぎて採算が取れないんだよ」


 固有名詞のオンパレードに一瞬俺たちの頭に?マークが浮かんだが、アンネの説明により、依頼によって通る場所と周辺地形と理解することにした。

 とても簡単に言えば、金厳山脈とへウス湖は南側の遠回りで難しい道、エル高原とブラム湖が北側のとても遠回りな道。そして、ミジナの森が東に直進するラ二村直行コース、という事らしい。


 それぞれ、一応たどり着けるが、資金と移動時間を考えると、直行コースが最も安く、そして早く着くらしい。


 因みにバシリコックは嘴に石化毒を持っている鶏のような魔物で、視線で相手を石化させるバシリスクよりは相手にしやすいが十分注意が必要な魔物だそうだ。


 とりあえず、俺たちは依頼主であるレビンを交えて話し合い、移動日時や準備物等を話し合いつつ、一旦解散したのだった。


 なお、決定事項は以下の通りで、

 1出発は明朝、工程は行きに2日、帰りに2日、更に現地滞在日数として1日を予定する。ただし、戦闘やトラブルなどのことを考え、最大で2日の追加拘束時間を想定する。


 2依頼中に発生する経費に関しては、主に依頼主が負担するが、宿場町における宿泊費、食費等においては、その宿場町の一般水準以上を求める場合は冒険者自身の負担とする。また、冒険者自身が今後も使用し続けると考えられるものの購入についても、基本的には冒険者自身の負担とする。


 3故意に依頼主へ攻撃を加えること、または故意に危険な状況に晒すことになった場合は、冒険者は罰金を受ける。ただし、冒険者自身の身に危険が迫り、止む負えないと判断できる場合はその限りではない。


 4依頼における報酬は、前払い金2割、後払い金8割とし、報酬総額は300ジェルとする。


 5上記の条件を達成不可能だと判明した場合、依頼主の存命中であれば最寄りの街、集落に護送するまでを依頼内容とする。


 と言ったものだ。それと、これらとは別に、冒険者側が依頼達成が有利になりそうなものを用意しておいてもいいらしい。流石に元から申請していないと、経費として認められないと釘は刺されたが。


 そんなこんなで、俺たちは護衛の用意を済ませて、翌日を迎えたのだった。

 なお、今更ですが賢者の塔での等級保証は最初の昇格試験から適応されます。そうじゃないと、実力のある犯罪者とかが、賢者の塔に登っただけで上位冒険者になってしまうので。


 ただ、普通に依頼を達成していて、実力も確かなら通常一週間もせずに次の等級に進む試験を受けることができます。

 また、受付の男がしたように、実力に見合った依頼を受付が提示した場合は等級以上(といっても、本来より1~2階級上くらいまでが限度)の依頼を受けることができるため、よっぽど実力が確かで金遣いが荒くない限りは問題になることは少ない。



p.s 編集で報酬額を変更しました。ラスダンの店売り装備(しかも一式)をベテラン冒険者とはいえ下から数えたほうが早い階級の冒険者が一度の依頼で稼げるわけがないという。

 変更点 3000ジェル→300ジェル

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