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オーク転生 脳筋種族に転生したとかマジですか。  作者: 廉玉タマ
3章 聖都・リス・デュアリス
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オークとゴブリン退治

「……良かったのかリナさん?」


 俺たちは現在、一つの依頼を受けて王都の外に出ていた。その依頼はゴブリン退治……そう、野生のゴブリン討伐である。


 まぁ、仮に同種族だとしても、野生と文明人との認識は異なる、みたいなことはあるのだろうが、それにしたってゴブリンの亜種が参加する初っ端の依頼にしてはかなりヘビーである。

 もしもリナ以外がこの依頼を選ばなければ華麗にスルーされた案件だろう。


「でも、ゴブリン退治は一番一般的な依頼なんだよね?なら今のうちになれておきたい、です」


 そう言ってリナは思いつめたように俺たちを見つめた。そして、それを受けて身を乗り出す者がいた。


「もし、苦痛を感じるのなら、無理をすることは無い。リナの困難は我が受け持とう」


「ボス……」


「そこの色ボケ共!さっさと行くのじゃ!」


 不機嫌そうなサスティナの声にハッと二人の世界から抜け出したリナとボスは、慌てて前を向いて進み始めた。

 因みに、ボスは困難云々言っていたが、実際のところ俺たちは黒き茂みの森でかなりの数のゴブリンを殺害していたりするので今更だったりする。ついでに言えば蘇芳だってキル数は相当なものだし、サスティナに関しては、ゴブリンだけを意識して倒した経験はないが、他の魔物の追い込みでうっかり集落一つを壊滅させたことがあるらしい。


 そのため、ゴブリン討伐に慣れる必要があるとするならば、アンネ、リナ、ウリエラの3人である。そのうちのアンネも止めこそ刺したことはないものの、俺と一緒にゴブリンを狩ったり、実験用に生け捕りにしていたりしたので、二人のサポートに回ることになっている。


 そんなこんなで歩いていると、都合のいいことに2体のゴブリンが姿を現した。


「derisi derisi」


「esutexi esutexi esueikusria gurara」


 なんだか知らないが、リナを見てそんな呟きをしたゴブリン二人の言葉を聞いて、リナは気持ち悪くなったように顔色を蒼くした。それを聞いて駆け寄ろうとした俺よりも先に、ボスが静かに前に出た。


「我が妻を孕み袋であるというか……!良いだろう!その腐った性根ごと、ミンチにしてくれよう!」


 そう言って、ボスは氷の剣でゴブリンを惨殺してしまった。


「……ボス」


「……主殿、これはっ!?……いえ、言い訳はしますまい。我が妻を侮辱されたのです。我としては、正当な権利を行使したまで」


「いや、まあ、そこはいいんだけど」


 俺はそう言うボスに小氷の剣で攻撃した結果()()()となったゴブリンの方を見るように促した。


「討伐証明どうするんだよ、これ」


「あ」


 今回のゴブリン討伐は、冒険者ギルドからの依頼である。そして、ギルドには何種類かの依頼内容があるが、その中で俺たちが受けたのはゴブリンの”討伐”依頼。

 討伐依頼に関しては、討伐証明になる部位……ゴブリンであれば左右の耳をギルドに持っていく必要があった。なお、処分が難しければ部位以外は放置でいいそうだ。疫病とか発生しそうな杜撰(ずさん)っぷりだが、この近辺だとウルフ等の群れにすぐに食い散らかされて疫病が発生するほどの期間放置されないからというのが理由だそうだ。


 今回はそう言うわけで適当でもいいと言われたが、場所によっては死体を放置していると匂いを辿って村まで追いかけて来る、死体を食い散らかして爆発的に増殖してしまう魔物がいる、或いは死体がアンデッドになりやすいなどの理由で回収か火葬、或いは埋葬をしなければならない場合もあるらしい。まぁ、当然と言えば当然だろう。


 で、今回のゴブリンだが、見事に氷漬けにされており、両耳を切り落とすのはほぼ不可能だった。原形さえとどめていればどの魔物の物であるかは割と容易に分かるらしいのだが、残念ながら切り取るためには解凍をするしかなさそうだ。


「……申し訳ありませぬ、かくなる上は、我がもう一度」


「待て待て待て、リナの気持ちも考えろ」


 この後、目の前の氷像を放置する……した上で依頼を達成しようとするということは、当たり前のことだが、ゴブリンをもう一度討伐するということだ。そして、依頼の期間はそれほど切羽詰まっているわけではない。ボスの使った冷気での攻撃で凍っていたとしても、延々と凍り続けるわけではないのだから、野生動物に横取りされることに気を付ければ簡単にゴブリンの耳は手に入るだろう。

 何となれば、俺の持っている炎の剣で炙って解放したって良い。どちらも精霊王様からの頂き物なんだから、性能的に大きな差はないはずだ。


 だからこそ、その依頼を続けるかどうかを決めるのは、この依頼を受けようとした……そして、同族殺しに耐性を付けようとしたリナであるべきだと俺は考えた。


「……しましょう」


「ん?」


「殲滅、しましょう!あんな奴らがいるから、ゴブリンの品位が下がるんです!」


「委細承知した!主殿、我は先行しますぞ!」


「待てお前ら!」


 吐き捨てるように言ったリナの言葉に弾かれたように走り出したボスを静止し、何とか二人を押しとどめて、改めてリナに意志を聞きなおした。


 ……どうやら、リナにとっての野生のゴブリンの様子は、前世の俺の感覚で例えるならば、数十日体を洗っておらず、身だしなみというのもおこがましいただの布きれを纏っただけの、それでいて肉体と本能だけは元気一杯と言って差し支えない存在。まぁ、誤解を恐れずに言えば、蛮族そのものに見えたらしい。


 確かに、よく考えれば黒き茂みの森で彼女と一緒に過ごしていたゴブリナの取り巻きたちは、丁寧になめした皮を使った服を身に包み、俺たちが新集落の方に向かうと、多少苦みのある葉を漬けて色を付けた水(流石に茶というほど味は移っていなかった)を出してくれたりもしていた。そりゃ、あのゴブリンが蛮族に見えても仕方がない。


 とはいえ、ここは他の新米冒険者たちも狩場にしている場所だ、本当に殲滅させるほどに狩り尽くしてしまうと、いろいろ問題がありそうだったので、念のためにもう一度狩りでゴブリンを討伐した後、依頼の報告の為に冒険者ギルドに向かうのだった。

今回あとがきがクッソ長くなった。


冒険者ギルドの依頼は基本的に9種類


1、納品依頼 

 何かを依頼主に提供する依頼。用意する方法はどんな方法でもよいが、大前提として賢者の塔ギルドには基本的に商業部門や生産部門が併設されているため、市販品やオーダーメイドで制作できるようなものは基本的に冒険者部門にまで回されることは無い。

 そのため、基本的には魔物や自然から採取した素材が依頼内容となることが多い。

 もっともポピュラーな納品依頼で言えば、”薬草採取”の依頼である。目的の物をギルドに提出することで依頼達成となる。


2、討伐依頼

 依頼主の指定した相手を討伐する依頼。倒した相手の指定部位を討伐証明としてはぎとる必要性がある。必ずしも狩り尽くすことが目的ではないこともあり、所謂間引きを目的としている場合もある。なお、納品依頼とは全く別の依頼であるため、特記事項が無い限り討伐部位以外をギルドに渡す必要はない。場合によっては納品依頼兼討伐依頼、という依頼もないことはない。


3、解放依頼

 特定の場所から、魔物や盗賊を排除する依頼。一般的に討伐依頼とは違い、対象が倒せない、または倒すとまずいことになる場合に出されることが多く、難易度自体も高いことが多い。ただし、その性質上、基本的にどんな方法であっても、その場所に該当の対象を入れなければ良いので、依頼内容的には討伐依頼よりも楽なこともある。

 代表的な依頼内容としては『エイダ村祭り行列のための山道周辺の解放依頼』等


4、護衛依頼

 特定の場所から場所までの道中を護衛する依頼。解放依頼と同じ流れで継続して依頼されることもある。ただし、基本的に護衛依頼を受ける冒険者は、他の依頼に比べ信用度をより必要とされる。


5、調査依頼

 特定の場所(基本的には街の外)での調査を行う依頼。基本的には未開の地にどんな魔物がいたか、どんな植生だったかを調べる等の依頼であることが多い。また、新種の魔物が出たという場合にも依頼を出されることがある。


6、斥侯依頼

 主に討伐依頼などの依頼内容に対して、特に依頼達成が困難、或いは依頼内容に不明な点がある際に事前調査としてギルドが出す依頼。討伐をする必要はないが、どういった状況で、どのような厄介ごとになっているのか、どれほど猶予があるのか等を調べることになる。

 緊急性のない依頼ならともかく、緊急だと考えられる依頼も多く、また、状況を正確に把握しておかないと困ったことになるので、信用と実力双方が高い冒険者に依頼される指名依頼扱いのことが多い。基本的に全てが指名依頼扱いである。


7、身辺依頼

 特に巨大な身体を持っていたり、厄介な性質を持っている魔物やその飼い主が出す依頼。要するに、荒事ができる執事やメイドの募集と考えて差し支えない。この手の依頼は人間関係も重要になるので、しばらくすると専属契約のような形になることも多い。引退間近の冒険者などだと、引退後の仕事に直結することになるので、地味に人気の仕事だったりする。

 例としては「エルダードラゴンの歯磨きの補助」「どくモフの世話係募集」といった依頼がある。


8、管理依頼

 解放依頼の上位互換的な依頼で、基本的には引退間近の冒険者に与えられる、住み込みでその土地の環境を管理する冒険者です。多くの場合は自警団や狩人たちの集まりで行われているが、特に強い魔物が居たり、繁殖力が凄まじい魔物がいる場合に狩人では手が足りず、依頼されることがある。その性質上月々の給料として依頼料が振り込まれるが、その土地を長期間離れる際に許可が必要だったり、依頼を打ち切る時は後任が決まってからしか動けなかったりと制約が多く、領分としては狩人の領分に片足を突っ込んでいるため、多方面からいい顔をされない等、人気はかなり低い。


9、警護依頼

 護衛依頼や管理依頼と語感は似ているが、限定的な時間に不特定多数のトラブルを抑制するための依頼。簡単に言えばお祭りの際の警備員兼整理員の依頼といった所で、戦闘も滅多に発生せず、報酬もそこそこいいので割と人気の依頼。ただし、実際の実力よりは見た目が厳つい姿である等の方が採用されやすい。また、有名冒険者などだと、逆にその冒険者目当てで混乱が生じたりするので、依頼を受けられなかったりするという珍しい仕事でもある。


10.雑務依頼

 戦闘の全く介在しない依頼。実際のところ生活関係の受付は別にあるため本当に入りたての新入り冒険者の依頼くらいしか該当の依頼はない。


 なお、黒き茂みの森にいるゴブリン達は、野生のゴブリンの中ではかなりエリート。そりゃ色欲渦巻く森に住んでいるけれど、オークとか毒蛇とか最近はサラマンダーとかが襲い掛かってくるので、文明レベル上げとかないと容易く蹂躙されるので。

 ゴブリンは野生個体も多いけれど、場所によっては部族ごと人権指定される程度には賢い個体も多い。メタ発現すると、野生ゴブリンと部族ゴブリンはゴブ○レゴブリンと転○ラゴブリンくらい違う。リナちゃんところのゴブリン達は、ゴブ○レ寄りの転○ラゴブリン。襲撃者とかは普通にコロコロするし、レ〇プもする。だけど交渉できないわけじゃないし、何となればグォークやボスみたいに異種族でも受け入れることはある。


 あ、でも、今回リナちゃんの目の前に出て来たゴブリンは敵の目の前でリナちゃんのことを孕み袋にできるぞ楽しみだな的なこと言って笑ってたからゴブ○レゴブリンの中でも頭悪い方のゴブリンだわ。


 明日、活動報告を上げると思います。

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