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オーク転生 脳筋種族に転生したとかマジですか。  作者: 廉玉タマ
3章 聖都・リス・デュアリス
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オークと空の旅

本日2話目です。

「グォーク!すごいわよ!この景色!景色がすぐに後ろに飛んでいくわよ!」


「おい、しっかり摑まっとけよ。流石にここで飛ばされたら、助けに行けないからな」


 俺ははしゃぐアンネにそう言って、しっかりとサスティナの背にある棘に込める力を強める。


”安心するがいい!わらわが風魔法を使っておる。無理に離れようとすれば別じゃが、よっぽどのことが無ければ振り落としはせん!”


 今までの行動が行動なため、今一信用が無いが、まあこれでも俺たちが今まで見た中では有数の実力者の言葉なので、とりあえず握る手の力を少し弱めて、辺りを見回す。


 ここは空中。具体的に言えば、賢者の塔のあった精霊大陸とリス・デュアリスのある中央大陸の丁度中間あたりであり、下には海が広がっていた。


 こんなことになったのは、俺と(正確には事後承諾をとったので、俺たちと)サスティナの密約によるものだ。

 簡単に言えば、俺たちはウリエラにばれないようにサスティナをサポートし、なるべくサスティナが良い師匠であることをアピールする。

 逆に、サスティナは俺たちを中央大陸のリス・デュアリスの王都まで運ぶ。どちらも目的地は同じであり〈曲がりなりにも)冒険者のことを知っているがそこまでの移動手段が乏しいアンネ筆頭の俺たちと、移動手段はあるものの冒険者……というか人間社会全般の知識に対して不安のある両者の利害が完璧に一致した結果だった。


 アンネが空の旅を楽しんでいる間、俺たちはウリエラとサスティナのなれそめを聞いていた。

 なんでも、村が化け物に襲われた際、さっそうと現れて助けてくれたらしい。


「……さっきの話って本当なのか?」


”ほ、本当じゃ!結果的に本当じゃ!”


 結果的にって……。意図してではなく、馬鹿なことをして結果的に良い方向に転がったというのが真相なのだろう。


「しかし、流石はサスティナ殿ですな。体の大きさはそれほど変わらなかったのでしょう?その大きさの生き物を塵も残さず燃やし尽くすとは……、我が手も足も出ないわけですな」


”そうじゃろうそうじゃろう!”


 まぁ、契約のこともあるし、サスティナの機嫌を悪くすることもないだろう。実際、話によれば村を一つ救ったのだろうし、目くじらを立てることでもないだろう。

 ……まぁ、話を聞いた感じ村の大人が化け物に進んで生け贄を捧げて何かしら恩恵を得ようとしていたという可能性も微粒子レベルで存在しているが、それでもウリエラにとっては命の恩人に違いない。


 そうこうしているうちに、巨大な街壁が姿を現した。賢者の塔にあった壁に比べれば薄いものの、それでも十分に高く、厚い城壁だ。


「あそこがリス・デュアリスか」


 そう言った俺の声に視線を下し、確実に街壁内の広間を目指して加速し始めたことをサスティナの視線と体感で察し、俺は慌てて彼女の体を強めに叩く。


”あ痛っ!何するんじゃ!”


 俺は無言でアンネに視線を向ける。ここにはウリエラがいるので密談はアンネの念話で行うことになる。アンネもその行動の危うさを察せないほど鈍くはないため、俺の視線に大きく頷いて念話をサスティナに向けた。


”む、いや、それくらい派手な方が、わらわのかっこよさを見せつけるチャンス……”


 そんなことを言いだしたサスティナに、イライラとアンネが更に何か念話したようだ。その内容に少し怯んだのか、サスティナが先ほどまで見据えていた広間から目線を外し、緩やかに弧を描くように旋回を始める。


「……あの、姉御殿、つかぬことをお伺いしますが、街門とはあのようににぎやかなものなので?」


 先ほどまでのサスティナとの攻防に参加していなかったボスが、街の門の様子ついて何か気になることがあったようなので、一旦俺たちはボスにならって街門の方に目を向けた。


「……なんだありゃ?」


 街の門は確かににぎやかになっていた。だが、それは明らかに普通のにぎやかさではなかった。たくさんの人がいるのだが、それらの人々のほとんどは街の門から少し離れたところを取り巻くように集まっているようだったのだ。


 それを見て、アンネは素早くサスティナに目線を向ける。どうやら念話をしているらしい。そして、その直後サスティナが笑い出した。


”ふははは!ウリエラ!今日は王都に入る前に、あの門の騒ぎを、わらわが華麗に解決するところを見せてやろう!”


 そう言って、サスティナは完全に身を翻し、門前へと降り立って行ったのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 騒ぎの中心付近に降り立った俺たちは、サスティナが近づいてきたことで逃げたした人々によってできた空白を通り抜け、街門手前まで難なく歩きつくことができた、そして、そこには衝撃的な光景が広がっていた。


「ハヤク!ナカ!イレロ!」


「待ってよ、雌オークちゃん、ちょ、ちょっと、話聞いて、お願いだから……あ!ダーリン!」


 その声を聞いて、騒ぎの主は俺たちを振り返り……そして、一瞬の硬直も無しに俺に飛びかかって来た。


「グォーク!グォーク!ワタシ、キタ!スキ、スキ!」


「待て待て待て、覆いかぶさるな、よだれを垂らすな!ズボンを脱がそうとするな!」


 そう、騒ぎの中心にいた二人は、黒き茂みの森にいるはずの、ゴブリナと雌オークなのだった。

と、いうわけで、メインヒロイン(笑)と即オチゴブリンちゃんとの再開です。


……やっぱりこの二人はイロモノやな。

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