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そこのお前! 異世界転生した私を助けてくれ!

 えっと、第7回書き出し祭りをご覧の皆様はじめまして。私、初告 花野っていう者です。読めてますかー? いえーい?


 ええ、はい。あなたです。私は今、画面の前にいるあなたに話しかけているんです。こういったものって、そちらにとってはメタフィクション、っていえばわかりやすいですかね? そういった奴です。(まあ、私にとってはどれも現実なのですが)


 ……うん、確認ができませんね。ということで、こっちの方で一方的にしゃべらさせていただきます。


 まず、今回こういった特殊な形で皆様に話しかけているのには、幾つか複雑な理由があります。まあそれは後々説明するので、まずは端的にこちらの事情だけ話したいと思います。


 助けて下さい! マジで!!!!


 ……と、いきなり言われても困るだけですよね。はい、それは解っているんです。ですから、ここから4,000文字以下という文字数制限に注意しつつ、事情をお話しますので、どうかブラウザバックはお待ちください!


 ああ、名前は「はじつげ かの」って読みます。ルビの仕様変更が怖いので、ここに書いておきますね。


 * * * * *


 まずもって、私が初告という名字を冠していたころ、紆余曲折あってトラックに轢かれて死ぬ羽目になりました。まあここは重要じゃないので飛ばしますね。


 その後、天国的なところで目を覚まし、そこで女神を名乗る胡散臭い存在から「死んだのは手違いだった」とか「ごめん」とかそんな会話を交わした後、異世界転生することになりました。

 異世界転生について良く知らないって人は、このサイトのトップに戻って、異世界転生と書かれたところのランキングを適当に眺めればいいと思います。説明は文字数の都合でカットじゃ!

 で、ついでとばかりに『チート』として『第四の壁を超える力』を頂きました。ありがたや。今使っているのがまさにそれなんですが、どうやら前世で言うインターネットを自由に閲覧できるみたいです。結構便利。ただTwitterとか小説家になろうなどは、私の前世にはない名前でしたので、たぶんパラレルワールド的なあれだと思います。はい。


 ――――で、目が覚めたら牢獄の中でした。ええー……。

 日本の刑務所の牢屋を数倍醜悪にしたような状況の、赤い土に囲まれた、洞窟の一角を鉄格子で丸々切り取ったような場所でした。プライバシーの概念などはどこにもなく、どこかから腐った肉の臭いが漂って来ます。


 自分の体も見える範囲で確認します。細い腕に、細い脚。元は白色であったらしい、ほとんどが壁の色と一緒になっている薄いシャツのような服が1枚。呼吸をかすかに邪魔する、鉄の首輪が一つ。

 端的に言ってしまえば、人間としては、悲惨極まりない状況でした。まぎれもない、監禁状態、という奴です。


 この特異過ぎる状況と「異世界転生した」という事実の頓狂さに、内心錯乱状態でおりますと、鉄格子の先の暗黒から、一人の男がやってきました。口に無精ひげを蓄えた、この牢屋と同じくらいには清潔感の感じられない大男。頭に角付きの兜を付け、全身を、薄汚れた動物の革でできた防具のような服で固めています。


 危険臭漂う風貌ですが、何はともあれ異世界第一村人発見です。私はMPが吸われそうなくねりを止めて、大男に向かって挨拶をします。


「えっと、こんにちは……」


「あァ!? 奴隷風情が舐めた口きいてんじゃねえぞ。回復したんなら仕事だ仕事! 出ろ!」


 という事で、大男さんは謎に激昂。私の腕を掴んで、ひどく乱暴に牢屋から出すと、1、2回私を殴りつけてから、またひどく乱暴にどこかへと引っ張り始めました。強い衝撃を感じたのは、トラック以来でしたので、一つ殴られた私は、すっかり伸び切ってしまい、腕を引かれるままに洞窟の奥へと連行されるのでした。


 さて、そんな感じで、異世界と言う名前を冠した、私の炭鉱奴隷生活が始まりました。ぬるま湯の極致ともいえる日本に甘んじていた者としては、辛すぎる肉体労働の日々。そこには、見る物の心を病ますような、深い深い、この世の深淵が詰め込まれているのでした。


 まあ、文字数の都合で全カットなんですが。


 * * * * *


 さて、そんな奴隷生活も数週間たって慣れてくると、いろいろと状況が把握できてきます。まず、この転生が元々奴隷として生きていた娘の意識を乗っ取る形で行われた、乗っ取りパターンの転生だと言う事。この世界は奴隷制度、そして所謂『魔法』がある世界だという事。そして最後に、こんな状況に転生しやがったあの神は恨んでもいい対象だという事でした。まあ、それは置いておきましょう。


 端的にいえば、前世でよく見た『中世ファンタジー風』の世界と言った感じでしょうか。といっても、この世界に来てからお日様は二、三度しか見れていないため、決定づけてしまうだけの根拠には乏しいわけですが、少なくともこの一話に関してだけは、そういう物だと思ってくれて構いません。


 さて、そんな世界で生きてきたこの少女。どうやら、奴隷友達がいるようでした。褐色の肌を持ち、その色を携えた今にも折れそうな程にか細い腕で、必死にピッケルを振り回している、幼い印象を受ける少年です。名前はウル。性格は結構活発で、前世のクラスメイトにいた不良候補生を想起させる乱暴な口調をしています。


 彼、元の体の持ち主とはかなり懇意にしていたらしく、奴隷生活の合間合間を見つけては、私の元へとすぐに会いに来ます。そして自身の愚痴を語り、私の体調を気にかけ、最後には昼食からとっておいたのであろう硬いパンを一つ私にくれます。そしている内に休憩時間が終わり、元の仕事へと帰っていく、というのがこの生活における休憩時間のルーティーンになっていました。


 私自身、異世界転生という物に慣れ切っておらず、肉体労働をこなしながらもその心情は、心細さの極みみたいになっていましたから、彼のこういう人間らしい気遣いという物は、私にとって中々に癒しとなっていました。ただ、彼のそのやさしさの対象という物が私でなく、この体のみに向けられているという事実は疑いようもない事ですので、ふとした拍子にそれを認識してしまうと、多くの罪悪感と、少しの物悲しさを感じるのでした。


 * * * * *


「丁度一週間後、アレをやる。そういう事でいいんだよな」


 さて、ある日の休憩時間中。彼の口から、唐突にそんな言葉が発せられました。

 身体の少女の立場を乗っ取った私にとって、この質問をぶつけられた時の私の焦り様という物は、中々に凄まじいものがありました。これ以下の文において、私の心情は常に暴風雨の状態と言っても、過言ではないでしょう。


「ああ、はい。アレですね。……少し、行程を確認してもよろしいでしょうか」


 しかし流石は、現代日本の学生社会を生き抜いてきた私です。本音と建前の使い分けの器用さと言ったら! そのとき私は、初めて日本という祖国の存在に心から感謝しました。


 ――――そして、彼の口から発せられたものは、所謂、脱獄計画という物でした。


 文字数が危うくなってきたので詳細は飛ばしますが、それはこの生活からの脱却について考えた時、少年少女の知恵としては、完璧に近いものでした。これを実行すれば、私と彼は、ひとまず人体の日照権は確保できるだろうと、そう思える計画でした。


 しかし、ここで私の頭の中で、日本で生きてきたことの弊害が発動します。この時ほど、日本という祖国の存在を恨んだときはありませんでした。


 そこで思い浮かんだのは、同じ奴隷たちの存在です。この炭鉱では、私達を含めて十人に満たない程度の人数が、奴隷として目を殺しながら生活しています。その中には御年六十前後であろう老人も、確実に二桁はないであろう幼い少女もいます。


 この脱獄計画は、みんなの助けまでとは言わずとも、それを見逃してもらう、という行為が必須になる物でした。そして彼女たちは、とても優しい。きっと私たちが外に出ると宣言すれば、見逃すどころか、看守をどこかに誘導するぐらいの事はしてくれるでしょう。


 でもだからこそ、私達が逃げた時、彼女たちには――――罰が待っているのでしょう。そんな嫌な想像こそ、私の脳裏にふっと沸いた疑念の正体でした。


 でも、彼女らがいるからといって、この脱獄を中止してしまおうというのは、余りにも私勝手でしょう。

 元々この脱獄計画というのは、彼と、私の体の持ち主である少女の元で計画された物です。横から介入しただけの私に、この希望に満ちた計画を中止させる権利は、本来ないはずなのです。

 それに、これを止めると言う事は、彼の精神的な死を意味します。脱獄しなければ、我々奴隷などに、自由などありはしない。ですから、彼を犠牲にしなければ他の奴隷を救えないという事実も、確かにそこにありました。


 だからこそ、私は次の言葉に悩みました。彼と私の体か、他の奴隷か。まさに二者択一の状況です。


 そして悩みに悩みぬいた末――――私は与えられた力という奴を使う事にしました。


 ええ、今回あなたに話しかけたのは、この決断を、助けてほしいからなのです。本来こういうのは、私自身が決めるべきことなのでしょうが、人の命も関わってくるとなると、なるべく最善の択を選びたい、というのが本心なのです。

 ですから、皆さまどうかわたしに助言を下さい! ネットのどこかにアドバイスを書いてくれれば、探して全力で読みに行きます!


 あと、いろんな人に見てもらいたいので、こういうお話をどう書けばいいのとかの指摘も普通に待ってます! 文字数の都合でこれで終わ

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