50.Naomi
「お初にお目にかかります。この夏よりラシェル様に王都でお世話になっております、ニーナ・バーベリと申します」
「おお、君がニーナかね……!」
領地から前乗りして王都の屋敷へと着いた両親が、まず出迎えたディルクに世間話を交えて挨拶を交わす。豪奢な邸宅を娘のために用意してくれたウェーバー家への感謝の意も表しつつ、頭を下げたまま傍に控えるニーナに気付いた父が「こちらの子は?」と声をかけて、冒頭の挨拶へと至った。
彼女なりにこの日を緊張して迎えていたようで、鷹揚な雰囲気で受け入れられたことにホッとした表情を浮かべる。
「ラシェルから色々と話は聞いているよ。慣れない王都の生活を、いつも支えてくれていると」
「滅相もございません……! 有難いお言葉、痛み入ります」
もう一度父に深く頭を下げるニーナの横で、母もそれを微笑ましく見つめる。
それから徐にラシェルの方へ目を向け、……見落とし、……見回して、
「?!」
二度見する。
「ラシェルかッ?!」「ラシェルちゃん?!」
驚きの形相で刮目された。
「はい……」
両親の言わんとすることも重々理解できるラシェルは、おずおずと頷く。冬休みにも痩せた姿を見て驚かれたが、この三ヶ月弱程の間は、数字以上に見た目の変化が大きかった。
「信じられない……まさか、お前に目があったなんて……!」
お父様がソレ言いますか。てか開口一番に聞きたいことソレですか。
「そんな?! 声まで変わって……!」
「変わってません」
口許を両手で覆い隠す仕種の母に、そこは冷静にツッコむ。というか母、何故そのネタ知ってる……?
気を取り直して、暫くぶりの親子の再会に浸りつつ、
「いやぁ……女の子というのは、変われば変わるものなんだなぁ」
とボヤく父に、
「さすが私の娘だわ。磨けば光る珠だったのよ」
母が胸を張る。
「けどラシェルちゃん、この一年間、本当によく頑張ったわね。それとも、これが恋の力というものかしら」
うふふと口許を扇子で隠して、にこやかな表情で母は隣にいる父と目配せした。
恋の力とは何ぞやと、疑問符を三つほど頭の上に浮かべるも、そんなラシェルなどお構いなしに周りはさっさと屋敷の中へ入って行った。
ていうかラシェル、キミも何故そのネタ知ってる……?(笑
次話はなるべく速くupします。




