表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/14

第三話   『究極との戦い。そして忘却』 /焼き直し済み

 月を背にし帝都グランズヘイムへと歩み来る鬼神。闘気は陽炎となり月を揺らし、歩みは大地を振るわせる。

 右腕から異様な雰囲気を感じる。右腕に装備された手甲からおぞましい力の渦が流出している。俺はトラヴィタールにあれが何か聞いた。


 「強い力を感じるあの右腕に付けてるのは?」


 「あれは魔導器(まどうき)だよん。けど君が感じているのは恐らく古の石碑グレート・ワンだよん。」


 トラヴィタールはそう答える。

 グレートワン?偉大なる一?ってなんだ。理解出来ていないという複雑な顔をしているとトラヴィタールが補足を入れてくれた。


 「彼が"究極"と言われる由縁だよん。そのルーツも技術も未だに解析出来ない…言ってしまえば超凄い力を持った道具って所かなん。中でもあれは特別だよん。」


 そう言うトラヴィタールに冗談交じりで俺は言った。「でも道具は道具なんだろ?」聞いたトラヴィタールは笑いだし「確かにねーん!」と頷いた。笑うトラヴィタールに向けてミラーナが目で注意を促す。それに気付いたトラヴィタールはすぐに態度を改める。


 「その道具に操られてる様じゃあ彼もまだまだっという事かなん…。」


 静かに呟くトラヴィタール。俺にはその意味が良く分からなかった。


 「そんじゃま、一丁やってみますか。」


 そう言って変身の構えを取り始めるがミラーナが声で制止をかける。


 「トーノ=カナメよ。あの時言った事をもう忘れているのか。非正規の貴君が戦う事は戦争の規約に反する事なのだ。だから…。」


 ミラーナの言葉に割り込むように俺は言う。


 「お前たちなら勝てるのか?」


 「それは…。」


 ミラーナはそれ以上答えなかったがその暗黙は答えている様なものか。

 俺は肩を竦め、頭の後ろを掻く様な仕草を見せて言う。


 「ルールがあるからって黙ってお前たちが、この場所が、襲われるのを黙って見てろっていうのかよ。そんなの俺のルールに反するっての。」


 「だが、この国の者でも無い貴君が戦う理由など!」


 拳を硬く握り締め困り顔や怒り顔などが入り混じった複雑な表情でミラーナは俺を止める。俺は笑みを浮かべグランズヘイムを見て答える。


 「戦う理由ならあるさ。クルシュと出会った、おやっ…マルスとも出会った、マリーンさんやファリオにもトラヴィタールにもな。そんで…。」


 俺はミラーナの方を見る。似てるだけ…だけど同じ顔した奴をまた失うのは御免だ。


 「大切なモノが出来ちまった…守りたいと思っちまった。だったらやるしかないだろ、貫くしかないだろ。自分の生き方をよ。」


 俺は前へと進みながら背を見せミラーナに語る。俺の覚悟を。


 「例え人同士で戦う事になってもよ。罪を背負ってでも…やるしかないだろ。」


 俺は鬼神と相対する。この緊張感はライオンハートとの戦い以来だな。

 正面に立つバルバラは落ち着いた物腰で名乗り上げる。


 「我が名はバルバラ=ガルゲナート、ヴァルバラッハの武人なり。」

 「貴公らの施した結界は我には効かぬ、所詮は魔術、万能ではない。凡夫には出来ずとも上回る力さえあればどうとでも出来ようぞ。」

 「中々良いウォーミングアップだったぞ。引き際を熟知しておる、だが退路は既に無い。我と戦う武士はどいつだ?お前か?お前か?それともトラヴィタールか?いや、結界の保持で干からびている貴様では無理だな。皇女殿下直々に相手でもしてくれるのか?」


 バルバラは柱に棒を突き刺したような重厚なメイスをクルシュ、マルスと穂先を向け指差ししていく。俺は前へと歩み出て拳で胸をドンッと叩いて名乗り上げる。


 「お前の相手は俺だ。」


 「ほぅ、貴様が俺の相手をしてくれるのか。マナの感じられない貴様に俺の相手が務まるのか?」


 バルバラは嘲笑うように俺に向けて言った。俺も嘲笑うように答える。


 「そんな事は戦ってから判断しな。」


 チラッと後ろを見ると拳を強く握り締め俺の方を見つめるミラーナの姿。


 「心配すんなよ。明日の返事は期待していてくれよ。覚悟は決まったからよ。」


 背中を見せたままサムズアップして答える。

 俺は変身の構えを取る。急速に膨れ上がる闘気を感じたバルバラは感嘆の息を漏らす。


 「闘志を…燃やすぜっ!!」


 俺の闘志が頂点に達する。




 「変身っ!!!」




 ドンッ!!!と爆発が起きる。ミラーナ、やクルシュたちの服がたなびく。風から身を守るように腕で顔を隠す。バルバラとトラヴィタールは動じず不動のまま。


 「輝かしいな。」


 暴風が止み、カナメの変身体グリットマンが姿を現す。バルドラはその姿に見ほれている。夜である為に際立って見えるパワーストーンから翡翠色の輝き。カナメが構えを取ると翡翠色の光が残像として線を描く。

 バルバラは嬉しそうに笑い出す。


 「マナを感じぬ事で貴様を侮っていたようだ。面白い益荒男がいたものよ。」

 「益荒男よ。貴様の名を聞かせてくれ。」


 「遠野(とおの) (かなめ)。またの名を勇輝(ゆうき)超人(ちょうじん)グリットマン!」


 グリッター(輝く)とグリット(勇気)が合わさって"グリットマン"。雪菜が俺に与えてくれた名前。後ろの皆様方にはお気に召さなかったようで微妙な空気が漂っている。

 冷ややかなコメントをミラーナが言う。


 「ゆうきちょうじんグリットマン…ねぇ。」


 「勇ましく輝き人を超えし者だぞ!カッコイイだろ!」


 そうは言ってみたものの、まぁ正直俺も最初名付けられた時はどうかと思ったけどさ。名付け親と同じ顔した奴に微妙扱いされるとはな。


 「勇ましく輝き人を超えし者…か。ふふふっ…面白い!武士トーノ=カナメ、いやグリットマン。相手にとって不足無しっ!!!」

 「俺も全霊にて答えようぞ。」


 魔導器(まどうき)の禍々しさが増していく。バルバラは鬼を模した仮面を取り出し装着する。



 「解…凍。」



 バルバラがそう発するとバルバラから柱状の爆発が起こる。大地は逆巻き衝撃波は天空を穿ち消えていく。

 そして姿を現す。鋭い眼光、むき出しの牙、二本の角、そして鬼の形相。筋肉を模った鎧は黒く赤いラインが血脈の様に走る。肩や頭部、腰の装甲は日本の甲冑を思わせる。しかし右腕だけは規格が違うように見える。魔導器(まどうき)の影響だろうか。

 ただの鎧では無く明らかにバルバラの覇気が増している。マナの増幅も起きているが(かなめ)はその事に気付けない。


 「これが我が魔装鎧(まそうがい)オーガヘロー、そしてグレート・ワン究極の王(アルティメット・キング)の合わせた姿よ。さぁグリットマン…始めようぞ!」


 バルバラの手元のメイスを羽箒の如く扱い大きく振りかぶる。


 「さぁ、防いで見せろ。グリットマン!!」


 バルバラはメイスを振り下ろし大地を砕く衝撃波は膨大な破壊エネルギーとなり扇状に広がっていく。


 「シャイニング・インパクトォ!!!」


 俺もまた大地に拳を打ちつけ衝撃波を生む。バルバラの破壊エネルギーと打ち消し、余剰エネルギーがバルバラを襲う。


 「クハハハハハッ!!想像以上だなっ!!!」


 バルバラは円を基礎とした文字と文様の組み合わせ…おそらく魔法陣だろうか、それを展開させる。


 「グランドパニッシャァァァァァァッ!!!」


 そう唱えると大地が杭の様に盛り上がり余剰エネルギーを打ち消す。城壁並みに高く盛り上がった大地が砕かれる。無数の土の塊が視界を覆う。視界は見えないが気配で分かる、俺は真直ぐバルバラの方へと迫る。視界が悪かった為かバルバラの反応が遅れ、その間隙を突く様にバルバラの胸部に中段蹴りを放つ。蹴りが生む衝撃波は周囲の土の塊を粉々に打ち砕く、バルバラは両腕で防いでいる様だが衝撃で大きく後ろへ後退する。砕かれた土は雨の様に振り大地に戻る、その際大量の砂埃が発生する。

 俺もバルバラも同時に跳躍し空中で互いの拳を衝突させる。


 「おおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」


 俺は連撃を繰り出す、左の鉤突き、その勢いを利用した左下段蹴り、その間に腰に溜めた右の正拳からの左の正拳、右の正拳をフェイントにし右の中段蹴り、蹴りを振り抜き右肩を相手に向けた状態での右肘打ちからの右裏拳。

 申し分ない攻撃だったがバルバラは全て捌いて防ぎきっていた。メイスを振るい回転を加えた横薙ぎを放つ。腕と脚を使い防ぐがメイスの衝撃で距離が離れる。

 バルバラはメイスを向け、メイスの先にまた魔法陣を展開する。


 「消し飛べい!イレイザァァバスタァァァァ!!」


 メイスから強烈なエネルギーが放たれる。視界を覆い尽くす程のエネルギーが俺を襲う。俺はバルバラのイレイザーバスターを気合を入れて受け止める。

 受け止めた両腕が少しずつ焼いていくバルバラの攻撃。俺はパワーストーンを展開しイレイザーバスターを吸収する。


 「消した…いや、吸収したのか!」


 バルバラは即座に答えを出す。俺が光を吸収出来る事、そして吸収した光が力に変わる事を。


 「ハハハハッ!!滾る…滾るぞぉぉっ!!」


 バルバラの武器が変化するメイスが崩壊し、替わってハルバードが召喚される。赤いラインも青く変色する。円の動きとリーチを利用した攻撃に攻め立てられる。スピードも先程より速くなっている、が攻撃のインパクトは先程より低下している様に感じた。

 一旦距離を離し、遠距離攻撃を放とうとするが距離が離れるとバルバラの青いラインが黄色へと変化しハルバードは瞬時にライフルへと替わる。ライフルから放たれるのは鉛の弾丸ではなく圧縮され鋼の様に硬質かした空気の弾丸、その弾丸が俺の身体を射抜く。

 光のエネルギーを回復に回し射抜かれた傷を瞬時に再生させる。バルバラの臨機応変さに流石の俺も温存している余裕は無くなってきた。


 「アレを使わないとキツいか。夜だから使いたくはなかったけど。」


 俺の切り札。しかしデメリットが大きいのだ。切り札を使えば大幅に戦闘力を向上させる事が出来るが、ただでさえ光の少ない夜というこの状況。光を糧に戦う俺にとっては制限された状態だ。現状あと二時間は戦えるのが三分までと大幅に消費されてしまい、時間が過ぎれば変身は解け丸一日は変身不可能になってしまう。しかし使わなければ勝機は無い。


 「使うぜ…俺の切り札をっ!!!」


 俺は闘気高め、全身に満ちる勇気と輝きを解き放つ。


 「おおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」

 「ラァァァァイト・アァァァァァプッ!!!」


 強烈な衝撃波。俺の姿がさらに変化し両手両足、胸部、そして頭部のパワーストーンが展開される。漆黒の皮膚は銀色へと変色し、赤紫の甲殻には銀色のラインが走り甲殻の一部を変色させている。身体からは強大なエネルギーが雷の様にバチバチと走っている。伊達や酔狂ではない。明らかにパワーアップしている。


 「フハハハハ!ただ派手なだけではないな!より強く、より勇ましく!!素晴らしいぞ!!グリットマンよ!!!」


 馬鹿みたいに喜んでいるバルバラ、根っからの戦闘狂か何かか?

 バルバラとの戦いは激化する。外で見ているミラーナたちには何が起きているのか把握出来ていないだろうな。トラヴィタールでさえ全てを把握するのは難しいと思う。

 それでもミラーナたちは見届け続けるだろう。俺にグランズヘイムの命運を預け、勝利を願って。


 「負けないでくれ…トーノ=カナメ。勝って、生きて帰って来い…。」


 ミラーナの祈り。クルシュやマルス、トラヴィタールや兵士たちの祈り、想いが俺の耳に心に届いてくる。


 「伝わってるぜ、お前たちの想い。」


 バルバラと戦いながらも想いを受け止めさらに闘志を高めていく。(かなめ)のパワー、スピードが増幅する。高まった闘志と(かなめ)へ向けられた想いが(かなめ)を強くするのだ。


 「負けられない、絶対にっ!!!」


 気合を籠め、バルバラに回し蹴りを放つ。回し蹴りがバルバラに命中する。距離が離れたバルバラは魔法陣を展開させる。


 「ダァァァクネス!イィィタァァァ!!」バルバラが呪文を唱える。俺の胸元に黒い球体の様なものが出現し急激に一帯を吸引、圧縮をし始める。所謂ブラックホールというものだ。


 「おおぉぉぉ!!ライジング・パワァァァァァ!!!」


 俺はエネルギーを放出しダークネスイーターを相殺する。畳み掛けるようにバルバラのライフルから空気の弾丸が数十発放たれる。


 「ブライトォ・キャノォン!!」


 俺は連続して正拳を放ち拳からエネルギーを撃ち出す。全ての空気の弾丸を打ち消しバルバラを射抜く。

 一瞬の怯みの隙に俺は一気に距離を詰める。バルバラはハルバードへと持ち替え牽制する。だがある程度のダメージは覚悟して突撃しハルバードを紙一重で躱してバルバラの懐へと入る。拳を腰に溜めエネルギーを拳に凝縮させる。


 「シャァイニング・ナックル!!!」


 バルバラの鳩尾へ光エネルギーで強化された正拳を命中させる、確かな手応えを感じ取った。バルバラの反撃で頬に裏拳と同時にエネルギー弾を食らいバルバラとの間合いが開く、流石にくらっとして視界が一秒ほど歪んだ。バルバラはハルバードから大斧へと替え距離を離し大斧を担ぐ。大斧に黒く強力なエネルギーが充填されていく。


 「闇のマナで放つこの一撃は吸収出来まいっ!!」


 大斧を大胆に振るうと膨大なエネルギーが俺に向けて放たれる。

 俺の後ろには帝都グランズヘイムがある。躱す訳にはいかない、しかし防ぎきれる状態ではないし弾き飛ばせるほど甘い攻撃ではない。


 「だったら。」


 俺は両腕に光のエネルギーを集中し強烈な輝きを放ち始める。両腕を大きく広げ拳と拳をぶつけ合わせる。


 「オォォォォォバァァァァレイ・ブラスタァァァァァァ!!!」


 強力なエネルギー弾を放ちバルバラの放ったエネルギーと衝突させ相殺させた。エネルギー同士の衝突により爆発が起こり凄まじい爆風が周囲を襲う。


 「そろそろ、3分経つか…決着をつけるっ!」


 俺は必殺の構えを取る。それを察知してかバルバラも大斧を構える。


 「良かろう…我もこの全身全霊にて答えよう。」


 バルバラの大斧に魔術が施され圧が増していく。明らかに強化されている。

 俺の全パワーを右足に集中。大量のエネルギーが天へと続く滝の様に溢れ出す。ゆっくりと構えを取る。必殺技を放つ為の力を溜める様に。右足へと光が集まり漏れ出すエネルギーが右足を包み始めた。そして疾走し跳躍する。


 「シャァァァァァァイニングゥゥゥゥゥゥゥ!!!」


 「来い!!!グリットマン!!!」


 光を推進剤とし加速をしながらバルバラに向って降下し蹴りを放つ。


 「キィィィィィィィィィィックゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!」


 バルバラも渾身の技にて迎え撃つ。


 「ワァァァルドォォ!!ジェノサイドォォォォォ!!!」


 バルバラの強烈な一撃が衝突し脚に強烈な衝撃が伝わる。

 衝撃波が水平に生じ、近くの木々をいくつかなぎ倒し、周囲の大地は抉れクレーターとなっている。


 「カナメッ!!!」


 周囲を覆う砂埃の中ミラーナの呼ぶ声が聞こえた。


 「! カナメッ!!」


 ミラーナたちの姿が見え始めた。俺は立っているだけでもギリギリだ。しかし、目の前にいるバルバラは堂々立っている。


 「…カナメさん!」


 クルシュの小さく力強い声だ。呼びかけに答えてやりたいけど出来そうにない。

 ほとんどの光は使い切った。既にライト・アップ解け通常の状態に戻っている。


 「僅差…であったがこの戦、我の勝ちの様だな。」


 「…。」


 俺には返事をする余裕も無い。

 バルバラは惜しむようにため息を漏らし。右拳に力を込める。


 「去らばだ。グリットマン。トーノ=カナメよ。」


 拳は放たれ俺の胸部に貫いた。胸のパワーストーンは砕け翡翠色の破片が月の明かりで輝いて地に落ちていくのが見えた。俺の胸を貫いたバルバラの腕が血で染まっていく。


 「カナメェェェェェェェェェェェ!!!!」


 ミラーナが悲痛な声が聞こえる。悪ぃな…勝てなかったよ、大見得きっといて何か恥ずかしいな。

 雪菜…今そっちに行くからよ。


 ふっと雪菜が俺の腕を引っ張ったような気がした。


 「!?」


 バルバラの息を呑む声が聞こえたような気がした。

 ゆっくりと顔を上げると俺の拳はバルバラの右篭手、グレート・ワンを宿す篭手を砕いていた。


 「オォォォォォォォォォォォォォ!!!!」


 グレート・ワンの力が暴走しているのだろうかバルバラの魔装鎧(まそうがい)がボロボロと崩れていっている。バルバラは暴走を己の力量で抑え込むので必死の様だ。


 「流石だトーノ=カナメ、いやグリットマン!!!最後の足掻き、見事だ!!!」


 バルバラは右腕を押さえ力の制御に苦しんでいる。がぼんやりと見えるその表情は喜びを示していた。やっぱりコイツは根っからの戦闘バカだった様だな。


 「っへ。大したもんだろ?」


 ふらふらになりながらも答えてみるが自分で何を言っているか分からないくらい頭が混濁し朦朧としている。変身も解け人間の姿に戻っている。


 「認めよう!我の敗北をっ!!だが我は再び貴様の前へと立つ事になるだろう!その時を楽しみにしているぞグリットマンよ!!フハハハハハハッ!!!」


 暴走した力を抑えながらもバルバラは魔術で姿を消した。恐らく自国のヴァルハラッハへと撤退したのだろう。

 ようやく戦いが終わり気が抜けて膝から崩れそのまま倒れる。


 「カナメッ!!」


 ミラーナの声が耳に聞こえる。


 「カナメさん!!!」


 これはクルシュの声かな。


 「カナメ!!!」


 これはおやっさ…違うかマルスだったな。


 「カナメ君!!!」


 これはトラヴィタールの声だな。

 皆の声が聞こえるが返事をする事ができない。薄れていく意識の中ミラーナたちのぼやけた顔と朧げに聞こえる騒ぎ声を感じる。どんどんと意識は薄れ、そしてピシャリと意識は途切れた。


********


************


****************


 暗闇。上も下も分からない空間は言うなれば無。俺は死んでしまったのか?


 「――――――――――――やぁ!中々の抗いっぷりだったねぇ。楽しませてもらったよ!」


 「誰だ…お前…。」


 軽快であるが禍々しく様々な声が入り混じったそれは歯車で作られた身体。燃え盛る炎の様な髪。まるで笑っているかのような仮面。仮面の隙間からは皮膚が無くなってしまった様なむき出しの眼と剥き出しの歯が見える真っ黒い顔。

 そして人間ではない…神でもない、もっと根源的なモノの存在感。


 「僕かい?僕はねぇ…そう!君たちの言葉に合わせるなら『運命』…かな!」


 まるでピエロ。ふざけた立ち振る舞いでその辺をチョロチョロしている。運命…?何を言っているんだ?まぁいいただのピエロの狂言だろう。それよりも。


 「俺は…死んだのか…?」


 「だねぇ。」


 無常なまでの即答。そして癇に障る事を言い出す。


 「そう僕が"設定"したからっね!もっと早めにおっ死ぬ筈だったんだけどさぁ…頑張ったじゃないか!偉いよ君!お陰で僕はより楽しむ事が出来たよ。Bene facis!Bene facis!」


 このピエロ、爆笑している。設定?何を言ってるんだコイツは。


 「ゥン~?だぁから言ったじゃないか。僕はね!『運命』なんだって!聞いといて忘れるなよ。」


 最後の言葉だけ魂が消えてしまうんじゃないかと感じてしまうほど無機質な口調だった。いやそれよりも俺はまだ言葉としては発していなかったのにピエロの奴、まるで心を呼んだかのように。


 「君さぁ。察しがいいのかと思えば…大して良くないね!僕が根源的なものだって感じたんじゃなかったのかな!あっ、ついでに君の心の声?だだ漏れだからー!ハハハハハハハハッ!!」


 顔を横にして俺の顔の擦れ擦れまで近づいてきた。気色悪いな。


 「ショック!気色悪いとかいうなよ。傷つくだろ!まぁいいや。実は君にプレゼントがあるんだ!」


 「プレゼント?」そう聞くと"運命"は掌に複雑に絡み合った歯車を出現させた。


 「蘇りの権利だよ。君は良く頑張ったからね!だから特別に君の運命をチョチョイっと弄って蘇らせてあげるよ!!どうだい?どうだい?」


 魚市場のおっちゃんの客引きの様なジェスチャーをする"運命"。その鬱陶しさも気になること無く俺は杭気味で興味を示す。


 「本当か!?」


 その反応を見てか"運命"は「ンフッ」と嬉しそうに笑いを漏らす。


 「僕は嘘だけは付かないよ!君の身体は僕が特別にこん睡状態で維持してあるんだ!でも君が望まなければ身体は死ぬよ!いったろ?君はもう死 ん で い る ん だ よ!」


 どこまでも人を馬鹿にしているなコイツは。イラつく身振り手振りで動き回る。


 「ただし、条件があるんだよ。君。」


 人差し指を立て忠告をするように続ける。というかさっきから顔が近いんだよ。


 「それはねぇ。経験値!だよ!」


 「経験値?」


 言葉の意味は理解できているが、俺は言葉の意図が理解できなかった。


 「そう!今のままでも面白いけどさぁ。一旦ゼロから始める方が面白そうじゃないか!だから経験値を奪う、ズブの素人からやり直しぃー!ま、ま、ま、副作用で一部記憶もなくなっちゃうんけどね!」

 「ある一定の期間が過ぎれば経験値も記憶も戻るから安心しなよ。かなりお得な話だよっね!」

 お得!お得!とはしゃぎ回る"運命"。数秒するとピタッと動きを止め落ち着いた物腰で静かな迫力を持って"運命"は選択を促す。


 「ど う す る ?」


 考えるまでもなく俺は答える。


 「まだ、始まったばかりなんだ。たった一日の事でも大切だって思えたんだ。だったら答えは決まってるだろう。」

 「俺は蘇る。」


 こいつに何か企みがあったのかもしれない。だが嘘を言っている様にも感じない。だったら俺はこいつの企みを受け入れた上で選択する。


 「ハッハハハハハハハハハ!!それでこそヒーローだよ!!ぼくの運命の檻の中で抗って!!僕をもっと楽しませておくれよ!!!!!ハハハハハハハハハハアハハハハハ!!!!!!」

 「っじゃ始めるよ。」


 "運命"の掌に乗った複雑に絡み合った歯車を俺の身体に埋め込む。スッと入っていき特に感触や違和感はなかった。


 「ちなみに!ここでの記憶は一生戻らないけどいいだろう?」


 当たり前だ。お前との記憶なんて戻らなくていい。


 だが


 運命…。そこで見ていろ、俺の生き様を。


 お前の度肝を抜いてやるよ。


****************


************


********


 薬瓶が並ぶ棚、カーテンによって個々に仕切る事が出来るベッドが置かれた広い空間。無機質な感じは無くそこはかとない豪華さを感じるここは帝都グランズヘイム城内の医務室。

 兵士の治療は既に終えているのかベッドにはカナメのみが治療を受けながらも寝ていた。


 「ロンティヌス殿!まだカナメは治らんのかっ!!」


 ロンティヌスと呼ばれたブックホルダーで本を沢山体にに括り付けている長髪の美しい容姿をした者にミラーナは急かし立てる。


 ロンティヌスはだぼだぼのローブの裾から伸びる長い聴診器の様な物をカナメの心臓辺りに当てながら答える。


 「急かすな、胸以外の傷は完全に癒した。息はしているが不安定な状況だ。何故か胸の傷を完全に癒す事が出来ん。」

 「そもそもマナが無いのに息をしている事自体が異常なのだ。目が覚める事があるならじっくり調べて見たいものだが。」


 興味深そうにカナメを見るロンティヌス。


 「ふざけた事を言うなっ!!」


 ミラーナは怒気を強めてロンティヌスに言った。


 「死ぬな…カナメ…。」


 ミラーナはカナメの手を握りカナメの無事を祈る。

 ミラーナの握る手に圧力を感じた。


 「!?」


 その感触に気付きカナメの顔を覗き込むミラーナ。


 「カナメッ!」


 ミラーナが呼びかけるとカナメが薄っすらと目を開ける。カナメは首を振り周囲を見渡す。


 「…。」


 のっそりと身体を起こすカナメ。ボーッとしてまだ状況が掴めていない様子を見せる。


 「カナメッ!!良かった!本当に…っ!」


 喜びの余りカナメに抱きつくミラーナ。「カナメさん!よく大事無く良かったです!」クルシュもカナメの目覚めを喜ぶ。マルスもトラヴィタールもカナメの目覚めを喜ばしく思っていた。ロンティヌスだけが腑に落ちないといった顔をしている。


 カナメは大歓迎に鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしてミラーナを押し退け周囲の大歓迎ムードに待ったをかける。


 「待て待て待てっ!んー何から聞けばいいのか…。」


 困った様に考え込むカナメ。それを見たクルシュがカナメに話しかける。


 「確かに目覚めたばかりで混乱してしまいますよね。」


 「いや」


 カナメは端的に言い放った。


 「誰だお前ら。ここ何処?」


 カナメが言った言葉は周囲を氷の様に凍てつかせ静寂を生んだ。ロンティヌス以外の者たちが引きつった顔をしている。カナメは気まずい雰囲気に戸惑い「あー…。何か変な事言った?」苦笑いをして乾いた笑いをする。


 「私だ!ミラーナ!ミラーナ=レベリオ=フィム=シュバーンシュタインだ!!一度とはいえ共に戦場に立ったではないか!二度も審問会を開いて!」


 ミラーナの必死な言葉を受けてもカナメは知らないといった顔をして口を噤んで小さく唸り声を上げる。クルシュも口を開く。


 「マリーンさんやファリオさんの事も忘れてしまったのですか?」


 「?…誰それ。」


 カナメはそう答える。クルシュはショックを受けよろめいてしまう。ミラーナも目を潤ませ唇を震わせ悲痛な表情を見せる。カナメは単純に見ていられなくミラーナの顔を見る事が出来ない。


 ロンティヌスが軽い口調でカナメに問いを投げる。


 「逆に何か覚えている事はあるかい?」


 「え?そりゃあ………?」


 思い出そうとすると映像に砂嵐で埋め尽くされてしまう様に何も思い出せない。


 「あれ?何も思い出せない…。」


 その言葉にミラーナたちは驚く。


 「どういう事だロンティヌス殿。」


 マルスがロンティヌスに尋ねる。


 「それを今から調べるとしよう。カナメと言ったか、今から質問をする。出来る限り答えて欲しい。」


 街の名前、果物の名前、人物、数学や言葉の事。様々な質問をするロンティヌス。それにカナメは淡々と答えて言った。ミラーナたちはカナメとロンティヌスのやり取りを静かに見守っていた。

 ロンティヌスの質問攻めが終わりカナメはベッドにぐったりと寝そべる。ロンティヌスは深く考え込み結論に至る。


 「ふむ。」


 「何か分かったのか?」


 ミラーナはロンティヌスに尋ねる。


 「記憶喪失というのが妥当だろうね。」


 ロンティヌスは指を立てて答える。「記憶喪失?」とミラーナは聞き返す。


 「国や街、人の名前や顔は覚えていないが他の一般的な知識、知力は健在だ。褒められた学力では無い様だがね。」


 鼻で笑うロンティヌス。


 「うるさいわい。」


 カナメは不貞腐れながら言い返す。


 「物の名前は全部間違っていたぞ。」


 マルスはロンティヌスに疑問をぶつける。


 「確かに、だが彼は間違えていっている様子ではない。嘘を付く意味も無い。まるで全く違う世界観を持っている様ではあるが。それも今は確かめようが無いな。」


 ロンティヌスは顎に手を当て考え込む。


 「彼が失ったものは記憶と言うよりは"経験"と言った方が的を射ているだろうね。」


 「経験…ねん。」


 トラヴィタールは納得した様子を見せる。


 「記憶は…戻るんですか?」


 クルシュは心配そうにロンティヌスに尋ねる。


 「それは彼次第だよ。」


 ロンティヌスはスパッと答える。クルシュは複雑そうな顔でカナメの顔を見る。

 カナメはベッドから降りて立ち上がり、服を正す。「どこへ行くのだ。トーノ=カナメ。」部屋を出ようとするカナメをミラーナが呼び止める。

 

 「どこって、家に帰るんだよ。何か辛気臭くなってきたからな。俺はわかんないからそういうのはそっちで話し合ってくれ。」


 立ち上がり手をヒラヒラと振りながら部屋から出ようとする。


 「帰るってどこへですか?」


 クルシュがカナメに尋ねる。


 「そりゃあ…。」


 答えようとするが答えが声に出ないカナメ。"家に帰る"そう答えようとするも帰る家すら覚えていない。

 カナメが答えに詰まっているとクルシュが小さく笑い、カナメを誘う。


 「もし当てが無いのでしたら、ご紹介しましょうか?」


 「本当か?!」


 カナメは満面の笑みで純粋に喜ぶ様子を見せる。


 「えぇ、私がお世話になった方が営んでいる宿屋なのですが丁度人手が足りないと困っていた様なんですよ。従業員っという形にはなると思いますが宿泊費も食事代もついて来ます。」


 クルシュは出会った頃と同じ台詞を言った。


 「至れり尽くせりじゃないか!期待を膨らませるねぇ。本当に助かるよ、…えっと?」


 クルシュの名前が分からず言葉に詰まるカナメ。些細な違いがクルシュを悲しい気持ちにさせる。


 「クルシュ=フランジュ=レオノーラ。クルシュで結構ですよカナメさん。」


 クルシュはカナメの側まで歩み握手を求める様に手を差し出す。


 「ありがとな、クルシュ!」


 カナメは笑みを浮かべ手をガシッと握りブンブンと縦に振る。


 ミラーナが立ち上がり気持ちに整理をつけて口を開く。


 「そうだな、私たちにも名を名乗らせてくれトーノ=カナメ。」


 「私はミラーナ。ミラーナ=レベリオ=フィム=シュバーンシュタイン。この国、グランズヘイムの第十六皇女にて戦の長を務めている。」


 「グランズヘイム騎士団団長、マルス=ヴォン=ベルリヒンゲン。よろしくな少年。」


 「トラヴィタール=フォン=ゲデストニスだよん。一応私も騎士団員だよん。」


 ロンティヌスは名乗らず本を読みふけっている。ロンティヌスは彼に思い入れが全く無い為、当然と言えば当然なのだろう。


 「今の貴君を巻き込むわけにはいかんだろうな。だがこれだけは言わせてくれ。」


 カナメの下まで歩み、握手を求めるミラーナ。


 「ありがとう。感謝する。今後、何かしらの付き合いはあるだろう。宜しく頼む。」


 戸惑った様子を見せるカナメ。前半部分の台詞の意味が分からなかったからだ。深く考えずその部分を聞き流し、しっかりと握手するカナメ。


 「おう、よろしくな!ミラーナ…皇女!」


 握手を終えてクルシュと共に部屋を出るカナメ。カナメは廊下で小さくクルシュに尋ねる。


 「皇女さんに滅茶苦茶タメ口で話しちゃったけど俺、明日打ち首とかにならないよね?」


 心配そうに尋ねるカナメ。クルシュはクスッと笑い答える。


 「大丈夫ですよ。ですが他の皇女殿下の方々には気をつけて下さいね。」


 「肝に銘じて置きます。」


 カナメはそう答えた。


*******************


 クルシュの案内で夜の帝都を歩く、冷たい風が心地いい。すれ違う人たちから挨拶されるが俺にとってはやけにフレンドリーな人たちだなっとしか思わなかった。そして"Sanatio Hospitium"という一軒の宿屋へと辿り着いた。扉を開け中へ入るように促すクルシュ。クルシュと共に宿屋の中へと入るとドタドタと走る音が聞こえる。


 「おっかえりぃぃ!!兄ちゃん!!!」


 小さな少女が俺のMy sonに飛び蹴りをクリーンヒットさせた。俺は一瞬視界が歪み股間から発生する強烈な痛みを強制的に味わう事となった。それだけではない腹部にも痛みは伝達され腸を掴まれているかのような痛みが起きている。


 「ン゛ヌゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!」


 腹の底から痛みを訴える悲鳴が漏れる。


 「あのバルバラを撃退しちまうなんて凄ぇな兄ちゃん!!」


 ピョンピョンと訳のわからない事を言う少女。


 「おい小娘ぇ…!!初対面の男の股間に蹴り食らわすとはどんな教育をされてきたんだ!!」


 俺は股間を抑え低い声で痛みに耐えながら言った。


 「初対面だなんて水臭ぇなぁ兄ちゃん!」


 太ももをバシバシと叩く少女。なんてボディタッチの激しい子なんだ。

 そこへ美しい大人の獣チックな女性が現れる。何と豊満なお乳でござんしょ。その女性とクルシュが何かを話し合っている。豊満な獣チックな女性は動揺した様子を見せた。悲しそうな顔をした女性は無言で少女の肩を抑え、少女は女性の顔から何かを察し落ち着きを取り戻す。


 「私はマリーン=ブルックリン。この子はファリオ=ノーベレーナといいます。以後お見知りおきをカナメさん。」


 笑みを見せるマリーンさん。だがその笑みはどこか無理をしているように見える。


 「なに改まって自己紹介してるんだよ姉ちゃん。」


 マリーンさんの顔を仰ぎ見るファリオ。どうやらファリオという少女は"何か"を理解していない。クルシュがファリオをどこかへ連れて行った。マリーンさんは部屋を紹介してくれるようで後を付いて行くと誰かが住んでいた様な部屋に案内された。


 「いいんですかい?誰か住んでいた様だけど。」

 部屋の内装を見回す。家具の配置とか小物類とか俺好みだな。


 「いいんです。ここの方が住みやすいと思いまして。」マリーンさんは震え声で答える。


 確かに俺好みの部屋で住みやすそうだ。これはこれはラッキーってやつだな。

 マリーンさんはお辞儀をして部屋を後にした。俺はベッドに座り部屋を見渡していた。ちょっと時間が経った頃にファリオが恐る恐るドアを開けテンションだだ下がりで入ってきた。隣に座るとファリオは急に元気良くなった。


 「よっ!兄ちゃん!!さっきはごめんなっ!!ウチはファリオ=ノーベレーナ!これからよろしくな!!」


 無理やり握手を交わされる。「お、おう宜しくな。」とりあえずそんな反応するしかないだろう。


 「名前はさっきマリーンさんから聞かせてもらったろ。なんでまた改めて言うのさ。」俺は頬を指で掻きながら聞いた。


 少しだけ考えてファリオは言う。


 「そういえば自分の口から名前、伝えてなかったなって思ってさ。まぁ細かい事気にすんなよ兄ちゃん!」


 元気なのか元気を繕ってるのか、無理をした感じの笑顔。脚をブラブラと振りながらファリオは続ける。


 「宿屋に住むってなると仕事をする事になるんだけどさ。」


 「おっ。そういえばそうだったな。タダ飯食らうのも気が引けるからな。」


 軽い調子で笑いながら俺がそう言うと笑顔で小さな胸をトンッと叩いてファリオは言う。


 「そん時はウチが仕事教えてやっから、大船に乗ったつもりでいてくれよな。」


 「えらい、ちっちゃな船だなぁ。」


 冗談を交えつつ笑って話し合った。冗談を交えてたのはファリオが今にも泣きそうな顔だったからだ。子供の泣き顔は見たくなかったから小粋なジョークをプレゼントしたってもんさ。

 未だに周囲との温度差にはなれないが後々解決できるだろう。その日まで何事も無ければいいけど。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ