少女の頃
内側の磨り減った靴
アンバランスな足跡
軋む教室の椅子
背もたれにしか預けられない背中
同じ制服でラッピングされた
不揃いなかたちの整列
渦巻く甲高い笑い声
尖った目の光
窓から伸びゆく世界
チャイムの囲う檻
叱責する白いノート
納得するもののない消しゴム
教室という水槽
消えゆく泡のような会話
数式が通り抜ける
隠されたピアスホール
何処にも繋がらない渡り廊下
終わりのない持久走
私の名前が空転する
出席番号の存在証明
行き先の変わらない通学路
透明なビニール傘に隠れる
いっそ誰にも
覚えてなんてほしくなかった身体
濡れないように
濡らさないように