ねむらず
ふとんのなかでいちゃいちゃする話です。
「ほんとうにやせっぽちだなあ」
かわいくてもう仕方がない、わたしの友人はそう言った。ぎゅうっと、ぴったりと密着して、後ろから呟いた。あたたかいお布団の中で本当にぴったりとくっついた。息する音も笑った喉の音も髪に鼻先がこすれる音も異常に近くて、なんだか恥ずかしいのに、とてもあたたかくなって、幸せな気分になった。
「ねえ」
「うん」
「こうするとすごくあったかいねえ」
「あったかいねえ」
彼女はわたしの後ろ頭から顔を動かしたみたいだった。少し人の感触が下がって、首筋にもたげるように、彼女の頭がかぶさった。
「首もがりがり」
ふふふっと笑う声と小刻みに揺れるふわふわの髪の毛にこそばいのと、恥ずかしいのを感じた。逃げるように体を動かすと、手がのびてきて、頭を撫でてくれた。ああ本当に気持ちいいな、目を細めて、神経が撫でられている所に集中していくのを感じた。
「ずっと一緒にいようね」
彼女は呟いた。
優しく頭を撫でながら、優しく言った。
もちろん、と言いたかったけどその自信がない。もうすぐのような気がする。まだ先、まだ先と思っていたのに。
だからせめてでも眠らずに、彼女の優しさに包まれたままで。眠ればもうなにもわからなくかるから。我慢ができなくなったら諦めよう。これが本当に終わりなんだ、と諦めよう。
「もうすこしだけ、撫でて」
優しい手に包まれながら。